「"オールB"のチーム」2020-21プレミアリーグ第27節 ブライトンvsレスター

 おつかれさまです、ちくわ(@ckwisb)です。今週はガンバの試合がなくてまーひーだったのでちょこっと観た海外サッカーの試合の感想文を書きたいと思います。観たのはプレミアリーグ、ブライトンvsレスター。レスターが1-2で逆転勝利を収めた試合です。

 私はレスター・シティ側に肩入れして試合を観ていました。レスター・シティって面白いチームですよね。まあサッカーファンなら誰しもが思い至るのが2015-2016シーズンの"ミラクル・レスター"だと思いますが、それ以降も堅実な強化を進めていて、ブレンダン・ロジャーズ監督のもと、昨シーズンはCL圏に肉薄する5位、今シーズンも28試合消化時点で3位、と確かな強さを示しています。

 レスターについて私のイメージを述べるなら"オールB"のチーム、といったところでしょうか。ポゼッションも、カウンターも、絶対的ではないが安定して高いレベルで表現することができるチーム。相手に応じて選択できる戦術的な懐の広さとそれに対応できる柔軟性の高いスカッドが、シーズン終盤に差し掛かりながらも高い順位を維持できている要因と思われます。

 しかしそんなレスターにも過密日程からの苦しい台所事情が。今シーズンブレイクしたユース上がりのウインガー、ハーヴィー・バーンズや、トップ下でチームの攻撃をつかさどり、正確なプレースキックが得点源にもなっていたジェームズ・マディソンといった攻撃の要が怪我で離脱。

 そんな中、この試合レスターが選択したのは今期メインの4バックではなく3バックの形でした。攻撃でも違いを出せるサイドバックのリカルド・ペレイラを高い位置で使い、局面を打開できるウインガーが不在でも攻撃を成立させようとする意図があったものとみられます。

 しかし前半、この形はあまり機能しているとは言えませんでした。降格圏に肉薄するブライトンが相手ということもあり、ボール保持のシチュエーションが長く続いたレスター。3バックにアンカーのエンディディを絡めた「3-1」のビルドアップで前進を図りますが、ブライトンのモペイとララーナがエンディディをきっちり抑えておりなかなか中央にパスルートが見つけられません。頼みのリカルド・ペレイラもきっちりマークを受けて前向きでボールを持てるシチュエーションが少ない。アンカーもだめ、ウイングバックもだめ、となれば落ちてくるインサイドハーフですが、この試合、インサイドハーフで起用されたタヴァレスはこの試合がプレミアリーグ初先発だった、ということもありここもなかなか苦しい。

 前半はそんな感じでなかなか前進の目が見えないでいると、スローインを掻っ攫われた流れからブライトンにゴール。4バックと3バックを使い分けるチームでよく見る、揃っていないDFラインのギャップを突かれた形でした。決めたブライトンのララーナは移籍後初得点。意外。

 その後も被カウンターから厳しいシーンをいくつか作られながらも何とか0-1で前半を乗り切ると、後半から少しずつペースはレスターに傾いていきます。大きな構造としては前半と変わらなかったと思いますが、3バックとアンカーを絡めた「3-1」のビルドアップに加えて、左WBのカスターニュを加えてアマーティが一段高い位置を取る、「2-3」のビルドアップに変化しながら前進する形が多く観られるようになりました。複数の形を使い分けることでプレスのかけどころをごまかしていくレスター。

「2-3」のビルドアップの副次的な効果として、リカルド・ペレイラがより高く、中央に近い位置でプレーに関与できること、加えて、左はインサイドハーフのティーレマンスが相手のサイド深くからチャンスに関与できることなど、より決定的な選手が決定的な位置でプレーする機会が増えていった印象です。前半はなかなか効果的にボールに絡めていなかったタヴァレスも、ペレイラと近い距離でプレーできるようになったこともあってか、うまくボールを引き出せるようになっていきました。

 そんな流れの中でレスターに同点弾。アマーティが持ち上がったところからガチャっとボールが行き交ってのトランジション局面でしたが、ティーレマンスのノールック・ロングスルーパスでのアシストがあまりにビューティフルで、思わず口笛を吹いてしまいたくなりました。イヘアナチョのうまくタイミングを外したループも見事。

 その後は選手交代でサイドに推進力を取り戻したブライトンがレスターを押し込んで決定機を作りますが、守護神シュマイケルがしっかりはじき出して事なきを得ます。

 レスターは交代カードとしてタヴァレスに替えてオルブライトン。タヴァレスよりサイド適正が高いであろうオルブライトンがインサイドハーフに入ったことで、左のティーレマンスと同様に中央から斜めに出ていくような動きが増え、相手のサイド深くに起点を作れるようになっていたと思います。両者見せ場があり、引き分けが妥当のように思えたゲームでしたが、上記の流れから得たコーナーからレスターが終盤に逆転。

 レスターというチームを素敵だなぁ、と感じるのは逆転後のふるまい。今節何度か裏抜けからチャンスを演出するものの決定的なシーンには関与できていなかったエースのヴァーディでしたが、逆転後は猛然とプレスに走り、チームを背中で鼓舞します。「チームの顔」とも言えるような選手にここまで献身的な働きをされてしまうと誰もサボれませんよね。このまま試合は1-2で終了、アウェイのレスターが勝利となりました。

 というわけで、感想文をしたためてみました。今年のプレミアはマンチェスター・シティの独走で決まりそうな雰囲気が出てきていますが、2位にも注目してみようぜ!と、昨年独走されて2位だったチームのサポとしては思ったわけです(執筆途中にユナイテッドが勝って3位になったけど 笑)。

 何でもそれなりにできちゃう、"オールB"のレスター。面白くて勉強になるだけじゃなく、その姿勢も愛せるチームだと改めて感じたので、今後も定期的に観ていこうと思いました。おしまい。


ちくわ(@ckwisb

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