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一発合格した現役大学院生による徹底解説!個人情報保護士とは?

はじめまして。けーすけと申します。現在旧帝大の修士1年で、セキュリティ関連の研究をしています。
私は情報セキュリティの分野に興味関心があり、技術面だけではなく、法制度的な面でも知識を蓄えたいと考え、2021年の9月に個人情報保護士試験を受験し、合格した経験があります。

この記事ではその個人情報保護士試験の概要と、法律を学んだことがなかった私が試験に合格するまでにやったことを簡単にまとめています。
個人情報保護士試験の受験を検討されている方や、業務で個人情報保護法の学習が必要な方に参考になればと考えています。


個人情報保護士試験の概要について


個人情報保護士は、個人情報の保護に精通し、適正な取扱や安全管理を身につけたエキスパートである証明です。
歴史は古く、2005年の個人情報保護法の全面施行に合わせて試験が開始されています。
その他試験内容は以下の通りです。

- 毎年4回、3ヶ月ごとに全国20箇所の会場で一斉公開試験が実施されている
- 課題1・2に分かれており、それぞれ50問の合計100問で構成されている
- 合格するためにはそれぞれ7割以上の正解が必要
- 試験方法は択一問題でマークシートを使用
- 試験時間は150分
- 受験資格に制限はない

合格率

2021年の時点では、平均合格率は37%となっています。
同じような合格率の試験としては、合格率43%の登録販売者試験(2016-2021)や、41.5%の司法試験(2021)などがあります。

資格のメリット

個人情報保護士取得のメリットは大きく2つあると思います。

1. 個人情報管理の専門性
メリットの1つ目は専門性です。プライバシー保護の機運の高まりもあり、個人情報保護士の取得が推奨されている企業もあります。例えば、パナソニックやシャープなどのいわゆる日経大手企業において、個人情報保護士の取得が推奨されています。
2. 個人情報保護分野への興味関心をアピールできること
メリットの2つ目は興味関心をアピールできることです。企業活動において従業員や顧客の情報が含まれる個人情報を取り扱うことは避けては通れない道です。この取り扱いに関して興味関心を持ち、資格を取得できるレベルで知見を持ち合わせていることを証明できることは、この分野への興味関心をアピールできることに他なりません。

合格するまで

ここからは私が個人情報保護士試験に合格するまでに取り組んだことを紹介します。

勉強時間・勉強法

まず、勉強時間や勉強方法についてです。
個人情報保護士試験のために勉強したトータルの時間としては、大体10~20時間程度でした。しかし、私はこれに加えて研究やアルバイトの場面で、個人情報保護に関するニュースや法律の条文を読む機会があったため、そういう面も加味したら50時間分くらいは勉強していたと思います。

試験対策のための勉強としては大きく3点を行いました。


1. E-govや個人情報保護委員会が公開している条文・ガイドラインに記載されている原文を確認する
2. 試験実施協会が販売している公認テキストをさらっと1周読む
3. 同じく公式問題集を1周し、間違えた問題は2周3周と繰り返す

まず、最初のステップとして、原文を確認し、法律の雰囲気を掴むことを意識しました。
巷には「個人情報保護法をわかりやすく解説しました!」というサイトや書籍がたくさんありますが、そうしたものはたいてい著者らによる解釈情報が条文に追加されている場合があります。こうしたものを使って勉強する際に「この部分気になったけど、ほんとのとこどうなんだろう」と思った場所については、毎回条文に立ち返ってなんと書かれていたのかを確認する必要があります。

条文の原文はこちら : 
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=415AC0000000057
個人情報保護委員会 : https://www.ppc.go.jp/


私の場合は、アルバイトや研究のためにある程度個人情報保護法の概要を掴むことができていたので、わかりやすい解説サイトなどを用いることはなかったですが、全くの初心者である場合には、一度わかりやすくまとめられているものでインプットをすることをお勧めします。

こうしてある程度個人情報保護法の雰囲気を掴んだ段階で公認テキストの確認を行いました。私は購入費用がもったいないと思い、こちらをメルカリで購入してしまったため、過去の内容のテキストになってしまいましたが、皆さんには、最新版のものを購入することをお勧めします。理由は、改正後の内容も数問試験に出てくるためです。
その箇所について私は個人情報保護委員会の改正ガイドラインを参考にして試験に臨みました。

これらのインプットが終わったのちに公式問題集に取り組みました。
全部で240問しかないため、1問1分ペースで取り組めば4時間で1周できてしまうと思います。本番の試験も1問あたり1.5分しかかけられないため、そこまで時間をかけずに解く練習をした方が良いと思います。
私の場合は、間違えた番号のみノートにメモを残していき、1周した後はひたすら誤答をできるまで解くという方法でこちらを活用しました。

試験当日

試験はオフライン、オンラインの2つの選択肢があります。
オフラインの場合は、普通に試験会場に行き、試験を受けます。オンラインの場合は、カンニングをしていないことを証明するためにカメラを購入、もしくはレンタルして試験を解く必要があります。
私はちょうど試験会場の近くに住んでいたこともあり、オフラインで試験を受けることにしました。カメラをレンタルする費用より、現地に赴く方が安いと思ったからです。
試験会場で試験を受けることについて、私から特筆して言うことがあるとすれば、昨今の感染症の影響で試験教室内で飲み物を飲めなくなったことくらいでしょうか。
それ以外は特に変わらず、「試験」という感じでした。
周りの人たちがびっしり付箋を貼った参考書を持っていようが、スマホで解説動画を見ていようが、「私はこれまでたくさん勉強してきた!大丈夫だ!」というメンタルで試験開始を持ち、試験を受けました。

試験後

試験後すぐに、YouTubeにて解答速報が出ます。
私はこれを用いて自己採点を行い、合格ラインを突破できていることを確認しました。

だいたい1ヶ月後くらいに合格発表がされます。
告知の方法は、受験番号用いてWeb上で合格を確かめる方法と、郵送で合格証書と認定カードが送られてくる方法の2種類があります。
私は受験番号を引っ張り出すのをめんどくさがっていたら、そのうち郵送で合格証書と認定カードが届いてきて合格が判明しました。
ただ、得点開示などはされないため、実際にどんな点数だったのかわからないです。

更新

個人情報保護士には、更新があるようです。
理由としては以下の2点が挙げられています。

- 真剣に学習して得た知識も、日時の経過とともに失われてしまうことがあるため
- 法律や社会知識においては、年月の経過とともに内容が大きく変わってしまうことも少なくないため

現在の制度では、個人情報保護士認定者が、知識や技能をさらに高め保持し続けることを目的に、オンラインによる個人情報保護の定期講習を1年に1度2年間受講された方に「更新カード」が交付されるようです。

まとめ

- 個人情報保護士は2005年から年5回ほど全国20箇所の会場で開催されている、平均合格率が37%の試験である
- 個人情報保護士試験に合格するために私が取り組んだことは以下の3つである
   - 条文・ガイドラインの確認
   - 公認テキスト
   - 公式問題集
- 試験後、問題用紙を持ち帰ることができる上、回答速報があるため自己採点できる
- 資格取得後は更新が必要となる

参考

個人情報保護士認定試験 内容 https://www.joho-gakushu.or.jp/piip/naiyou.php
個人情報保護保護士認定試験 TOP https://www.joho-gakushu.or.jp/piip/

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