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キネとミノ シリーズ

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キネとミノ、二人の仲良し女子高生のショートストーリーです。連作なのでどこからでも読めます。日常系からちょっとふしぎ系まで、するっと読めるものをご用意。イラストレーターのまりなさん… もっと読む
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記事一覧

パジャマパーティー・トゥナイト Part3

キネとミノ#7 あらすじ夏休みの締めくくりにミノの家に泊まりに来たキネ。プリントした写真を見ながら楽しかった夏の思い出を語り合っていると、気がつけばすっかり深夜に。キネとミノ、ふたりだけのひみつの打ち明け話が始まろうとしていた。 Part3 パジャマパーティー・トゥナイト 「ふわあ。なんだかんだ今年の夏は色々あったけど、もう夏休みも終わるね〜」 「まあね。もう遅いし、そろそろあたしの部屋で寝よっか」  ふたりはソファから立ち上がると、リビングからミノの部屋へと移動した。キ

パジャマパーティー・トゥナイト Part2

キネとミノ#7 あらすじさまざまなことがありながらも楽しい夏休みを終えようとしているキネとミノ。二人は夏休みの締めくくりにそれぞれの家へ泊まりに行き、パジャマパーティーをしながら夏の思い出を語り合う。そこでミノはキネに、キネはミノにそれぞれの秘密を打ち明けるのだが……? Part2 ひまわり畑で お祭りと花火の写真の下からは、見渡すかぎりいっぱいに広がるひまわり畑の写真が出てきた。ミノは言った。 「花火も見たけど、ひまわり畑にも行ったよね」 「そうそう。そのときの写真、わ

パジャマパーティー・トゥナイト Part1

キネとミノ#7あらすじさまざまなことがありながらも楽しい夏休みを終えようとしているキネとミノ。二人は夏休みの締めくくりにそれぞれの家へ泊まりに行き、パジャマパーティーをしながら夏の思い出を語り合う。そこでミノはキネに、キネはミノにそれぞれの秘密を打ち明けるのだが……? プロローグ 振り返りの夏休み キネとミノが海にシーグラスを拾いに行ったあの日から、夏休みはあっという間に過ぎて行った。それはあまりにも充実した日々だったので、「夏休みもいつかは終わる」という当たり前のことすら

バナナフィッシュにつままれた日

キネとミノ#6「バナナフィッシュにつままれた日」  あらすじある雑貨屋さんでシーグラスについて教えてもらったキネとミノ。ふたりはさっそく夏の海へシーグラスを拾いに行く。そこでふたりは、同じものを拾っている男の子と出会う。男の子はある事情があってシーグラスを集めていると言い、ふたりに協力を乞うのだが…? プロローグ 夏休みのはじまり 夏休みだ。キネはその一週間ほどまえから、カレンダーの日付がほんのりと光りはじめたことに気がついていた。それは日に日に明かりを増していき、やがて

ガチャフィギュア工場のひみつ

キネとミノ#5 ガチャフィギュア工場のひみつ あらすじ大好きなガチャフィギュアシリーズの新作を揃えるためサイフの限界に挑戦するミノと、それを応援するキネ。ふたりはフィギュアを見ながら、それを作った女の子のことを空想する。果たして、ガチャフィギュアはすべて揃うのか…? Part1 ガチャガチャにハマるミノ ある日の帰り道。キネとミノのふたりは、その日受けた授業で社会科の先生が言っていたことについて話をしていた。それは、こんなふうなことだった。 「まず、わたしたちの身の回り

デイドリーム・ステーション

キネとミノ #4 「デイドリーム・ステーション」 あらすじ電車に乗るとしょっちゅう寝過ごしてしまうんだ、と嘆くキネ。 寝過ごしてもしらない駅に行くとわくわくしてくるよね、というミノ。 だったら、いっそふたりで電車に寝過ごしに行ってみようという話になり、その計画をやってみることに。 電車で眠ったふたりの行き着く先とは…? Part1 寝過ごしの計画「ふぁーあ。さいきんあったかいから、眠いねえ」 「そうだね。もう5月の連休も終わったし」  キネとミノのふたりは、昼休みの中庭で

しっぽ戦争

キネとミノ #3 「しっぽ戦争」 あらすじ ある日路上でミノが拾ってきた、かわいいしっぽ。キネといっしょになってつけてみたり、動物園にしっぽを物色しに行ったりしているうちにふたりの空想は膨らんできて…。はたして、しっぽ戦争の結末とは? Part1 ミノが拾ってきたしっぽ 春うららか。お日さまぽかぽかの暖かい日だった。今日は日曜日で、ミノはキネの家まで遊びに行くところだ。いつもなら自転車で向かうのだけれど、そんな日和だったのでミノはのんびりと歩いていくことにした。  ミノ

お腹の虫は、タコ!?

キネとミノ #2 「お腹の虫は、タコ!?」2月21日  二月のある日の、北風の吹く帰り道。キネとミノはとてもお腹が空いていた。ふたりは今にも、そのきょだいな空腹感に押しつぶされてしまいそうだった。はやく何か食べたい。だけど、何を食べたらいいのかわからない。ふたりはその間を行ったり来たりしているうちに、疲れてしまったのだ。何を食べるのか。早く決めてしまわないと、このまま行きだおれてしまいそうだ。  彼女たちがそこまでお腹を空かせている理由はこうだった。  昼休みになってご飯

北瓜と東瓜

キネとミノ #1 「北瓜と東瓜」 12月22日 (冬至) ふたりが高校の図書室でカウンターの仕事を終えたとき、窓の外はもう真っ暗だった。図書室にはもう誰もいない。残っているのは、今年から図書委員になったキネとミノのふたりだけだった。  12月の夜は早く、そして長い。それはキネを不安な気持ちにさせた。だってまだ17時になったばかりなのに、あたりにはもう日の名残りすら見当たらないのだから。時間も体力もじゅうぶん残っているのに強制的に終わってしまったゲームのように、キネはやるせな

短編小説『アドバルーン』

「キネとミノ。屋上にある、ふたりだけのささやかな秘密。 繋がれたアドバルーン、祝福され飛び立っていく熱気球・・・」  この短編は『アドバルーン』という短編集に収録された表題作です。 本はこちらで通販しています。  日曜日の朝は眩しかった。目が覚めてからも私はしばらくベッドで横になったままで、陽光にかがやくレースのカーテンを見上げていた。カーテンの薄い影はチェック柄のパジャマと青いブランケットにかかり、日光は私の体をゆっくりと温めている。この居心地の良さに抵抗することはまだ考