見出し画像

ストライキって?

 みなさんコンニチハ、伊瀬日出夫デス。
 近年めっきり減少したストライキについてお話しします。
 どなたにでも分かりやすいような平易な表現を心がけますので、このnoteが気に入ったら、中学生のお子さんにも読ませてやってください。
 「うん、知ってる」って言われるはずです。

 ストライキは簡単に言うと「労働者が要求を主張するための手段です」
 よくあるストライキの理由は、使用者(以下、社長)に待遇改善などを訴え、そのために団結して一時的に労働の提供を拒否することです。
 平易に言えば「社長が給料上げてくれないから皆で一緒に休んでやる」っていうことですね。
 あっ、すみません。平易に言いすぎてボイコットともとれる表現になってしまいました。
 というのも、ストライキをするのには、いくつもの段階を経て、それでも労働者の意見が通らなかったときの最終手段になります。

 その最終手段に辿り着くために少し遠回りですが日本国憲法からお話を進めていきましょう。

日本国憲法:基本的人権

日本国憲法により保障されている基本的人権には5つの種類があります。

【平等権】
 誰もが等しく平等に生きる権利

【自由権】
 精神・生命・身体・経済活動の自由を保障するための権利

【請求権】
 人権が侵害されたときにその救済を保障される権利

【参政権】
 政治に参加できる権利
 選挙権は満18歳以上の全ての男女に与えられています。
 勝馬投票する権利は満20歳以上の全ての男女に与えらています。

そして最後に

【社会権】

 豊かに生きるための権利

  • 生存権:健康で文化的な最低限の生活を営む権利

  • 教育を受ける権利:能力に応じて等しく教育を受けられる

  • 勤労の権利:全ての人に働く機会を与える

  • 労働三権:団結権、団体交渉権、団体行動権

 「ここテストに出るぞ」って公民の先生がプッシュするのは生存権の「健康で文化的な最低限の生活を営む権利」ですね。「丸暗記しろ」なんて言われませんでしたか?
 色々な権利があって、寄り道してしまいそうですが、ここではタイトルの「ストライキって?」に辿り着くために、労働三権についてお話しします。

労働三権

団結権

団結権は団結する権利が保障されます。
<イメージしてみてください>
 あるひとりの社員Aさんが、社長さんに会社全体の給与面での待遇改善を申し出たとします。
 日ごろから、この社員と社長が面と向かい合って働くような環境の職場、従業員数の少ない企業であれば、社長さんも「う~む、Aさんの働きぶりは確かに目を見張るものがあるし、取引先企業での評判も良く、わが社にとって大切な社員だ。辞められちゃ困るから、来月からAさんのお給料をアップしよう。他の社員は、自らの活躍も主張できない社員だし、社員はAさんほど目立った活躍もないく、待遇改善の申し出もないからこのままの給与で放っておこう。」
 これは、どちらの企業でも良くあり、場合によっては社長の依怙贔屓によっても行われることでしょう。しかし、これはAさん個人の人事考課であって、そもそもAさんが望んでいる会社全体の待遇改善ではありません。
 また大企業の場合はどうでしょうか。社長さんは新聞やテレビなどの露出頻度も高く、経済界でも名の知れた社長であった場合には、何千といる社員の中から、たった一人の社員との面談に時間を割くことはなく、手紙を書いて、もしも読んでくれたとして(ある意味)これは社長自身が直接かかわる仕事では無いと判断されてしまうことでしょう。
 このように1対1ではパワーバランスが「ひとりの社員 < 社長」となってしまい、対等な交渉が成り立ちませんし、捗りません。
 そこで、団結権では労働組合を立ち上げたり、加入することができる権利となっています。
 社員が団結して、みんなの意見として交渉すれば要求が社長の耳目に届き、交渉が通りやすくなります。

団体交渉権

団体交渉権は、労働組合が社長と交渉できる権利です。前項の団結権で労働組合をつくっても、パワーバランスが「労働組合 < 社長」のままでは意味がありませんので、団体交渉権をもってパワーバランスを「労働組合 = 社長」となるようになり、対等な関係で労働協約*を結ぶ権利が保障されます。
*労働協約についてここで説明すると脱線と言いますか、もう1本noteが書けてしまうボリュームになりますので、超簡単に言うと「労働条件などの取り決め」のことです。

団体行動権

 お待たせしました。お待たせしすぎたかもしれません。
 タイトルの「ストライキって」のストライキを起こしたり、集会や演説によって社長にに改善を呼びかけたりできる権利が団体行動権です。
 団体交渉権で、交渉に交渉を重ねても社長が労働組合側の要求に寄り添ったり、まったく受け入れなかったり(ゼロ回答)した場合に、労働組合はストライキに踏み切ることができ、「より対等な立場で交渉ができます」
 社長さん側から見ると、今まで社内(内輪)での話し合いだった交渉事が世間に知らしめられることとなりますし、ストライキとなれば業務停止し、売上減少、社会的イメージの下落と良いことがありません。
 団体行動権が行使される前に交渉を終わらせる、落としどころを探る努力をすることでしょう。

最後に

 ストライキについて、日本国憲法までさかのぼって、労働三権の説明をいたしました。
 ストライキから逆流で簡単にまとめると、ストライキするための「団体行動権」は社員と社長が対等な立場で労働協約を結ぶための「団体交渉権」を有利にし、「団結権」は「団体交渉権」を行使するための労働組合という組織を作る、加入するための権利となります。

 というわけで、いつでも「よっしゃ!明日からストライキだ」と突然できるものではなく、交渉に交渉を重ね、労使間で妥協点、落としどころを探っても、どうしても合意に至らなかった場合の労働者の最後の実力行使としてストライキが行えるわけです。

 ちなみに伊瀬が以前から個人的に好きなストライキは鉄道会社で行われた「集改札ストライキ」です。
 トップ画像に使用させてもらった「西武池袋本店」のストライキの際にインタビューを答えてらっしゃった労働者さんがおっしゃった「たった1日でもご利用のお客様にご迷惑をおかけするのが心苦しいが、ストライキに踏み切った」という言葉が印象的でした。
 サービス業のストライキでは、労働者はお客さんに迷惑をかけてしまうという、板挟みの苦渋の選択なのですね。
 「集改札ストライキ」は一休さんの頓智のような、団体行動権の行使だと思います。興味のある方は是非検索してみてください。

では、またいつか🐈🐾

次回予告
「労働三法って?」
「えっ公務員はストライキできないの?」
「労働協約って?」お楽しみに😻

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?