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重力について書く

今日は今私が関わっているダンス作品の共演者の堀内まゆさんから「重力」に関して文章を書いてください、と言われて彼女に書いたものを載せたいと思います。

以下

重力:地球上で物体が地面に近寄っていく現象や、それを引き起こすとされる「力」[1]。人々が日々、物を持った時に感じているいわゆる「重さ」を作り出す原因となる力。物体が他の物体に引きよせられる現象。および(その現象は《力》が引き起こしていると見なす場合の)その「力」。その物体の質量によって生じる時空の歪みが他の物体を引き寄せる作用。
 今回の作品×重力という事でもう瞬間的に閃いたのが21gという映画です。重さというのは体の大きさに比例してどれだけ体に重力がかかっているかという事でもあると思うんですが、この映画では人が死んだときに、21gだけ重さが変わる=魂の重さではないかという解釈をしています。
 古代ギリシャの時代からもう重力に対する議論を人々はしていたんですね。アリストテレスの「自然学」読んでみたくなりました。彼は落下するという事が宇宙の中心に近づく行為と書いているみたいです。舞踏からダンスを始めた私からするとこの辺は俄然親近感が湧きます。ではこの二つの話をくっつけると、アリストテレスはこの世界のものは4大元素からできていて(火、水、土、風)、「重さ」と「軽さ」というのはそれぞれ物質に内在している特有の性質だと言っています。その中にタマシイってのがあって、それは一律21gである、みたいな。←21gについてはダンカン・マクドゥーガルさんというお医者が行った人間の死ぬ際の重さを測定するという実験の結果みたいです。結果によると人間だけ21g重さが変わるけど、イヌは変わらなかったみたいです。なんかちょっと怪しいですね。もっと怪しい方向に行ってみましょう。
 私は幼いころから時々パニックの発作を起こしていました。それはだいたい決まって夜、それも水のある場所で起きる事が多いのですが、夜、例えばお風呂に入っていると、ふっと頭をよぎるわけです。「あれ、この世界に終わりはあるのかな?」と。こんなつまらない事を考えてしまうと、もう駄目ですね。頭の中でビッグバンから宇宙の終わり、そして終わった後まで勝手に想像してしまい、段々動悸が荒くなってきます。だいたい頭で宇宙を処理しようというのがもう傲慢ですね。イヌはそんなこと考えません。ネコもです。人間があくせく働いている横で犬様猫様たちは「おまえらそんなに苦しんで馬鹿じゃのう」なんて言いながらうつらうつらしています。だから私は夜風呂に入るのをやめました。これだけでだいぶ楽になりました。発作も最近はあまり起こりません。犬猫を見習い、もっと横になったほうがいいかもしれませんね。そして宇宙の中心=自分の中心に近づく=ヨガの死体のポーズです。
 あ、土方巽です。命がけで突っ立っている死体です。言いきっちゃう感じがいいですよね。自己中心的、宇宙的なんですね、土方さんもきっと。ここは土方さんに習って最後に私も言い切ってみましょう。重力=「亡者だって踊ってる」です。
言い切っちゃうました。なんだか気持ちいいです、清々しい気分です。
ありがとうございました。

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