言葉

ニュースウォッチ9から。
12月26日。
直木賞作家、窪美澄。

アナウンサー「こんにちは」
窪美澄「こんにちは、窪と申します。よろしくお願いいたします。」
アナウンサー「こちらこそ。」
*ほぼナレーション飛ばします。
窪美澄「はい」「失礼致します」「はい」

なぜコロナ禍をテーマに?
「いやあの頃、まぁ未来の人が読んでくれるかどうか分からないんですけれども、あっコロナ禍の時ってこんなこと考えていたんだと言う風に思って貰えたら、いいなあと思って書きました。」「やっぱりコロナ禍が、予想以上に長く続いたって言うのが、すごく大きくて、社会のひずみって弱いところにいくじゃないですか。」「やっぱり女性だったりとか、子供とか弱い立場の人にいくなーと言うのは思っていて。」

「えーと」「以前住んでたマンションのエントランスで泣いてる男の子が居てね」「で今新しいお母さんと赤ちゃんとだからつまり再婚家庭で自分は過ごしていると。」「で、赤ちゃんも生まれたばかりでお母さんはまぁ疲れている感じで、お父さんはリモートでお仕事しているから、怒られちゃった。」「それはしかたがないなあと思いながらも、あの、一緒に行ってですね、」「あのー、すいません、下で泣いてたので、あのー、ずうずうしいんですけど連れて来ちゃいました」「って言ったら本当に若いお父さんがですね、疲れた顔で出ていらして、あぁコロナめぇ~~~~~って風に思ったりもしましたね。」「今の日本で起こったことってこととして、書き留めておかなくちゃという気持ちはすごくあったと思いますね。」「子供が亡くなってもう30年経つんですよ。」「30年経つんだけど、やっぱり思い出すんですよ。」「で、その子がそばにいるような気がして生きてるんですよ。」
「もう天にこうつばを吐くんじゃないですけど」「ばかやろー」みたいな感じで、言いたくなることはもう何百回もありました。(うなずいて}「はい。」

「まぁ大きな喪失を、あの、感じたわけなんですけども、じゃあそれが今57歳の今、あの解決できているかというと、全然解決できてないんですよ。今でもわだかまりがあるし、でもあるとき、それでいいじゃないか。と思ったんですよね。」
「困難に若い方が見舞われたりとか、まぁ若いご両親とかが、そういう目にあっていたとしたら、あのまぁ悲しみとかってあえてすぐ忘れなくてもいいんじゃないですか。」
「怒りってそんなすぐに消えないんじゃないですかってことはやっぱり小説で言いたいので。」
アナウンサー「いやでも忘れられないんですよ。」
窪美澄「ですよねー。なんかすごい苦悶って言うかするじゃないですか。私はですね。それがちょっと時間盗られちゃうときは、額をこうやってたたいてですね、(人差し指で眉間を軽くトントンする)もうやめようと思うんですよね。
この問題はちょっと今は、やめておこうと思う。
でもあの、私の、人生にはその問題がくっついていますって言うことは常に思って生きているって言う感じですね。」

アナウンサー「今回の作品中、窪さんがコロナ禍を生きる読者へのメッセージを託した一節があります。」「父の再婚相手との関係に悩む小学生に対して隣人のおばあさんが語りかける言葉です。」

アナウンサー「生きていればきっといいことがある。」

約束してくれる?どんなにつらくても途中で生きることをあきらめては駄目よ。

「星の随に」より抜粋

窪美澄「あしたの朝まで頑張って生きてみようとか言う風に私は思って生きて来たので、絶対それが終わった自分って言うのがいるはずって言う風に思ってしまえば、今大丈夫だからたぶんあしたの朝までは大丈夫って言う風な感じでいくと、日々が重なってなんかなんて言うのかなあ、人生って続いていくんじゃないかなあと思いますね。」

おしまい。
なんかすごく気分が落ち込んでいたときに、偶然ニュースで観て生きてみようと思った。

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