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【詩の森】666 お元気ですか

お元気ですか
 
お元気ですか
体の調子はどうですか
あるヨガの先生は
人はIN-OUTだと喝破しました
僕の知っている詩人は
管のイメージで人を描きました
 
体の声を聞いていますか
僕は若い頃その声を聞かず
危うく死にかけたことがあります
今から思えば馬鹿なことをしたものですが
風邪だと高を括って
無理をしてしまったのです
 
頭がいい人という
ほめ言葉はあっても
体の声が聴ける人という
ほめ言葉はありません
養老孟司さんのいう脳化社会とは
体を低位に置く社会のようです
 
船瀬俊介さんの
『やってみました!一日一食』
は目から鱗の本でした
その中に腹八分で医者いらず
腹六分で老いを忘れる腹四分で仏に近づく
というのがあります
 
サルを二つのグループに分け
カロリー量を変えた実験では
60%群の寿命の方が1.6倍だった―――
それで長寿遺伝子の発見に繋がったようです
何を食べるかと同じくらい大切なのは
食べる量だったのです
 
ところで我家の猫たちは
食べ物を吐いたり下痢をしたりすると
きまって何も食べなくなります
そればかりか物陰でじっとしています
そして二日もすると
見違えるように元気になるのです
 
考えてみれば
野生の猫には医者も病院もありません
獲物に毎日ありつけるとは限らないのです
猫にはきっと体の声が聞こえるのでしょう
そして空腹に耐える力も
しっかり備わっているのです
 
食べ過ぎていませんか
脳はすっきりしていますか
体はしゃんとしていますか
疲れが溜まり過ぎていませんか
休みたいのになかなか休めないのが
脳化社会の在り様です
 
僕らは長い時間をかけて
脳化社会を作り上げてきました
効率を追い求めて社会を発展させてきました
体は脳の指令通りに動かされてきたのです
僕らはもはや体の声を聞くことは
できないのでしょうか
 
あのホセ・ムヒカさんは
こう述べています
私たちは
発展するために生まれてきたんじゃない
幸せになるために
生まれてきたんだと―――
 
お元気ですか
脳にも体にもお変わりはありませんか
体の声が聞こえていますか
忙し過ぎるのも
食べ過ぎるのも
どうやら命取りのようです
 
2024.6.26
 
 

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