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ソロキャンプとピザ

ソロキャンプが趣味だが、秋と冬しか行かない。

理由は夏場のテントで熱中症で死にかけた経験があるからだ。

深夜0時に死を感じるほどの暑さでテントから這い出て、汗だくで逃げ帰った苦い経験はもうしたくない。


数年前、金剛山でソロキャンプをした。

真冬の金剛山は雪が積もるほど寒い。

だから人もいないだろうし広いサイトを独り占めできると踏んで出発した。

ところが、現地には僕のほかに初老のオッサン4人組がいた。

内心舌打ちをしていたが、キャンプの暗黙の了解でお互い干渉しないというのがある。

挨拶はするがそれ以上の交流はない。


ところがこのオッサン4人組、女子大生の卒業旅行ぐらい楽しそうに騒ぐ。

そんなに家に帰りたくないのか?とか思いながら僕は自分のソロキャンプを楽しんでいた。


金剛山のキャンプ場には立派なピザ窯がある。

お金を払えばピザ生地や具も用意してくれる模様。

そしてそこにはオヤジ4人組。

わちゃわちゃしながらピザを作る作る。

巨大なピザを4枚、5枚、6枚、とビールや焼肉を頬張りながらどんどん量産していく。

僕は無視して自分のキャンプ飯に舌鼓を打っていると、

『兄ちゃん!多めにピザ焼いたからあげるわ!』

とオヤジの一人が言ってきて、木のまな板の載せた巨大ピザを足元に置いていった。

素人の作るピザなんて別に欲しくなかったが、返すわけにもいかないし捨てる場所もない。

しかし、そのピザを見て驚いた。

ピザに乗っている具が半端ないのだ。

素人の僕が見てもキャンプ場が用意した安物ではない。

エビ、イカ、アンチョビ、ウインナー、サラミなど海鮮も肉系も新鮮で香ばしい匂いを漂わせている。

しかも石窯で焼かれてすぐなので、生地の上にたっぷり乗ったチーズが踊っていた。

山という環境のせいもあるだろう。

お腹がすいているというのも手伝っただろう。

だが、人生で最高のピザだったと言える。

口に入れた途端に目に星が飛んだ気がした。

謎のオヤジ4人組が作るピザがキャンプメシ最大のご馳走になった。

未だにあれを越えるピザを食べたことがない。

4人のオヤジには大いに感謝の言葉を述べさせてもらった。


ソロキャンプは孤独を嗜むものだと思っていた。

しかし、行ってみると何かしらの出会いがあったりする。

友達を作りに行ったり、LINEを交換したりするソロキャンパーはご免だが(これがけっこういたりする)、キャンパー同士だから起こる一期一会は以外と悪くない。

無理してソロにこだわる必要もないと実感した一日だった。

やったことないけど、多分男4人でやるキャンプは最高にたのしい。

人生を教えてくれてありがとう、謎のオヤジ4人組。


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