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すゑひろがりすぎた宇宙――ど根性事故『ノーマンズスカイ』譚――

オリン◯ックは毎度毎度僕の好きな野球チームの選手が怪我しないかとか疲れすぎないかとかすごく心配になる時期なんですが、結果応援して泣いてることが多いです。浅はかで正直者を売りにしています。テレビです。おはよう。

▼ここ一週間ほど、本腰でゲームをしておりません。というのも、目が、目が、見えない。元来目が悪いのでコンタクトレンズを常用しているのですが家でつけるのも面倒なお年頃、平たく言えば在宅勤務なので、メガネがいい。ところが新調したメガネ、見えやすいのは見えやすいものの耳が痛い。耳が痛くてヘッドセットもつけられない。そんなかんじです。

▼暇を見つけてはSteamのロックマンをちょぼちょぼやるのですが、最近は完全にもうそれだけです。あれけっこう疲れたときとかも良いですよ。さくっと死ぬので精神力も鍛えられます。曲がめちゃくちゃ良いので、それを聞くためにやるのもオススメです。

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根性スカイ

▼今回は『ノーマンズスカイ(No Man's Sky)』のお話をします。とはいえシナリオにはあまり触れたくないですし、僕の建築能力もささくれレベルなので、表面をさらっと撫でるくらいの話しかできません。桜餅や若鮎を手でつかむときのような優しさで見守って下さい。

▼『ノーマンズスカイ』はインディーズのスタジオ、Hello Games製作のSFアクションアドベンチャーゲームです。発売は2016年8月ですが、現在でも大型アップデートを繰り返す息の長いタイトルでもあります。Hello Gamesの実態をあまり知らないのですが、億万長者になってうまい飯を毎日食って欲しいです。

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▼というのも、発売当初、僕はPC版でプレイを始めたのですが、マーーーはっきり言ってガッカリ・・・・・・どころかクソゲーでした。マルチプレイがないことは措くとしても、あまりにも死にやすくあまりにもやることがない。星の生成に関しても、数を売りにしているのに種類が足らず、お散歩ゲームとしても評価できない。僕はかなり早めに宇宙からの離脱を図りました。

▼ところがその後、彼等Hello Gamesの根性を見せつけられました。大型アップデートを繰り返し、数年後には「SFゲームといえばノーマンズスカイ!」といっても過言ではないほどの評価へ変わります。最近もお空がギラッギラになる神がかったアップデートがなされ、プレイヤーを惹きつけて放しません。

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▼なかなかこういった開発者根性には出会えないものでして、Fo76のような大規模な後ろ盾があるならまだ息の吹き返しようもありますが、『レ◯◯◯◯◯ヴ』とか『A◯◯◯◯m』とか、金と人材を持ちつつもネガティヴな決断をしてしまうところが多いかと思います。そのような中でインディーズでありながら有言実行のさらに上を目指すようなところは本当に好感が持てます。毎日フォアグラと上海ガニを食べていて欲しい。

▼・・・・・・まるでずっと見守ってきたような口ぶりですが、2017年に参戦し其の後即離脱、年に一回友に誘われてプレイをしていましたが、やっとこさ前向きにプレイし始めたのはここ数ヶ月のことです。ふっふっふ。大丈夫! このためにコンシューマー版を買い直したから彼等にも利益があるさ!

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圧倒的事故多発ゲー

▼『ノーマンズスカイ』の魅力は建築! と言いたいところですが決してそうは思いません。建築用のカメラなども慣れれば使いやすく、パーツなども豊富、効率化もかなり研究されており、Steamのコミュニティ、Twitterなどでは日々一級建築士たちの超カッコイイ建築が公開されております。あれはまねできない。

▼僕も中規模程度の建築をやってみたりもしたのですが、まあガワだけのハリボテが限界ですね。いずれなんかちゃんとカッコイイのを作りたいという気持ちはあるのですが気持ちだけでは何も進みません。次に掲げる画像は能楽堂を再現しようとしたものですが、これ裏側は恐ろしいほどハリボテでそれもまた面白い気はしています。まったくガチ勢ではありません。すみませんでした。

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▼と、ガッチガチのゆるゆる悪ふざけ勢なのですが、このゲームの魅力、僕は〝事故〟にあると確信しています。なかなかソロではこの事故が起こらないのですが、マルチプレイだと分刻みで起こり得ます。いくつか紹介いたしましょう。

楽園でおぼれ死ぬ

▼『ノーマンズスカイ』の惑星にはさまざまな性格があり、中でも「楽園」に分類される星は、攻撃的センチネル(プレイヤーを見つけると攻撃)や天候の乱れ(嵐や吹雪)などがなく、拠点を構えるのに最適な星です。楽園以外の惑星では、油断しすぎると死にますが、換言すれば、楽園で死ぬ理由などありません。

▼ところがそんな楽園で死んだ者がいました。湖の中に「装甲二枚貝」というレアアイテムを落とすオブジェクト(近付くと攻撃をしてきます)があるのですが、彼はどうしてもそのアイテムが欲しかったらしく、操作もままならない中、何度も躍起になって装甲二枚貝へアプローチをしておりました。ほぼ初心者状態だったのも不幸の伏線、レアアイテムを獲得したときにはもう息も絶え絶え、みごとに「溺死」したのです。

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▼Minecraftのように死後は死亡地点にアイテムが残るのですが、その位置も把握できず、友にその位置を見つけてもらい指示された矢先、また水の中で迷子になり、また別の友に自分を発見してもらって誘導される、というクソゴミムーブ野郎がいました。マルチプレイだったからロストを免れたものの、このような事故(バカ)、起これば起こるほど面白いですよね。

岩石との熱き戦い

▼また別の宇宙の話、『ノーマンズスカイ』では「水銀」という特定のクエストをクリアしないともらえない貴重な通貨があります。こちらを手に入れるためのクエストもマルチプレイでプレイ可能です。その日選んだクエストは「海賊(敵の宇宙船)を殲滅する」といった内容でした。

▼目標である敵の宇宙船について、クエスト選択時に自動的にマーキングされ、そこまで自身の宇宙船で近づき、攻撃をする、という手筈をとります。敵の宇宙船はそれほど強くないので、サクッと終わるクエストです。3人で宇宙へ海賊狩りに出かけ、海賊を発見、さっそく攻撃を開始し、殲滅を行いました。

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▼ところがクリア時、周囲に友が一人いない。加えて、その居なくなった友がまだ攻撃中のような発言をしている。その状況を伺いますと、どうやら彼女の周辺には、奇跡的に別の、クエスト目標ではない、野良の海賊(野良といってもプレイヤーではありません)がいたらしく、そちらを攻撃していた様です。いいえ、そうではなかった。

▼友が一人、彼女を助けようと駆けつけたのですが、どうやら彼女はその野良の海賊でもなく、岩石(小惑星、上掲画像に写る岩)を懸命に攻撃していたのです。結局助けに走った友が野良の海賊を殲滅し、彼女は終始岩を攻撃し続けていた、非常に面白く思い出深い出来事でした。

涙の城下町

▼『ノーマンズスカイ』の一級建築士として支持したい友が一人居ます。僕が「白鷺城(姫路城)を作れ」と半ば強引に城を造らせたわけですが、その出来が想像を超えてすばらしく、全世界に知らしめたく思っております。次の画像は七割ほど完成時の、友の作成した白鷺城です。

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▼星が全体的に桃色に染まっているため、白鷺城というよりニッポンの城! なのですが、どうですかこれ。限られたパーツでここまでの雰囲気を出せるなんて夢がありますよね。彼のクリエイティブなセンスやその仕事の早さに日々驚かされます。と、一生その憧憬の眼差しを向けていたかった。

▼この白鷺城、のちに「城下町」を造ろうということになり、彼はふたたびさっさと完成させたわけなのですが、後日見学に参ると、ない。城下町が、ない。自身の建物の読み込みとフレンドの建物の読み込みにはラグがあるのですが、僕の画面では一生その城下町を読み込まないまま時がただ過ぎてゆきました。

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▼拡がる悲しき光景。僕ともう一人の友は、宙に浮かぶ一枚の板だけ読み込みが完了している状態なのですが、作成者本人は文字通り宙に浮いたままです。左上はその作成者の画面をシェアしている画面ですが、そちらにはちゃんと建物があることが分かると思います。この世界で、この広大な宇宙で、これほど哀しい建築士が他にいましょうか。

▼せっかく造ったのに、と落ち込む作成者をよそに、僕は笑いが止まらなかったのですが、別の惑星の建物はすぐに読み込みました。どうやらこの白鷺城だけが何かに――いや明らかにサーバーに――呪われている様です。彼の建築はTwitterで公開されていますので、是非御覧下さい。白鷺城の総てを実際に見ることは叶いませんが。。(白鷺城作成者Twitter ID : @M39Wjg )

イカれつちまつた友

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▼また別の宇宙の話、先述の一級建築士の作成したダンジョン(パズルありの迷路)を訪れていたときのことです。ダンジョン内部は二層の迷路になっており、5つのスイッチを押さなければ脱出することができません。僕は迷路には入らずダンジョンの天井部(外側)から友が迷路をさまよう所を見守っておりました。

▼と、いきなり左側のログに「◯◯(友)が死んだ」との表記が。何事かと思ったところ、どうやらプラズマランチャーを放ったらしく、文字通り誤爆をした様です。しかもこれ、このあと同じ事を2度やらかしたんですよね。彼は元々頭のおかしい人ですが、僕はこのときついに狂ってしまわれたと確信いたしました。コーヒーをがぶ飲みしてゆっくり眠りについて欲しいものです。

多々死ななければゲームではない

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▼以上、様々な事故を紹介して参りました。この他にも、◯の旗乱立事件やブチギレスリッパ、転がるセンの古城、繰り返される遅刻、◯ョー◯ー◯ョー◯ー事件、等々、書き留めておきたいことが多々ありますが、インターネットに大公開すると危ないネタもあるのでこの辺りで筆を擱きましょう。

▼ゲームではないなんて大げさなことを申しましたが、このゲームの何よりの魅力は事故及びマルチプレイにあると自信を持って言えます。その楽しみの土台には建築もありますが、決して完成が目的やゴールではないなあと、しみじみと感じました。なんかこれ、友達と遊べばなんでも楽しいという結論になりかけてません? このゲームの特徴になってる? なってなくない?

▼最後迷走を見せましたが、また何か宇宙の湖へ沈む者が現れたら書き始めます。

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