「Youは何しに実習へ?」
振り返ること約30年前。
教育実習中にはまだ結果も出ていなかった教員採用試験に2次試験結果待ちだったのは、同じ期間実習を受けた私だけだった。
私自身と言えば、そこに至るまでの経緯が経緯なので「落ちる」と思っていた。だから、実習終わったら就活再開かなぁ。でも、採用試験不合格でも講師の募集があると聞いたし…と先行き不透明だった。
だからあくまで免許を取るためだけの実習だったのだが、
「採用試験2次結果待ちなんだって?受かるでしょ、多分。だったら授業たくさんやっておいた方が、この先こまらないよね。」と担当の先生に笑顔で言われた。
その結果、見学わずか2日で残り全部は担当の先生の授業をやらせていただくことになった。
私が甘かった。そして間違ってた。
自分に正式採用の可能性がある以上は、一人前になるために前向きに、かつ真面目に頑張らないといけない。この実習はそのために母校が提供してくださっている実地の機会なんだ。免許の為、とか甘えたこと言ってる場合じゃない。と実習前のその打ち合わせで思った。そして覚悟を決めた。
当時の制度でたった2週間だったけど、とにかくひたすら家に帰っても机に向かっていた。今考えると羨ましい(?)話だが、3kg以上体重が落ち、スカートのサイズが9号から7号にまで落ちたほど。
でも、やりがいはとてもあった。いろいろなことに考えをめぐらせて、授業の組み立てはなんて楽しい作業だろう。そして毎回の授業の生徒の反応がとても楽しみになった。教師っていい仕事だなぁ。
そんなとき、控室で他の実習生と実習について語らっていたら、若手教員の先生がそんな私たちを見て、厳しい御指導をいただいた。
「この中で採用試験1次合格したやつがいるって聞いたけど、教員の仕事なんてそんな生半可なもんじゃない。授業だけが仕事だと思うな。」という趣旨のお言葉だったが、在学生の頃にはいわゆる「さわやか系イケメン」で通っていた先生なだけに、その言葉を私たちに放つ様子は意外でしかなかった。
そしてこの言葉の意味を次の年には思い知ることになるのは、また別の話なのだが。
そんな自分自身の体験もあって、実習生を迎える時は、「先生」として扱う。学生の気分で実習に取り組むような人にはかなり厳しい態度をとる。それはその実習生の為にもならないし、何より生徒に有害だから。
授業内容についても、「好きなようにやっていい。あとの責任はとるが、相談には乗るが丸投げは受け付けない」と伝えている。自分の授業のスタイルは自分で作るものだと思っているから、何もかもこちらに決めてもらおうとする態度ははねつける。ノープランでビジョンを持たないものが教師になるな、とまでは言わないが、その姿勢ではこれまで彼らに指導してきた先生方に対して敬意がなさすぎる。
それは授業の上手い下手、というよりは「生徒に何を伝えたいのか」という思いが感じられるかどうか、という事に尽きる。
その結果、教員になることをあきらめるなら仕方ない。そのマインドで教壇に立つのは無理だろうし、今がその時期じゃないのだろうから。
自分で言うのもなんだが、結構めんどくさい指導担当だとは思う。
やはりこれもまた、実習時代から今に至るまで、私を育ててくださった先生方の遺伝子であり、引き継ぐべきものだと信じている。
それが伝わるかどうかは受け手側次第ではあるけど。
教師だけでなく、実習に出向かれる学生の皆さん。
あなたはどんなマインドで実習に取り組みますか?
(67/100)