心の隙間を埋めすぎるロケラン――『ファークライ』ハークとテレビの人物造型――
今日は『ファークライ』シリーズのお話とフォンダンショコラの話をします。フォンダンショコラの話はしません。
▼先に言っておきます。『バイオハザードヴィレッジ』についての感想の2本目をすでに書き終えているのですが、ネタバレしかない。noteの方はあまり人に見られていないんですが、それでも誰か未プレイの方の目にとまると罪悪感を抱いてしまうので更新しておりません。・・・・・・と、こんなことでは一生日の目を見ないかもしれないので、9の制作発表後とかにアップロードしますかね。
▼おっと、すゑひろがりずさん、あなたがたが実況すればいいんですよ!
▼というわけで今回は僕が最も好きな洋ゲーの紹介をいたします。UBISOFT製作・販売『ファークライ(Far Cry , FARCRY)』シリーズです。FPSゲームで、オープンワールドのアクションアドベンチャー、部分的にはステルスゲームとも言えます。
スクリーンショットの保存量や記憶力的に4、5の話が多くなりますが全部好きです。きっと6のことも愛します。あっ。1はやったことないです。なんか完全に会社も別で別の別の別ゲーらしいっすね。
▼5、NDのネタバレはしませんが、4とプライマルはすこしネタバレするかもしれません。ちょっとだけ。先っぽだけ。
ゲームと音楽とファークライ
▼魅力の一つはなんといっても音楽です。既存の曲やオリジナル曲があらゆる箇所で流れるのですが、時に心地よく時に興奮する曲がかなり巧みな演出とともに用いられております。曲の評価が高い、といえば、真っ先に『アーマードコア』シリーズが思い浮かぶことでしょう(?)けれど、ゲーム一般に於いては、アーマードコアの例に倣い、一般的にNPC・ボス戦などに用いられる曲を強烈に重くして、NPCやボスの印象付けを図るようなものが多いのではないかと思われます。
▼一方、NPCやボスではなく、〝場面〟への印象付けを意識しているように感じるものもあります。例えば『HALO』シリーズ、『ラストオブアス』シリーズ等に見られるように、誰かが死に、誰かが話し、誰かが動き・・・・・・といったムービーシーンを思い返すとき、音楽と共にその場面が蘇る。こういった、場面の強調に重きを置いたものもかなり見られます。単純に、映画での音楽です。
▼そこで『ファークライ』シリーズの音楽ですが、前述の登場人物へ当てたBGM・場面へ当てたBGMも勿論あるにはあるものの、ヒトを/場面を、思い出す際のBGMについては少し弱い(断っておきますが、こちらも良曲だらけです)。ではどこで曲をたたき込んでくるかというと、プレイヤーの行動中です。
▼いやそりゃ、どの場面でも我々プレイヤーは行動中なんですが、より主体的な行動といったほうがよいですかね。説明くっそむずくて首が痒くなってきました。なんでこの話を最初にしたんや。
どのゲームでもそうですが、プレイヤーが何かを起こさなければ進まない場面――たとえば選択を迫られる、襲撃を乗り切る、脱出する、などといった重要局面に於いて、非常に印象的な曲をたたき込んできます。たたき込んでくる・・・・・・?
▼そういった意味で、映画の音楽に近いのですが、ポイントはプレイヤーが何かしていることであり、ぼーっと黒烏龍茶を飲みながら画面を見ているわけではないことが重要です。プレイヤーも忙しいときにどや顔で良曲が流れてくるわけです。
2曲挙げておきましょう。プレイ画面がないので曲だけになります。
▼いきなり変わり種を貼ってしまいましたが、こんな曲ゲームで聞いたことあります? こちら、『ファークライ4』、一般的なゲームで分類するなら所謂脱出のシーンに当たりますが、同時に幻覚を見せられる場面なわけですね。視界がものすごく悪く、泥酔状態のような画面の中で脱出を図ります。ただ一般的な脱出とは異なり、〝ハイになる〟ような状態です。
▼プレイヤーの視界を妨げ、操作も直感的にならないという枷を強制し、この英語でも日本語でもない、耳馴染みのない言語による曲を用いて、プレイヤーの耳からも〝狂ったあなた(プレイヤー)〟を表現しようとする点、狂い(キレ)かけながらも「なるほどなるほど」と感心しました。
▼続いて、こちらは既存の曲を用いた例です。『ファークライ5』、強制拉致のシーンで流れるものです。5をプレイした方々にとっては二度と聞きたくない曲でしょうが、いや、そこなんすよお。《Only You》は名曲であるにも関わらず、強制拉致のところで流すもんだから、おそらく今後聞いてももう拉致の思い出しか蘇らない。
▼でもね、裏を返せば、普段生きていて厭な思いをしたときに毎度名曲を聴かされることなんてない。こんな新しい体験が『ファークライ』を除いてどこで体験できましょうか? 曲のイメージまで変えてしまった強制拉致イベントをこういった側面からも僕は支持しています(支持していません)。
▼以上2点は分かりやすい例であり、強制拉致・監禁&脱出については、『ファークライ』シリーズおなじみ(プレイヤーに嫌われがち)のものですが、私にとっては、この不便さやゲーマー視点でのいらだちを操作だけでなく音楽を利用して演出している点を高く評価していますし、今後もそうあってほしいと思います。
▼音楽を文章で説明すること、僕の実力では限界がありますが、喩えるなら(結局喩える)『メタルギアソリッド』シリーズのアラートBGM(被発見時に流れる曲)などは『ファークライ』の音楽の特徴に近いのではないでしょうか。と、ゲームのことをゲームで喩える暴挙をまたやってしまいました。本当はもっと明瞭な説明能力が僕にも潜在しているかもしれませんがめんどくせえので音楽の話はここまでです。
ハークに作られたテレビ君
▼続いて、『ファークライ3』以降全作品(プライマルでは当該の祖先にあたる者が登場)に登場するキャラクター、「ハーク・ドラブマン・ジュニア」についてお話ししましょう。
通称ハークは、ナンバリングの舞台それぞれにふらっと登場する人物で、プレイヤー側(味方)の人物として何かと協力をしてくれます。ゲームによっては、コンパニオンとしてワールドを連れ歩くことも可能です。5・NDではロケラン&SMGでプレイヤーのサポートを行います。
▼彼は発言も行動もポジティヴ(?)な方面に極まっており、拉致・殺人(戮)・(自粛)・(自粛)など、深刻な事情が背景にある各舞台において、このように明るく狂った人物の存在は、世界をマイルドにし・・・・・・と、言いたいところですが、マイルドにはなりません。ハークはド直球の下ネタ(う◯こ、エ◯有)、声がやたらでかい、暴力が好き、猿信仰などのパンクな属性をほぼ総て備えており、やかましい上に汚いです。本当に汚いです。
▼『ファークライ』シリーズは、独裁者が登場し、それに抗うことが大筋ですが、その独裁者の支配の方法は暴力的で醜穢、国内版は規制が強めに入っているとは言え、あまり良い気持ちはしません。また、僕のようにCERO:Zのおゲームに慣れている身であっても、主要登場人物たちの人間関係の乱れや葛藤、理不尽な展開、徐々に狂気に染まる主人公(とプレイヤー)などは、半分楽しみながらもどこか陰鬱で、厭忌な心持ちで進める場面が少なくありません。
▼そのように狂気に満ちた世界で、ハークはプレイヤーを〝悪い意味で〟肯定します。おかしくていい、変でいい、狂っていていい。俺を見ろ、こんなに狂っているのにこんなに笑っていると。斯様な荒療治、本当に狂っているヒトに対してはやったらアカンやつかもしれませんが、僕は彼の生き様にかなり影響を受けました。全事象を笑う、笑いに変える、重く捉えない、全事象泡沫。最初に出会ったときは、彼が黄金(う◯こ)色に輝いて見えました。
▼誤解を招いたかも知れないので断っておきますと、下世話なことをむやみやたらに言うことではなく、ハークのその生き様に憧れたわけですからね。ね。僕は下ネタなんて言ったことないですし、暴力反対、怒鳴り声嫌いの快便太郎ですからね。(?)
▼彼のように、説教や指導や優しい言葉ではなく、そのくそみてえな行動で、きたねえ笑い声で、しかも涙を流させず、人を動かせる/笑わせることができたらどんなに素敵なことか。最初にハークを見たのは『ファークライ3』なのですが、それまで和ゲーのキャラクターばかり注目していたので、本当に刺激を受けました。あ、なんかめっちゃ魅力的な人物として挙げているように見えますけど、僕自身も軽蔑してる部分けっこうあります。うそうそ。好きですよ。
▼以上、これ、仕事のメールの返信待ち中に書き進めていたのですが、さすがにそろそろ同僚も後輩も寝たと思うので、僕もここで一旦区切りとします。本当は『ファークライ6』発売に向けて、『ファークライ』シリーズの様々な魅力を書こうとしていたのですが、結局テレビがテレビを説明しただけのなにかになりましたね。これでは宣伝になりません。自分でも困惑しています。
▼『ファークライ』シリーズの他の点については、後日触れます。何度か後日後日言うてましたけど、一度も実行されてませんね。こういうときはハークを見習いましょう。なんでもかんでも雑でいいんですよ。いやよくないときもあるけど。いや雑でいい。
またいずれ気の向いた時にお会いしましょう。ぽぽぽぽぽぽ。
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