しもべどもから見た『蛮族鯖』の歴史

昨今はインターネット時代と言われて久しいが、かつてユーザーに無限の知識を授けることが期待されたインターネットはその情報保持能力の低さが露呈している。2019年3月にジオシティーズ、2020年9月にNAVERまとめ、2020年12月にAdobe Flash Playerがサービスを終了したことは記憶に新しい。こうした情報の保存という観点でインターネットが紙や石板に劣ることはあちこちで主張されている。老人と揶揄されるサービスを利用しているSCP-JPサイトメンバーであれば、その実感は一段と強いものではないだろうか。

ここで、SCP-JPの歴史に大きく影響したであろう『21, 22職員サーバー』すなわち『蛮族鯖』を取り上げたい。上記のような開いたサービスでも情報が風化し消失していく以上、閉鎖的なDiscordサーバーは歳月を経ると共に輪をかけて実態が摩滅しやすいモノであろう。しかし、60名以上が参加し数多くのユーザーが作品を残している以上、インターネットを駆け抜けるSCP-JPの中である程度のムーブメントを引き起こしていることは疑いがない。今回はSCP-JPの一翼を担う蛮族鯖について、ここにストック情報を残す目的で特筆する。後世においてコミュニティの歴史を振り返る者がいれば、その者の一助となれば幸いである。

ただし、今回の記事内容はあくまでもTutu-shの史観に基づくものであり、蛮族鯖内部でコンセンサスが得られたものではないことには留意されたい。大所帯である以上蛮族の生息地や生態は多様であり、サーバー内部で見えている要素やその優先順位は個々の野蛮人ごとに異なることであろう。ここでは1ユーザーの観点に基づく蛮族鯖を記載する。

概要

蛮族鯖は、2022年6月に発足したDiscordサーバーである。その大目的は2021年組と2022年組、すなわち当時における新人サイトメンバー同士の交流を深めることにあった。いつの世においても、先輩の居ないところで新人同士が羽を伸ばせる環境を創出する試みは行われているのではないだろうか。蛮族鯖の設立もそうしたままある流れの中で成立したものである。

蛮族鯖の機能はザイカツの支援とプライベートの交流促進の2つの側面があるように思われる。「執筆議論」「烏龍茶」「批評してほしい記事」などのチャンネルが前者にあたり、創作活動にあたってブレスト・批評・ノウハウの習得など幅広く執筆を支援するシステムが備わっている。翻訳者は人口が少ないため執筆者のニーズと比較して目立たないが、執筆支援システムを流用した査読依頼の提出が可能である。「雑談」「サブカル」などのチャンネルが後者にあたるが、このチャンネルで繰り返された流行り廃りは後述したい。

なお、参加年次・活動年次でメンバーを区切り、加入に際して審査を行う、という明確な参加制限を課したSCP-JP関連Discordサーバーはおそらく稀有なものであると思う。特に参加年次による分類は画期的な仕組みであり、参加可能者の増大が停止する2022年の年末には今後の蛮族鯖の行く末を心配する声も外部で上がっていた。こうした特性を持つ蛮族鯖が成立した要因に新型コロナウイルスの世界的流行に伴う社会の変化を挙げる声もあるが、蛮族鯖の構成に高校生~学部生の学生が多いことを踏まえると、これはある程度の説得力を持つように思う。

以下では、筆者の視点から歴史を辿る形で蛮族鯖を掘り下げていく。

ムシブ朝

発足(2022年6月13日)

ファイルページ: ぜったいに ころばない by dado 差し替え
ソース: http://scp-jp-storage.wikidot.com/file:7603094-35-ghqo
ライセンス: CC BY-SA 3.0
タイトル: dado差し替え
著作権者: Musibu-wakaru
公開年: 2022

蛮族鯖の発足は2022年6月13日のことである。当時はわかばコンテストの投稿が締め切られて2, 3日後というタイミングであり、スタートダッシュを切って順調に評価を伸ばしていたSCP-1422-JPSCP-1602-JP、複雑な設定と重厚な構文で話題をかっさらっていた或る西瓜の提言といった作品が注目を浴びていた。こうした中で、SCP-1422-JPの著者であり蛮族鯖の設立者であるMusibu-wakaru氏は他の話題作の著者であるgokiso氏やR-suika氏と同盟を結んで後日のイベントに参戦したいという狙いがあり、そのきっかけを作ることも兼ねて蛮族鯖の開設に着手したという。これが政治である。

さて、筆者も当時わかばコンテストには参加していたものの、全身全霊で臨んだTaleの評価が低空飛行しており、コンテストに対する意欲は5月時点で早々に尽きていた。またコンテスト前後で投稿した作品の評価が以前ほど振るわなかったこともあり、ある種のスランプに近い状況下にあったと思われる。金メダル越えの著作を2本残した後で評価+10~+20が連続したことは、著者としての力が付いたと自負していた当時の自分には苦しいことではあった。またリアルでの用事が控えている時期でもあった。このため、Musibu-wakaru氏によるサーバー参加者募集ツイートを見かけた際は黙殺を決め込んでいたのである。

しかし、どうやら設立当日にGW5氏がMusibu-wakaru氏に私の参加要請を打診したようであり、Musibu-wakaru氏から直々にお声がけいただく運びとなった。もしGW5氏が声を上げなければ、また筆者がこれを拒否していたならば、いくつかの著作は生まれなかったであろうし、ザイカツの様子も大きく異なっていたと思われる。この場を借りて、両名には深く感謝申し上げる。

黎明期(2022年6月~7月)

さて、参加直後から蛮族鯖は激動の中に身を投じていくこととなる。Musibu-wakaru氏が追加した"蛮族"絵文字の影響で「蛮族サーバー」という名称がTwitter上に流出し、設立から3時間で「蛮族」のアイデンティティが確立されることとなった。同時期に追加された絵文字には"なにこれ"・"良"・"よろしく"・"参加します"・"ありがと"などの絵文字があったが、その中でも"蛮族"は異彩を放っていたと言えよう。Musibu-wakaru氏以外の参加者には「しもべども」のロールが付与され、蛮族を束ねる王による政権がここに爆誕した。

この時期、王以外に精力的なインフラ整備に乗り出していたのがkuromituzatou氏とkeroyu氏である。前者は絵文字職人として王国内のコミュニケーションの円滑化に貢献した。当時の絵文字には"ΩK"や"GH"をはじめとする各種K-クラスシナリオの絵文字が跋扈していたが、やがて同月中に"XK"のみを残して全て間引かれることになった。当然である。この他にも、その後同ロールを付与されたGW5氏と共に細々とした調整が幾度も行われており、詳細は枚挙に暇がない。

またkeroyu氏はある種の渉外として活動していた。具体的な業績としては王国外からのbotの導入とアイコンの設置が挙げられる。公式Discordでも活躍している皐月は発言の引用をはじめとする各所でユーザーをサポートし、FredBoatはボイスチャンネル「監獄」で猛威を振るった。気軽に無料でYouTubeを垂れ流せる音楽botの存在は執筆・翻訳のモチベーションを増進し、約4ヶ月に亘って蛮族のザイカツを裏から支持していた。筆者は当時創作のコツを学ぶために翻訳活動に精を出していたが、参加1年目で創作・翻訳を合わせて34本の投稿に至ったのも、この音楽botの存在が一因としてあるだろう。

また2022年7月9日ごろまで蛮族鯖のアイコンはトビと思しき猛禽の写真であったが、keroyu氏の働きかけにより、Kota-2氏作の蛮族アイコンが導入されることとなった。当該のアイコンは採用から11ヶ月となる今日においても、蛮族の顔として親しまれ続けている。

Qコン期(2022年7月~9月)

蛮族鯖成立から1ヶ月が経って安定し始めた頃、大きな2つのイベントがあった。1つは蛮族文体シャッフル企画、もう1つはQのコンテストである。ただし、筆者はいずれのイベントに対しても当初は距離を置いている身であった。

まず文体企画に関しては、これは外部で行われている700字文体シャッフル企画を蛮族限定で取り行うことをfour Boretto氏が提案したことに端を発する。筆者が積極的にサイトメンバーを追っていないこともあり、蛮族が何時からこの文体シャッフルに興味を持ち始めたのかは記憶にない。ただし、7月10日時点で蛮族が本家文体にカチコミを仕掛けた記録があり、おそらくこの頃に関心が強まったものと思われる。筆者は本家文体に対して抵抗感を抱いていたため、本家文体に盛り上がりを見せる蛮族とは裏腹に敬遠の姿勢を取っていた。

しかし蛮族だけで行える気軽なイベントとなると好奇心が上回った。蛮族文体シャッフル第1回「勝者」は7月23日から8月23日までという長期に亘って開催された。これは蛮族文体自体が初の試みであったため猶予期間が長く取られたわけであるが、これが筆者による魔の4作エントリーを許すことになった。多くの参加者が1作しか作品を執筆しなかった中、R-suika氏と筆者のどちらが何作投稿したのか分からないという要素がゲームに出現し、文体当ての難度を釣り上げる結果となった。8月23日の蛮族鯖は筆者の4作投稿とDr_rrrr_2919氏のアフリカンシンフォニーにより阿鼻叫喚の様相を呈し、これ以降の文体シャッフルでは複数投稿と短歌に制限が加えられた。ルールの改訂を迫る歴史的な出来事であった。

また同時並行で蛮族鯖の面々はQコンへの参加を見据え始めていた。当時の筆者はQに合致するテーマがキアンゾウサウルスしか思いつかなかったため参加を見送っていたが、Qコンと無関係に執筆していた報告書をQに繋げられることに気付き、電撃参戦を果たすことになった。投稿期間開始前日の公式定例会で最後の批評を受け、日付が変わって30分後、見事スタートダッシュを切ることに成功した。

ファイルページ: Actinocyclus
ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Actinocyclus_normannii.jpeg
ライセンス: CC BY-SA 3.0 タイトル: File:Actinocyclus normannii.jpeg
著作権者: Kristian Peters
公開年: 2009

この頃、Qコン対策として8月19日に始動したのが蛮族定例会であった。当時は著しい人員不足に悩まされていたものの、公式定例会の非下書き批評回を穴埋めする形で実施される蛮族定例会には週1回のリアルタイム批評を担保する機能があり、これに救済された蛮族も数多く居たのではないだろうか。休止期間を挟みながら、断続的に行われている取り組みの1つである。

さて、一時期はQコンS部門の最前線を走っていた拙作SCP-798-JPであったが、やがて追い上げてきたSCP-1790-JPに抜き去られることになった。筆者もSCP-1790-JPの批評に参加していたため、育ての子が実子に勝利したかのような感覚である。やがてSCP-1790-JPの評価はSCP-1422-JPの評価をも抜き去り、これまで王国内で最高評価を得た著者はMusibu-wakaru氏からKABOOM1103氏(当時はKABOOM1167)へ交替となった。これにより、Musibu-wakaru氏に政治の実権を預け、KABOOM1103氏を表向きの新王とする体制が成立した。キメタマ期に実施された第2回蛮族文体のテーマが「転換」であったのもこの体制の成立を象徴している。

キメタマ期(2022年9月~11月)

Qコンが終結した後、近づいてきたイベントがキメタマコンFinalである。非公式コンテストながら公式コンさながらの注目度を持つ本共著イベントを前に、Qコンで猛ったばかりの蛮族もさらなる盛り上がりを見せていた。Musibu-wakaru氏がR-suika氏とgokiso氏に狙いをつけていたのもこの大会を見越してのことであった。当時の蛮族はケバブへの一過性の強い執着心を示しながら共著同盟の結成を進めていたのである。共著というまだ見ぬ行為への憧れというものも大きかったのであろう。

キメタマ期の前期~中期にかけては文化・政治的発展が強い時期でもあった。参加者も増加し、入国不可能な年次のサイトメンバーに向けた広報アカウントが設置され外交関係の構築も目指された時期にあたる。王国外でSuamaX氏がTutu-shローラーを展開した第2回蛮族文体の実施や、隔週の蛮族定例会を主軸として、寝落ちの頻発やベロベロmikukanekoをはじめとする独自の文化が醸成された。ケバブの大発生は10月11日、NO MORE 大政奉還は10月23日の出来事である。

なおこの頃、膨れ上がる国内人口に対し王の権力だけでは統制が行き届かないケースも考えられるようになり、Mikukaneko氏とKABOOM1103氏が豪族となって王の補佐を行うようになった。ある種の国家権力としての豪族STOPの登場であり、蛮族鯖では形を変えながらではあるが現在も王と豪族による支配体制が続いている。不穏な話題や「監獄」での爆睡に対して豪族が取り締まりを強化したが、こうした豪族制度の発達は後の頂上決戦や政権交代に余地を残すこととなった。

さてQコンでスタートダッシュを切り、同コンテスト開催中に2, 3本の翻訳を投稿する余裕のあった筆者は、続けてキメタマコンFinalにも出場することにした。特に共著者の希望は無かったが、GW5氏から声がかかったので、生物に関心を持つ者で1本ブチ上げてやろうという計画に至った。王国内のkeroyu氏、また国外のmatsuHDSS氏に声をかけ、4名で「絶滅鯖」を結成した。4名のうち3名が蛮族、残る1名も蛮族鯖の加入条件は満たしているため、ほぼ蛮族である。ただし、matsuHDSS氏は本稿執筆時点まで蛮族鯖への入国を果たしていない。

ファイルページ: Dibranchus spinosus
ソース: https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Skeleton_of_Dibranchus_spinosus_Annual_report_of_the_Board_of_Regents_of_the_Smithsonian_Institution_(1908)_(14770483145).jpg
ライセンス: パブリックドメイン/CC0
タイトル: File:Skeleton of Dibranchus spinosus Annual report of the Board of Regents of the Smithsonian Institution (1908) (14770483145).jpg
著作権者: Smithsonian Institution
公開年: 1908

キメタマ期後期の蛮族鯖はこれまでに類を見ない過酷な現場が生まれていた。卒論の〆切が迫る学部4年生部屋やセンター試験を直前に控えた進路指導室を想像すれば良い。特に8名で特攻を決め込んだ「烏合戦線異常有リ。」は当初から懸念されていた通りではあったが統率が取れずに空中分解に至り、執筆意欲の減退、Twitterでの愚痴、我が代表堂々退場すという惨状が広がっていた。「文明開化」は構成員が〆切間際で日本国内に逃亡したほか、サイレントに消滅したチームもあり、多くが苦境に立たされていた。共著という慣れない作業に蛮族が苦戦を強いられた、王国始まって以来の大事件と言って差し支えないであろう。

そんな中で我らが「絶滅鯖」は8月中旬から9月にかけて断続的な動きを見せていたため、比較的まともな日程でキメタマコンFinalを消化することができた。納期に間に合わせてくれた3名には頭が下がる。一方で筆者は蛮族の息がほぼかかっていない「クアドラプルギヴァー」としてもキメタマコンに臨んでおり、そちらで投稿したクリスクロスは王国内でも話題を呼んでいた。パズルを解くうちにラーメンを伸ばす者も居た。

3000-JP期(2022年11月~1月)

キメタマコンで打撃を受けた蛮族たちであったが、筆者に関してはその影響は軽微であり、当時KABOOM1103氏が開催していた完成コンに出場する余力を残していた。完成コンとは、気持ち良くSCP-3000-JPを迎えるにあたってまだ100近い空きスロットのあったシリーズ-JP-IIを可能な限り埋めようという試みである。これまでシリーズ-JP-IIを積極的に埋めていた筆者と利害の一致するコンテストであり、3000-JPコンへの参加を考えていなかった筆者には棚から牡丹餅であった。

本来はキメタマコン参加作を仕上げて年内の活動は終了するつもりでいたが、10月に投稿したSCP-642-JPの評価が振るわなかったことを踏まえ、リベンジに出ることにした。書く書く詐欺の横行する界隈において、ここに書かない詐欺を決行したことになる。キメタマコン終了5分後にTaleを投げた後、蛮族鯖内の「烏龍茶」チャンネルを駆使して24時間ジャムを決行し、月末には滑り込みで2本の報告書を投稿した。3000-JPコンへの参加意思が無かったがために取れた行動でもある。

なお、完成コンはleaflet氏がSCP-1775-JPで画竜点睛を描く者の座を手にした。今後のグレートブッシュドッグ王国の発展が気になるところである。また、筆者を含めた蛮族3名が最多投稿者としてママになるという結果に落ち着いた。

3000-JPコンについてはとりわけ強い意思を持たなかったため特筆すべきことが無いが、蛮族鯖に絡んだ話題ではgokiso氏のSCP-3000-JPが挙げられるであろう。本作は同年に投稿された作品の最高評価を塗り替え、gokiso氏・KABOOM1103氏・Musibu-wakaru氏が2022年のTOP3に躍り出るという快挙を成し遂げた。これを以てKABOOM1103氏に代わる新たな王となったgokiso氏は、ジンをPCにぶっかける荒業を披露したり、第3回蛮族文体で景品にされたりといった逸話も残している。

加えて、Syutaro氏も処女作をSCP-3000-JPコンテストに投稿して生存させている。わかばコンの頃には非サイトメンバーであった彼は新人敢闘賞の受賞資格を失っていたわけであるが、こうして非わかば世代の蛮族も時代の節目に姿を現している。彼はその後も数々の著作の投稿とVoteポリシーのプロパガンダによって、後に狂犬として存在感を強めていくことになる。

12月24日にはMikukaneko氏の主催で蛮族忘年会が実施され、「監獄」チャンネルで宴が催された。これは2022年1月から12月までのSCP-JPについて蛮族に焦点を当てながら振り返るというもので、本記事と主旨が重複する点もある。わかばコン以前の記憶を持たない蛮族が居ることに一抹の寂しさを覚えながらも、楽しく夜をふかしたのであった。この宴会ムードはその後も続き、2023年1月1日にも新年を祝うボイスチャットが開かれている。

なお、キメタマ期に筆者が発した一言である「ベロベロmikukaneko」が12月24日に掘り起こされてTwitterに流出したことで、ベロベロの語が蛮族鯖の内外で定着した。聞くところによると超現においてもベロベロ芸が披露されたということであるが、大丈夫だろうか。心配である。

イベント期(2023年1月~5月)

SCP-3000-JPコンテストが決着してからの蛮族鯖では、文体シャッフルをはじめとするイベントが頻繁に行われた。文体シャッフルに関しては1月の「愛執」、2月の「模倣」、3月の「空」、4月の「花」(および5月の「走」)が実施されており、本家文体企画に対抗心を燃やしたかのような怒涛の開催頻度となっている。筆者は「空」を除いて一通り参加している。以下、簡単に自著にまつわる感想を記す。

  • 「愛執」 - ジャック・ハークネス(下記動画参照)のまぐわいを描いたところジャック・ブライトと誤解されたのは大きな衝撃だった。そういえばここSCP界隈だったなあ、という。

  • 「模倣」 - 3, 4年前に『プライミーバル』の二次創作で温めていた案を流用できた回。うちの子を回収できて満足ほた。

  • 「花」 - もう著者を隠すのが面倒になっていたので堂々とダーレクを登場させた。意外と当てられなかったが、これは擬態だと認識させる効果もあったそう。

なお、この蛮族文体を通して2つ大きなミームが発生している。1つは抹ほたクソSS、もう1つは「満足ほたか?」である。元々「ほた~」という特徴的な語尾を持つFireFlyer氏はたびたびネタ枠扱いされることがあったが、1月にSealBaby-V氏が3点リーダを全角中黒で描写したSSがTwitterに放流され、これをきっかけにMatcha tiramisu氏とFireFlyer氏の相互作用が強化されることになった(なおSealBaby-V氏はこの中黒が根拠で文体バレに至った)。さらに2月になって登場したFireFlyer氏のマッチポンプが「お前はその馬鹿みたいな作品を書いてて満足ほたか?」である。抹ほた界隈は蛮族鯖においてもイレギュラーな文脈を持つ界隈であり、詳しいことは分からない。抹ほた文化を理解するにはTwitterとDiscordの両方に精通することが肝要であろう。

文体シャッフルを除いた大きなイベントでは、蛮族頂上決戦が開催された。KABOOM1103氏の著者ページも借りて実施されたこのイベントは蛮族が東軍と西軍に分かれて合計Rateを競うものであり、2ヶ月に亘って熾烈な争いが展開された。kihaku氏の1998アートワークやSyutaro氏のブライトTaleが大きな話題を呼んだ(エリアス・ショーとジャック・ブライトの関連は蛮族鯖においても大きなトピックとして扱われた)が、筆者としてはKABOOM1103氏が翻訳で必死のグミ撃ちをしてRateを稼いでいたのが印象に残っている。勝利を収めたのは東軍であったが、大型アートワーカーの台頭、テレキルAnomalousの出現など、それぞれの軍勢に各々ドラマがあった戦いであったと思う。

なお、筆者自身はこの決戦に関与していない。この時期の筆者は蛮族鯖の「執筆談話」チャンネルから生まれたTale「ウツボは死んで、腐って朽ちて、朽ちさせて。」を2月1日に撃ち込み、序盤において外部勢力として東西両軍を脅かしていた。その後、leaflet氏の「拝読しました」(ちなみに蛮族鯖内の「烏龍茶」チャンネルにアイディアが投稿されている)やiti119氏のSCP-3222-JPおよびジャムコン参加作が登場し、EianSakashiba氏の最強の大会コンテストや茜刺財団新聞2023年3月号を巡って鎬を削っていた。頂上決戦とは別に、こちらはこちらでウランバートルを舞台とした逃亡劇の最中にあったのである。

Derek Keats from Johannesburg, South Africa, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons

またこの時期には「読め」という奇妙奇天烈なページが蛮族wikiに出現している。SCPopepape氏やSyutaro氏をはじめ複数の蛮族の悪ふざけが積もりに積もったこのページは本稿執筆時点で超絶怒涛の評価-11を達成し、「はよ消えろ」というタグを設置されるほどのものであった。この頃にアイコンがハリモグラから妖怪へ退化したSCPopepape氏にはSealBaby-V氏やGW5氏をはじめとする各位から視覚的な理由に基づく批判が届いているが、妖への強い愛を持つSCPopepape氏には通じていない。

この時代に見られた文化的発展としては、蛮族鯖内にTwitterが出現したことが挙げられる。これは著作が金メダル(+50)を達成するまでツイ禁するという一部のサイトメンバーが実施している苦行に起源を持つもので、Musibu-wakaru氏やOwlCat氏およびSyutaro氏といったツイ禁勢が合法的にTwitterをキメる無法地帯であった。2月に勃興したTwitterはXコープの買収を免れたが、あまりに強力な蟲毒と化したため同月中に自重崩壊するようにして廃止された。

文体シャッフル文化においてはオモコロフォーマットを用いた蛮族文体感想が出現した。3月31日にMusibu-wakaru氏が開始した当該のフォーマットはその後も継承され、密かな楽しみを提供してくれている。また、LINEオープンチャットへの進撃や新ロール「蛮族禁」の登場もこの頃である。「蛮族禁」は国民の権利を公共の福祉に基づいたり基づかなかったりする根拠で以て制限するものであり、孤独から禁断症状を発症して王国に逃げ帰る者も居れば、活発過ぎるDiscordから離れた悠々自適なスローライフを送る者も居る。ライフスタイルの多様化である。

また、5月3日には東京ビッグサイトにて『超常現象記録-エリア0063』が開催されたが、西に生息する多くの蛮族もこの機会に乗じて東京に侵攻した。Musibu-wakaru氏が販売する蛮族Tシャツの目撃情報がTwitterで出回り、蛮族が円陣を組んだ写真が100ふぁぼを突破するといった、謎に高い発信力が強調されたイベントであった。なお筆者は不参加であり、その代わりというわけではないがrokurouru氏に続いて如月ヒガン氏とのインタビュウビュウに出演している。

カブーム朝

ショトコン期(2023年5月~)

5月14日に政権交代が起こり、Musibu-wakaru氏の権力は正式にKABOOM1103氏に引き渡されることとなった。従来執り行われてきた形式上の新王の就任ではなく、政治権力の移行を伴う新たな王の誕生である。これは水面下で行われたやり取りであり、突如として大政奉還・明治維新さながらの改革が起きていたことに驚く国民も少なくなかった。KABOOM1103氏が京大SCP同好会の会長を兼任していることから、蛮族が京都大学に編入されるというドリームを抱く者も居たり居なかったりする。

カブーム朝はまだ始まったばかりであり、主な出来事を記載するには尚早である。ただし1つの傾向として、積極的なイベント開催が継承されているというポイントはあるだろう。ショートコンテストと連動して開催された蛮族批評フェスティバルでは蛮族鯖からショートコン参加作・非参加作を問わず合計230の批評が送られており、公式コンテストと批評活動自体の活性化に貢献した。なお、うち98件は筆者によるものである。

またTwitter上でひと悶着あった蛮族文体シャッフル「走」に関する詔の発布をはじめ、Musibu-wakaru氏に劣らない危機管理能力も発揮されている。

SCP-JPが10周年を迎え23年組も動きを見せようとしている中、新たな時代に生きる蛮族の今後に期待する形で、今回は筆を置くことにする。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?