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Billy Stringsとブルーグラスの世界

関西から長野県安曇野市に移住し、育児に追われ数年経過した頃、娘が眠りについた後の一時が安堵とともに楽しみの時間でした。
安全に仕事ができる時間ですし、情報を収集できる時間でもあります。

弦楽器と縁がない人生 (ピアノは、打弦楽器ですが、、)を過ごしてきたこともあり、アメリカのギター文化とは、縁遠い音楽を歩んできました。

ところが40歳の大台に差し掛かるところで衝撃の出会いがありました。

ブルーグラス界の麒麟児、Billy Strings(ビリー・ストリングス)です。(以下 Billy)


ブルーグラスとの出会いは、当初、カントリーミュージックからでした。

もともと、Taylor Swift以前のミシェル・ブランチ、もっと遡るとマルチナ・マクブライドなどカントリー系のジャンルは、10代から20代半ばまで、よく聴いておりました。
でもカントリーってどんなジャンル?という問にもNashvilleでRECしたらそうなるんのでは、、ぐらいの感覚でした。

ブルーグラスと聴いても、スコティッシュなアパラチア山脈付近で、、、ぐらいの知識でした。


NPR ( タイニーデスクコンサート)を観るのが好きで、いろいろ勉強させてもらっております。
そこでいいなあと思ったのがMandolin Orangeのお二人でした。

Mandolin Orange: NPR Music Tiny Desk Concert


特に2曲目に強い印象を懐きました。

淡々と寡黙に歌うスタイルにアメリカ文化の奥深さを感じます。
フラットマンドリンという楽器もあまり存じ上げなかったのですが、結構な速弾きで、妙にフレーズがしっくりくる感じがして、妙な親近感を懐きました。

個人的には、フィドルというとアイリッシュやケルトとの距離が近かったのですが、Mandolin Orangeのお二人からは、アメリカの田舎の雰囲気が伝わる感じです。

youtubeで関連の動画を辿っていくとBilly Stringsというお兄さんが現れたのです。

Grey Foxという野外ライブイベントでMolly Tuttleのバンドのゲストとして出ているのですが衝撃でした。


Molly Tuttle and Billy Strings, "Sittin On Top Of The World," Grey Fox 2019


ブルーグラスは各地で~FOXという名称のイベントがあるようですね。
Billyも聴衆をFOXと呼んでますので、ある種の意味(深堀りしたくない、、)があるようです。

Mollyの方も衝撃だったのですが、
Billyは、淡々と速弾きでダサいフレーズを弾いて、まるで伝統芸能のような正確さで、その上、力が抜けた感じの演奏に思わず笑いがこみ上げてきました。
何しろ型が決まっていて、しかもダサい。が完璧なので、また見たくなる。
自分のソロが終わると丁寧にマイクスタンドを下から避けて、次のソロを弾く人を見にいくもの清々しいし、こなれていて笑いが。
とにかく完成されていて、見終わってまたすぐ見ないと喪失感まで感じます。次の日から強度のBillyロスに陥りました。

その後、Billyについて調べたところ
お父さんから薫陶を受け(なんでブルーグラスなのかはわかりませんが)
タトゥーを入れたブルーグラス界では、珍しいタイプのミュージシャンで、麒麟児とまで呼ばれていることを知りました。
次々にブルーグラスの大物とライブ、共演して名を上げていったようです。
何しろ小さい頃から育て上げられてるので、かなりの腕です。父親との共演の映像もあるので面白いです。Billyかなり気を使ってます。

このあと知ることになる、
Molly TuttleやSierra Hullなども幼い頃からSum Bush(フラットマンドリンのレジェンド)と共演したりして、伝統芸能のような脈々としたものが感じられます。

しかもみんな速弾きで音数が多い。聴いていて疲れるぐらい多い。ときにうるさい。→慣れると楽しいに変わりました。
フラットピッキングという演奏スタイルは、基本、速弾きみたいですね。


Molly Tuttle - White Freightliner Blues and Rhythm Lead Switching


Sierra Hull - Sonata No. 3 in C Major (Allegro) | BACH


Billyは、4人組でライブツアーを回っていて、
ギター、マンドリン、バンジョー、ウッドベース(ダブルベース)全員、ストリングス(弦楽器)です。

ブルーグラスは、弦楽器のみでドラムなど、入らないようです。
日本人の感覚?でしょうか、、大観衆を前にしたらドラムが入らないと持たないんじゃないかな??なんて杞憂は、吹っ飛んでおります。


Billy Strings at Red Rocks Amphitheatre


ブルーグラスは基本、失恋の歌が多いらしいのですが
Billyのオリジナル曲にも興味が湧きました。

Billyのアルバム(グラミーのブルーグラス部門を受賞)の
下記の2曲は、個人的にも人生のベストに入るぐらい好きな曲になりました。
もはやブルーグラスというジャンルも感じなくなり、純粋にBillyのファンになってしまいました。

Billy Strings - Watch It Fall (Official Video)


Billy Strings - Away From the Mire (Official Animated Video)


カバーも最高!

Don't Think Twice - Billy Strings


大変失礼ながら格好もロン毛の髪型もダサいなあと思って見ていました。
現在では、イメージチェンジを果たし、ロン毛をやめ、ショートヘアになって垢抜けてきております。


Billy Strings Halloween Recap



バンジョーのレジェンド Béla Fleck

2022年のグラミーは、Béla Fleckに持っていかれましたが、若干しょうがないところもあり、個人的にもアルバム「My Bluegrass Heart」は、最高でした。

下記のライブでは、
Sierra Hull (mandolin)
Bryan Sutton (guitar)
Mark Schatz (bass)
Michael Cleveland (fiddle)
Béla Fleck: (Banjo)

まさにドリームチーム。

Béla Fleck - Vertigo (Live from RockyGrass)


本番前の練習風景

RockyGrass 2021


「My Bluegrass Heart」アルバム版では、

Sam Bush: Mandolin
Stuart Duncan: Fiddle
Edgar Meyer: Bass
Bryan Sutton: Guitar
Béla Fleck: Banjo

のメンツとなっており、少し落ち着いた渋めな落ち着いた曲調になって
これまた最高。


Béla Fleck - Vertigo (feat. Sam Bush, Stuart Duncan, Edgar Meyer & Bryan Sutton)


Billyと共演している動画もご紹介します。

Billy Strings with Béla Fleck - Boulderdash


Béla Fleckまで話が入ってしまいましたが
ブルーグラスは、狭い世界でみんな絡み合ってるようです。

その中でもBillyのスター性は、凄まじく。一気に虜になってしまいました。

Billy 若き日の仲間とパーティーにて
Dust in a Baggie - Billy Strings


長野県でのブルーグラス


ブルーグラスに興味を持ったので、長野や山梨で少し検索すると、小数ながら根強い活動があるようです。
安曇野にもご縁があるバンドが存在するみたいですが、コロナ禍で残念な状況です。

個人的には、鍵盤楽器を追求してまいりましたので、弦楽器には本当に縁がない。
今から弾くにしても中々、到達できない領域です。

見て、聴いて楽しむしかないのは、残念なのですが
ブルーグラス音楽の文法やスタイルは、制作に取り入れつつあり、摂取したものが形になるのでかなり影響を受けております。

時勢が許せば、アメリカ、特にナッシュビルまで行って生で観たいですが
白人中心の文化ですし、どうなることやらわかりません。

この1年かなりのめり込んだので、記録としてここに残したいと思います。

あくまでBilly Stringsを中心とした範囲でしか、ブルーグラスという文化を存じません。
にわかな知識等、あやふやな部分、内容がございますことを切にお許しください。


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