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四国随一の名人

山種易産業株式会社 倉山様

昨日枝肉を購入させていただきました、香川銘牛会の倉山様の牛舎にお邪魔いたしました。倉山様は四国一大規模な繁殖農家さんであり尚且つ一貫生産農家さん。牛舎での肥育頭数は約1000頭、現場スタッフは常時7~8名。現在深刻化しつつある飼料不足(高騰)下でも社員の方にキチンとボーナスを支給する敏腕経営者でもあります。近隣に新しい牛舎も建設中。しかしそのお人柄はとても穏やかで謙虚。初対面の私にも非常に丁寧に接して下いました。人物としても筋金入りの本物感を感じずには居れませんでした。

約1000頭もの牛さんを肥育する牛舎は、一般人は先ず立ち入らない私道をぐるぐるくぐり抜けた山の頂きにあり、とても風通しがよく、水質も良く、牛舎特有の匂いが全くしない。牛さんも全く鳴かずシーンと静まり返っていて、かすかに瀬戸内海に面した海と山から吹く風の音が聞こえるのが印象的でした。

ちなみに倉山様は「牛ってそんなに鳴かないですよ」と

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子牛さん達は生まれてからいつもの見慣れた幼稚園メンバーで部屋割りされ、ストレスなく育てられる。その証拠に倉山様の牛舎の牛は全員人懐っこい。近づくと牛さんの方からこちらに近寄ってくる。安心して人間に命を預けている証拠だ

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万歩計を付けた母牛。歩数が上がるとお産が近い事をAIが教えてくれる

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こちらは膣内に温度計を入れた母牛。例えば温度計38.5℃→37.5℃のように牛さんの体温が1度以上下がると24時間以内にお産の可能性が高い事をAIが教えてくれるしくみになっている。


倉山様は飼料も全て自社配合で、業界では数少ないモネンシンを使わない農家さんとしてプロ界隈では知る人ぞ知る存在。モネンシンはオレイン酸などの不飽和脂肪酸の量を減らし肉質にもごくわずかな苦みをもたらすと言われている。牛さんへの命への敬意やお客様への安心安全への配慮、脂質への並々ならぬこだわり。実業人として先に見据えるもの。そしてそれらを自ら語らない事。全てに凄みを感じずにはいられない。

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こちらは天日乾燥のオリーブ粉末。
オリーブに豊富に含まれるのはオレイン酸と抗酸化成分。オレイン酸により旨味が増し抗酸化成分によりよりヘルシーに、干し柿にヒントを経て天日乾燥したオリーブは糖分がカラメル風の香りを生み牛が好んで食べるという。
オリーブ牛公式HPより参照↓

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こちらは脱脂米ぬか。足の先まで美味しい和牛に育つには必要な飼料の一つ過去記事参照→https://note.com/tuyoponponpon/n/n2ade8aa49561


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上記の写真のような身体が丸くて、胴が短く、足が短く細い。これが美味しい黒毛和牛の特徴。

また、牛の毛が随所に立っているのはビタミン過多、背中が濡れているのは脂分が多すぎる等、生体の牛さんからは様々な事が読み取れるのですが、これだけの肥育頭数を有しながらも今回そのような牛は倉山様の牛舎では見当たりませんでした。

倉山様この度は本当にありがとうございました。感謝!

(追伸)

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これが今回倉山様より購入させていただいた黒毛和牛の血統証明書のコピー

種牛である美津照重(みつてるしげ)は純但馬の系統で”小ザシが入る”のがその特徴と言われていて実際に購入したのは今回初めて。とても楽しみだ。

私が日本でも数少ない一貫生産の農家さんからの和牛購入にこだわる理由は、一般的な農家さんよりもイメージ通りの牛さんを育て上げる技術に秀でているからです。独自の系統管理と飼料配合、そして生まれてから出荷されるまで同じ環境でストレスなくイメージに即した健康管理がなされること、一頭ごとの味のブレが少ない事等々・・世界で最も優れた肥育技術を有しているのが和牛の一貫生産農家さんだと私は感じています。私見ですが、神戸松坂などのブランド牛信仰は間違いではありませんが、一面的にみると「旨い和牛のセオリーはすでに決まり切っている」というスタンスにも取れ、それはある意味での「可能性の否定」であり業界の革新と成長を抑制する思想でもあると思うのです。

”万国に秀でたる肥育技術を有する人”それが日本の一貫生産農家さんです。私は許される限り一貫生産農家さんの”足の先まで旨い和牛”を購入させていただく事で、思想と技術という2つの付加価値を学び、それを飲食の観点で自ら表現し、いつか何かで地域のお役に立つことが出来ればと思うのでした。 

(今回ややイキッて書いてしまった事をどうかお許し下さい)つづく

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