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ASD児における模倣障害とエラー分類別の特徴

物品を使用する「他動詞的行為」と他者に対して何かを伝達する意味を持ち社会的慣習的に用いられるような身振り動作「自動詞的行為」のエラーは、ASD児における特有の障害なのか?

Mostofsky SH, Dubey P, Jerath VK, Jansiewicz EM, Goldberg MC, Denckla MB : Developmental dyspraxia is not limited to imitation in children with autism spectrum disorders , Journal of the International Neuropsychological Society : JINS, 01 May 2006, 12(3):314-326 DOI: 10.1017/s1355617706060437

この研究では、高機能ASD児と年齢・性別をマッチングさせた8-12歳の定型発達(TD)児を対象として調査しています。

とりあえず、高機能ASD児はGestures to Command(GTC:口頭指示命令によるジェスチャー), Gestures to Imitation(GTI:視覚性動作による模倣), and Gestures with Tool Use(TU:道具を使用したジェスチャー)の全てにおいてTD児と比較し、有意にエラー数が多いことがわかりました。

またエラー分類別に各条件を見ていくと

エラー分類(by Gonzales Rothi et al. 1997)
1.Spatial
2.Body-part-for-tool
3.Temporal
4.Content Concretization

この中でも、本研究ではGTC条件とGTI条件におけるSpatial(空間的)エラーが特に多いことがわかりました(TD児の約2倍)。しかし、TU条件では、Spatial(空間的)エラーに有意差はありませんでした。他のエラー分類もTU条件ではエラー分布はTD児と同様でした。

この辺りは、なんか面白い結果ですね。

この論文の私の感想は、たぶん身体を用いた構成障害や身体図式障害の文脈で起こるジェスチャー/模倣障害だけでなく、「行為」としての障害があると捉える必要がある…みたいな感じかなと。「道具を使用する」という実物を用いた運動イメージや意味理解は有用な支援の一つになりそうですね。

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