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ハロプロのライブ映像動画について

 YouTubeには、ハロプロの各グループのライブ映像動画が公式・非公式問わず多数アップされており、それを見てハロプロのファンになったという人もかなりの数に上る。しかし、再生回数が多い動画の大半は、残念ながら違法動画で占められているのが現状である。

 そのような中で、公式のライブ映像でありながら、最近驚異的に再生回数を伸ばしている動画がある。2016年にBuono!チャンネルにアップされた「初恋サイダー」のライブ映像である。

 この「初恋サイダー」動画の再生回数がいかにハロプロ水準で飛び抜けているかというのは、ももいろクローバーZと比べてみたらわかりやすい。ももいろクローバーZの公式チャンネルにはかなりの数のライブ映像動画がアップされているが、その中で最も再生回数が多い動画に、「初恋サイダー」は今のままのペースで再生され続ければ、1年後には追いつきそうな勢いである。アップされた時期を考慮し、1年の平均再生回数という視点から見ると、既に今の時点で「初恋サイダー」はももいろクローバーZのどの公式ライブ映像動画よりも再生されている。

 よく知られているように、ももいろクローバーZが人気を得たきっかけは、テレビ出演よりむしろYouTubeにアップされたライブ映像動画だったと言われる(少なくともファンの間では、そう説明されている)。実際、ももいろクローバーZのライブ映像動画はアイドルグループの中でも群を抜いて再生されている。日産スタジアムや国立競技場でライブをした、過去の桁外れの動員力を考えればある意味当然といえるが、コンサートをした最も大きい会場が横浜アリーナだったBuono!のライブ映像動画が、そういったももいろクローバーZのものと同等か、もしくは上回るぐらいの人気を集めているというのは非常に興味深い。

 「初恋サイダー」動画の再生回数のすごさは、この他に℃-ute岡井の「踊ってみた」動画の再生回数と比べてみても理解できる。2010年から2011年にかけて℃-uteの公式チャンネルにアップされた、この「踊ってみた」動画シリーズは、℃-uteの人気回復のきっかけの一つになったともいわれ、この動画経由で℃-uteのことを知ったという人もかなりいたことで知られる。実際、この岡井の「踊ってみた」動画の中で一番再生されている動画は、℃-uteチャンネルの中で7番目に多く再生されている動画で、大半のMVより多く再生されいる。しかし、「初恋サイダー」動画は、それよりも既に今の時点で80万回以上多く再生されているのである。

 これまで、いかに「初恋サイダー」動画の再生回数が特筆するべき水準にあるかを説明してきたが、これには興味深い点があって、それがこのノートを書いてみようと思った理由である。というのも、この「初恋サイダー」のライブ映像は、2016年8月に行われたBuono!の武道館公演時に撮影されたものだが、この動画の他にもう一つのライブ映像動画 ― 同公演で初披露された「ロックの聖地」のライブ映像も同時にアップされているのである。

 しかし、この2本のライブ映像動画の再生回数の差は歴然たるものである。「初恋サイダー」がアップから約4年7ヶ月経った2021年6月30日時点で約457万回再生されているのに対し、「ロックの聖地」は約28万回しか再生されていない。なぜ、こんなに差が開いたのだろう?

 面白いのは、MVではこんなに再生回数に差がつくことはまずないことである。例えば、両A面シングルで同時期にMVがアップされたとして、もちろん曲の良し悪しによって差がつくにしても、せいぜい一方の曲が300万回再生でもう片方が100万回再生というふうに、3倍ぐらいでおさまるように思う。その理由は、MVを再生する人の多くはそのグループのファンで、一つのMVを見る人はもう一つの方も見ることが多いからだと考えられる。つまり、MVの場合、視聴する人がかなりの割合で重複しているので、再生回数は概ね似たようなものになる。

 そういうメカニズムが、問題の「初恋サイダー」では働いていないように見受けられる。実際、コメント欄を見ると、Buono!を初めて知ったというコメントで溢れており、視聴者の多くが非ハロプロファン、つまり普段ハロプロの動画を見る人たちではないように思う。

 周知のように、YouTubeで動画の再生回数が増えるかどうかは、おすすめ動画・関連動画に表示されるかどうかに大きく左右される。そのアルゴリズムの詳細はわからないが、YouTube視聴者の視聴傾向によって、どのような動画がおすすめ動画・関連動画として勧められるかが決まってくるようである。つまり、「初恋サイダー」を視聴する人の多くは、普段ハロプロ動画を見ないため、「ロックの聖地」がおすすめ動画・関連動画として出てこない。このようにして「初恋サイダー」と「ロックの聖地」の再生回数の差は、視聴者層の違いから説明できるように思う。

 しかし、これだけだと両動画の再生回数の差は理解できても、「初恋サイダー」動画の驚異的な人気は説明できない。非ハロヲタが見ているとしても、具体的にはどういう人たちが見ているのだろうか?

 コメントを見てみると、「こんな歌が上手いアイドルがいたとは知らなかった」というように「アイドル」というワードを使っているものが多く、他のアイドルの動画を見ている中で「初恋サイダー」があすすめ動画・関連動画として出てきた人が多いのではないかと想像される。Buono!を「アイドル」として認識しているのも、アイドル動画の関連動画として出てきたからではないか?という推測が成り立つ。

 ここで注意するべきなのは、「初恋サイダー」は曲そのものの知名度がアイドル界隈でかなり高いということである。非公式で毎年行われている「ハロプロ楽曲大賞」の2012年度受賞曲であることや、ドラマ「数学女子学園」の主題歌であったことなどから、ハロプロファン、いわゆるハロヲタ内ではもちろん以前から知名度抜群の曲であったが、ハロプロのことをまったく知らないアイドルファンでも「初恋サイダー」だけは知っているという人は実はかなりいる。これは、「ゆび祭り」で歌われたことをきっかけに、持ち曲のない地下アイドルがこぞって「初恋サイダー」を歌うようになり、地下アイドルシーンで最もカバーされた曲といわれるまでになったことと密接に関係している。そういうわけで、アイドル曲を視聴している=「初恋サイダー」にも興味があるに違いないというふうにYouTubeが認識していたとしても決しておかしくない。

 さらに、コメントで目立つのはBuono!のメンバーである「ももち」こと嗣永桃子への言及である。嗣永のYouTubeでの人気はかなりのものであり、彼女の過去のテレビ出演の切り抜きやそれを編集した動画の中には100万回再生を超えているものがいくつもある。そういった動画の視聴者が「初恋サイダー」をサジェストされているという可能性は高い。

 その傍証といえるのが、Buono!のライブ映像動画で「初恋サイダー」の他に再生回数が多いのが、「Independent Girl〜独立女子であるために」と「My Boy」の違法動画であるということである。いずれの曲も嗣永のフィーチャー曲ではないものの彼女の見せ場が比較的多い曲で、該当動画はいずれも嗣永をサムネにしている。コメントも「ももち」関連のもので埋め尽くされていて、そのほとんどが、バラエティーの「ももち」しか知らなかったが、その歌唱力の高さに驚いたというものである。このことから、「ももち」の動画を見た人が、その後にBuono!のライブ映像動画をサジェストされるという流れが確実にあるように思われる。

 「初恋サイダー」のコメント欄でもう一つ目立つのは、鈴木愛理関連の動画から辿りついたという趣旨のコメントである。「The First Take」の愛理登場回(鈴木雅之とのコラボ)が1000万回以上再生されていることを考えれば、その視聴者の何割かでも「初恋サイダー」を再生すれば、相当な数に上るので、「初恋サイダー」の、ハロプロ公式チャンネルにアップされているライブ映像動画としては異常ともいえるほどの再生回数も、ある程度納得できると思う。

 以上のことから、ハロプロとは異なる、あるジャンル(アイドル動画、ももち関連動画、愛理関連動画)をよく見る視聴者が、特定のハロプロのライブ映像動画をサジェストされるという流れが確立されていれば、そのライブ映像動画の再生回数は伸びるという仮説が成り立つように思われる。

 この仮説が、かなりの説得力を持っていることは、Berryz工房の公式チャンネルにアップされているライブ映像動画を見れば、より理解できると思われるので、以下にそれを説明しよう。

 Berryz工房の活動停止から約1ヶ月半たったときに、同チャンネルで一気に60本のライブ映像動画が公開された。それから約6年2ヶ月たった2021年6月30日現在、それらの動画の再生回数は、かなりばらついている。

 一番再生されているのは、2013年冬のハロコンでBerryz工房が℃-uteの「まっさらブルージーンズ」をカバーした際の動画で、95万回以上再生されている。これはもちろん「初恋サイダー」には遠く及ばないものの、同時に公開されたBerryz工房ライブ動画の中で再生回数2位が約68万回、3位が約47万回、この他に20万回再生を超えている動画は4本のみ、約3分の2の動画は再生回数が10万回にも満たないことを考えると、ダントツの数字といえる。

 しかし、これだけ「まっさらブルージーンズ」の動画が再生されているのは普通に考えれば不思議である。Berryz工房の持ち曲ではなくカバー曲であるし、当該動画は、嗣永が病気で欠席しているハロコンの回に撮影されたため、6人でのパフォーマンスであり、完璧なものではない。

 したがって、「まっさらブルージーンズ」の再生回数の多さは、動画のクオリティより、視聴者層の違いにその理由を求める方が自然である。その際に考えられるのは、℃-uteの動画を見ている人が、Berryz工房の「まっさらブルージーンズ」をサジェストされて、流れで視聴しているのではないかということである。実際、℃-uteのライブ映像動画の再生回数は、公式・非公式を含めて、Berryz工房よりかなり多く、視聴者数もそれに比例して多いと思われる。そうした℃-uteのライブ映像動画の視聴者を引っ張ってきているから、「まっさらブルージーンズ」の再生回数は飛び抜けて多いのだろう。

 こういう、非ヲタの視聴者を引き入れて再生回数を伸ばしているパターンには、2位の「青春バスガイド」も当てはまっていると思われる。しかし、「青春バスガイド」は、MVの再生回数を見ても「本気ボンバー」や「流星ボーイ」に比べて知名度で劣っており、イナイレ関連動画の視聴者の食いつきも少し弱いのかなという気がする。イナイレ楽曲ではこの他に「雄叫びボーイ WAO!」のライブ映像もあるのだが、こちらは約27万回再生と更に低いものとなっている(もちろんそれでも他の曲と比べると圧倒的に多く再生されているのだが)。こちらもイナイレファンの中での曲の浸透度と関係しているように思われる。

 概して、Berryz工房のライブ映像動画は、主にBerryz工房のコアなファンによって視聴されている印象である。というのも、20万回以下の再生回数の動画の中では、アルバム曲である(したがって、コアなファン以外はおそらく知らないであろう)「すっちゃかめっちゃか~」が3番目に多く再生されているのである。そのような中、Berryz工房をあまり知らない、もしくはライトなファンだという人も興味を持ちそうな動画(上記のイナイレ楽曲の動画、三人祭の「チュッ!夏パ~ティ」を嗣永・徳永・熊井がカバーしている動画、活動停止発表の動画、ラストコンサートの最後の曲「Love together!」のライブ映像動画、コスプレファンが食いつきそうな「ROCKエロティック」のライブ映像動画)が、20万回以上再生されているのが現状である。

 これまで述べてきたことが仮に正しいとして、少し意外なのは、℃-uteとBerryz工房のライブ映像動画の視聴者層がそんなに被っていないように見受けられること(もし被っていたとしたら、「まっさらブルージーンズ」が再生されることに引っ張られて、それ以外の動画の再生回数も伸びると思われる)。一方で、℃-uteとBuono!のライブ映像動画の視聴者層はかなり被っているように思われる。

 この推測の根拠となるのは、非公式でYouTubeにアップされている「Kiss me 愛してる」のライブ映像動画の再生回数の推移である。これはBuono!のラストコンサートで℃-uteがパフォーマンスした際の映像が元になっているが、今では100万回以上再生されている。再生の推移を確認してみると、アップされた当初はほとんど再生されておらず、去年のコロナ自粛期間中になって再生回数が伸び始め、それが去年の5月になって急激に再生されるようになり、それ以降はコンスタントに再生されている。去年の5月はBuono!のラストライブがYouTubeで無料公開された月であり、そのときにBuono!のライブ映像動画が再生回数を伸ばしたと考えられるので、それを視聴した人たちがおすすめ動画・関連動画として「Kiss me 愛してる」の動画を見ることによって再生回数が伸びていったのではないかと想像できる。

 ただ、上の推論にも若干の留保がある。問題の「Kiss me 愛してる」動画の再生回数の増加にBuono!のラストライブ公開が関係していることは間違いないと思われるが、それにはBuono!と℃-uteのライブ映像動画を見る人たちの視聴傾向が似ているということの他に、当該動画のタイトルに「Buono!」という文字が入っていることも関係しているように思われるかわらである。

 だが、いずれにしても、ライブ映像動画の再生回数が伸びるためには、そのグループのファンだけでなく、普段、他の動画を視聴している層をいかに取り込むかが重要になっているという仮説は動かないように思われる。この仮説に従えば、ハロプロ以外の、特定のジャンルの動画を見ている人が、それを見た後にハロプロのライブ映像動画を見るという流れを作ることができれば再生回数が増えていく。

 逆に言うと、ハロヲタだけが見ているライブ映像動画は、再生回数の増え方に限界がある。そのいい例が、「ハロ!ステ」チャンネルで以前にアップされたライブ映像動画である。「ハロ!ステ」ではライブ映像は番組内に組み込まれているが、それを単体でアップすれば、ライブ映像以外のものを見たくないという人にアピールできて、再生回数が増えるのではないかという意見があった。その意見を取り入れてかどうかは定かではないが、数年前に各グループの単体のライブ映像動画を「ハロ!ステ」チャンネルでアップする試みがあったが、今のところ、その再生回数は平凡なものに終わっている。「ハロ!ステ」チャンネルは、結局ハロヲタが主な視聴者で、チャンネル登録者すべてがライブ映像動画を見たとしても、横への広がりにはつながらいない(ハロプロ関連動画以外を主に見ている人たちに、おすすめ動画・関連動画としてサジェストされることはない)。

 ここで、ハロプロの各グループのYouTube上でのライブ映像動画の再生状況について少し触れておく。

 モーニング娘。については非常に多くの違法動画がアップされており、100万回以上再生されいる動画も多数あり、全体を把握するのに手間がかかるのでここでは割愛。

 ℃-uteは、有名曲のライブ映像で、100万回以上されている動画がそれぞれ複数ある(具体的には、「まっさらブルージーンズ」「大きな愛でもてなして」「Danceでバコーン!」「Kiss me 愛してる」の4曲)。公式動画では、「悲しきヘブン」のライブ映像動画が再生回数100万回を超えている。面白いのはMVの再生回数では1位である「夢幻クライマックス」のライブ映像動画で100万回再生されているものはない。これは、上記の有名曲に比べて、「夢幻クライマックス」の知名度がハロヲタ内にとどまっていることを示唆していると解釈できる。つまりMVの再生回数の多さは、ファンコミュニティ内での人気の高さに比例するが、ライブ映像動画の場合は、いかにファンコミュニティ外の視聴者を引っ張ってこれるかにかかっているという、これまで述べてきた仮説に沿った現象であるように思われる。

 アンジュルムは、「七転び八起き」と「忘れてあげる」にそれぞれ100万回以上再生されている違法動画が存在するが、これは少し意外である。MVの再生回数などを見ても、この2曲は決して人気曲といえず、また有名曲とも思えない。どういうきっかけでこの再生回数の多さに至ったのか、かなり謎ではある。

 Juice=Juiceでは、2つの「「ひとりで生きられそう」って それってねえ、褒めているの?」のライブ映像動画、「Magic of Love」「プラトニック・プラネット」がそれぞれ一つずつ、その他複数曲を一つに収めた違法動画が2本、100万回以上再生されている。この中で特に「ひとそれ」の動画では非ハロヲタのコメントが目立っており、他のジャンル(おそらくジャニーズ系などのアイドルファン)の動画視聴者に「ひとそれ」がサジェストされるという流れができているのだと思われる。

 Juice=Juiceとアンジュルムの比較で面白いのは、MVの再生回数ではアンジュルムの方がかなり多いのに、ライブ映像動画の再生回数ではJuice=Juiceがアンジュルムより結構な差で上回っていることである。YouTubeチャンネルの登録者数は、ほぼ似通ったものであり、その他のSNS(Twitter、Instagram)のフォロワー数も非常に拮抗していて、その他の数字を見ても、現在の両グループの人気差はほぼないといっていい。それにもかかわらず、YouTubeの視聴傾向にかなりの差が出ているのは、両グループのどういう面が、それぞれのグループの人気を支えているのか垣間見えて、非常に興味深い。

 Berryz工房は、アップされているライブ映像動画の多さに比して、再生回数の多い動画は少なく、確認できる限りでは、2014年のコンサートツアー「リアル​Berryz工房」で披露されたイナズマイレブン楽曲のメドレーのライブ映像動画、「本気ボンバー!!」のスタジオライブの動画、「付き合ってるのに片思い」のライブ・ミックス動画だけが、2021年6月30日時点で100万回以上再生されている。

 カントリー・ガールズ、こぶしファクトリー、つばきファクトリーに関しては、100万回以上再生されているライブ映像動画は存在しない。ただ、これには仕方がない点もある。これらの3グループは主にライブハウスを回るツアーをやっていた(いる)が、アップフロントはある時点からライブハウスツアーを映像化することをやめてしまったのである。したがって、この3グループは先行グループに比べてDVD・BD化されたライブが極端に少ない。つばきファクトリーに至っては、6年のキャリアでDVD・BD化された単独ライブは2本だけという惨状である。つまり違法動画をアップしようにも、その素材となる映像作品が圧倒的に少ないのである。ツアーが映像化されないということは、その魅力が現場にいた人にしか伝わらないということであり、何年経っても硬直化したファン層だけがツアーを一緒に回って新規ファンが一向に増えないという悪循環に、カントリー・こぶし・つばきは見舞われてしまった。カントリー・こぶし・つばきの人気が上がらなかったことの大きな理由の一つは、このアップフロントの、普通の思考能力がある人なら犯さないような、明らかな(致命的な)判断ミスだったと思う。

 長々と書いてきたが、このnoteで言いたかったのは、せっかく「初恋サイダー」がプチバズりをしているんだからBuono!を再始動させたらいいのにということではない。伝えたかったのは、この「初恋サイダー」動画の驚異的といっていい再生状況を参考に、もっと再生されるようなライブ映像動画をアップフロントが公式でアップしたらいいのにということである。

 YouTube発で海外にシティ・ポップが流行っている様子を見て、それを慌てて後追いしてカバー曲を出すなんてダサいことをする暇があるんだったら、これまでのハロプロの楽曲資産を有効に使ったライブ映像動画を作るほうがよっぽどましなように思う。YouTubeで小流行みたいなものを生み出せば、それを通じてファンも増え、新しい楽曲に挑戦することなく流行の後追いカバーをするような小ざかしい真似をせずにすむ。ただ、YouTubeでそのような小流行みたいなものを生み出すためには、最低1000万回以上再生されるような動画を作らなければいけないように思う。このハードルが決して低くないということは、ハロプロの楽曲中、モーニング娘。の黄金期以降の曲のMVで1000万回以上再生されているのは、モーニング娘。の「One・Two・Three」「わがまま 気のまま 愛のジョーク」「泡沫サタデーナイト!」と月島ひかりの「バラライカ」だけであることからもわかる。

 しかし、今の「初恋サイダー」の再生状況を鑑みるに、上手く戦略的にやれば、1000万回以上再生されるようなライブ映像動画をこれまでの映像作品を素材にして作ることは十分に可能なように思う。特に可能性のあるのは、アニメ関連楽曲ではなかろうか。上に書いたように「本気ボンバー!!」や「大きな愛でもなてなして」は、非公式の動画で既に多く再生されているものがあり、アニメファンからの誘導がうまくいけば、かなりの数で再生されるポテンシャルがあることが想像される。YouTubeの再生は、新しい視聴者層を獲得し、そこからの流れさえ確立されれば、指数的に増加していくものだと思うので、1000万回再生もあながち夢でないと思う。何事にも腰の重い(おまけに頭が化石のように固まった)アップフロントのことなので、これが実行に移されることはまずないと思われるが、とりあえず希望だけをここに書き記しておく。

 

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