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【詩の森】不公平の源

不公平の源
 
たぶん
世の中は公平ではないと
誰もが感じているだろう
さりとて
目くじらを立てるほどではないと
努力すればなんとかなると
どこかで
思っているのでは
ないだろうか
しかしはたして
ほんとうにそうだろうか
 
そもそも
不公平の源は
どこにあるのだろう
一番は収入格差
ではないだろうか
派遣法ができたのは
1986年のことである
当初13業種に限定されていた
対象業務は
幾多の法改正をへて
2004年には
製造業への派遣が解禁され
原則全業種となった
 
同一賃金・同一労働は
労働者にとっては
当然の要求だろう
それが
派遣法によって踏みにじられている
そのからくりは
こうだ
もともと
職業安定法の44条により
労働者供給事業は
原則禁止されている
その理由は
不当なピンはねだからだ
 
労働者派遣事業と
労働者供給事業は
双子の兄弟ほどに
とてもよく似ている
しかし法的には
職業安定法第4条第7項の規定により
労働者派遣は労働者供給から
除外されている
職業安定法のこの規定が
労働者派遣法を
存立させている根拠なのだ
ただそれだけである
 
特定の人の利益を図る
不平等な法律は
小さく産んで大きく育てられる
どんなに難産でも
生み落してしまえば
改正に次ぐ改正で
いくらでも大きくできるからだ
そういう法律ほど
世間の目が他所に向いているときに
通されるものなのだ
気づかずに
何もしなければ
当り前だった
自由も平等も
根こそぎ奪い取られるだろう
 
すでにこの国には
TPPの秘密交渉を可能にした
特定秘密保護法があるし
治安維持法の再来といわれる
共謀罪法もある
さらには
戦後初めて集団的自衛権を容認し
自衛隊の海外派兵を可能にした
平和安全法制もある
2006年の教育基本法改正以来
行政の教育介入がすすみ
道徳教育が教科化され
教育目標の一つに
愛国心さえ位置付けられているのだ
これらすべてが
現政権の産物だと知ったら
この政権の本質が
見えてくるだろう
 
一つの法律がもたらす未来に
僕らは思いを馳せるべきだ
なぜなら新しい法律は
この国の未来を
デザインするものだからだ
もし国民が
政治に無頓着なら
未来は誰かの意のままに
デザインされてしまうだろう
1986年
あの派遣法が制定されたときから
現在の姿は
デザインされていたのである
 
 

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