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人生で一番好きだった人

人生で一番好きだった人の話。

大学に入学して、たまたま行った軽音サークル。
初めて挨拶してくれた年上の彼が、人生で一番好きだった人。
初めて会った瞬間から何か違くて、懐かしい感じがした。人生で一回もあったことが無いのに。人生で初めてのひとめぼれだった。
身長も高くない、顔も大してかっこよくない。本当に魔法の力。
基本的には無臭、たまに深みのあるウッディの香りがする。
少し音楽の話をした。後で彼のツイッターに私がこの時勧めたバンドが載っていて嬉しかった。

インスタを交換してから連絡をした。でもどうせ彼は私のこと好きになってくれないだろうな。という思いとともに。

しばらくして彼女がいることが分かった。自分の心が本当にダメになってしまった。
相手はセンスが良くて、誰にも憎まれることがないくらい中身がよくて、顔も可愛い人。私も恋してしまうような人。
それが大学1年生の5月。

それから月日が流れて、恋愛関係は色々あったけど結局忘れられないのは、彼のことだった。
彼はさっきの彼女とは別れたけど、アプローチできなかった。

大学2年生の8月。
ちょっと相談事があるといって、彼と二人でサシ飲みの機会を得た。思考や趣味からも尊敬できる所がいっぱいあるので、しっかりと相談をした。私としては紛れもなく好きだという気持ちが分かった。

その1週間後くらい、深夜バイト終わりの彼に電話した。先日はありがとうございましたと、恋愛関係になることを前提にデートをしてほしいと伝えた。

彼には
好きな人がいた。


大学2年生の3月。
彼はこの軽音サークルを卒業して東京に就職することになった。最後に彼はTHE 2を演奏した。もともと好きなバンドだったし、選曲も卒業にぴったりで私は涙をこぼしてしまった。
彼の汗が光りながら演奏している姿を見て、私は彼のことを忘れようと思った。
もう2度と思い出さないように、
強い覚悟を持った。

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