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「すき焼きについて」


和牛香を楽しむ料理として「すき焼き」がある。   

「香りを楽しむ」という食文化は洗練されているだけでなく、過食を避けるという意味でも好ましいと思う。                   

和牛香の成分は「ラクトン」という。ラクトンは若い女性特有の香り成分でもあり、食品では杏子、桃などの果物やジャスミンなどの香り成分としても自然に存在する。

ラクトンは80℃で2分程度の過熱が最適調理条件とされていることから焼肉やステーキよりも、すき焼やしゃぶしゃぶが香りを楽しむ調理方法として適している。またこの香り成分は真空包装された状態ではなく、封を開け肉の表面が乾かない容器に入れるかラップをして、冷蔵庫で1日程度肉を空気に触れさせるとはっきり出てくる。

すき焼にはBMS8程度のサシが入ったロースが良く合う。和牛香も、程よくサシがある部位が香りも強い。好みで赤身肉を使う場合でも小ザシのしっかり入ったものが香りも良い。

熱した鍋にケンネ脂を敷いてロース肉を焼き、適量の割下を肉に纏わせ、焼きすぎない程度で溶いた生卵に絡めて食べる。この1枚目に食べるロースは野菜の雑味も混ざらず絶品だ。まずはそれを味わってから、野菜と肉、割下を鍋に投入する。家庭で食べるには割下として味を最初から決めてある関東風のやりかたが味付けの失敗も少ない。

すき焼は適度な霜降り肉が合うのだが、その霜降りの脂質が良く無いといけない。なぜなら適度に脂を落としながら焼く焼肉と違い、和牛肉全ての成分を身体に吸収する料理だから。昔から、すき焼は未経産(メス牛)に限ると言われるように、未経産黒毛和牛の脂質はオレイン酸値も高く身体に優しい。月齢も一貫生産のものであれば28ヶ月以上の肥育日数があれば十分美味しい。熟成も軽めのものがすき焼きには良いと思う。

割下はシンプルに酒、砂糖、醤油を浄水で適度に薄めて火入れし仕上げる。シンプルな割下は和牛香や和牛の味を邪魔しない。割下の保存性を高めるためにあえて味を濃くしたり、とろみをつけたりせず、スライスした和牛肉と一緒に容器に入れて-50℃冷凍すると良い味加減をご家庭でも無理なく楽しめる。