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#映画
「戦はクソバカのやること」映画『首』『鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎』レビュー【戸田真琴 2024年2月号連載】『肯定のフィロソフィー』
連載バックナンバーはこちら ※本連載はTV Bros.2月号YouTube特集号掲載時のものです 北野武監督『首』を観に行くと、タイムスリップした女子高生と特攻隊員のラブストーリー映画の予告編が流れていた。福山雅治の歌声も相まって感動的に演出されていた。あまりにも悪趣味だろうと思い吐き気がした。このことをXで呟いたら、その映画の試写を観たという人から「女子高生が特攻隊は犬死にだと主張する映画でしたよ(意訳)」というフォローは来たものの、反戦の意図が脚本に含まれているにし
「教科書を迅速に突破し遥か光る個人へと辿り着け」-映画『バービー』と『君たちはどう生きるか』が同時にかかる2023年に向けて【戸田真琴 2023年9月号連載】『肯定のフィロソフィー』
※本連載はTV Bros.10月号同居生活特集号掲載時のものです 映画『バービー』は、その作品自体が目指そうとしたものからきっとそう遠くない、まさに見事な仕上がりだった。フェミニズムに無関心な(正確には、無関心でいられるという特権を持った)層に最初のデコピンをするにはとても効果的な作品だと思う。誰もが知っているおもちゃを題材に、ファンタジックSFとして一見隙のない脚本をつくりあげ、数々のメタファーを散りばめて、高クオリティのキャストと演出でパッケージングする。ハイヒールか
「あなたをどんどん美化してゆきたい/映画『スペンサー ダイアナの決意』感想によせて」【戸田真琴 2022年10月号連載】『肯定のフィロソフィー』
バックナンバーはこちら 自伝、自叙伝、私小説、そういったものの存在について考える機会が増えた。私は現在アダルト女優を生業としていて、来年の1月に引退することを発表済なのだけれど、かつての同業者で引退時に自分の職業体験やそれを越えた自分史とみられるものを書籍にして去った人も何人か思い当たる。アダルト女優というのはそのセンシティブな仕事内容と世間からの見られ方のリスクの高さゆえ、プロフィールや経歴の出し方を事務所や所属メーカーなどと協議して決めることが必須で、その存在自体がデ
映画館で映画を観る幸福体験…『ワン・セカンド 永遠の24フレーム』を見て思い出した、あの日の記憶【大根仁 6月号 連載】
おおね・ひとし●『DENKI GROOVE THE MOVIE2?』制作中。 もう5年も撮っていないとはいえ、オレとて映画監督の端くれ、「映画は映画館で観るべき!!」と、常日頃から声高にアピールしているが、予告編を観て「これは配信でいいか……」、映画館で観ても「DVDで観りゃよかったな……」と思ってしまうことが多々ある。自宅のテレビもそれなりにデカいし、作業部屋の視聴環境も充実している。タバコを吸いながら観られたり、加齢と共にすっかり近くなってしまったおしっこを催した瞬間に