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最新のWeb3ビジネスの類型とWeb3立ち上げフロー

Web3ビジネスの定義

まずWeb3という世界がどんどん広がっているため、現在のWeb3の定義そのものが不明確になってしまっています。そのため最初にこのNoteで触れるWeb3ビジネスの定義についてお話ししたいと思います。

今回お話しする「Web3ビジネス」は「暗号資産・NFTに直接的もしくは間接的に関わる事業」です。この中には例えばトークンを伴わないファンコミュニティのようなDAOやOSSによる開発などは含まれませんし、逆にノンカストディアルウォレットの提供事業者など暗号資産を直接発行・保有しない事業者であっても含まれます。

この理由としてやはりWeb3の業界のビジネスモデルはその中核をなすBitcoinをはじめとした暗号資産によって成立しています。現状暗号資産を伴わないようなDAOやOSSは趣味やボランティアの延長線という意味合いが強く、収益モデルとして成熟していないからです。


Web3ビジネスの4つの類型

1. 暗号資産の取引に伴う収益

暗号資産取引所や最近Bitcoin ETFを開始したBlack Rockなどの資産運用会社が該当するビジネスモデルです。ユーザーの暗号資産取引の仲介や資産運用を通して手数料という形で収益を得ています。
暗号資産取引所であれば、暗号資産の取引手数料をベースとしつつデリバティブを行う取引所では、ポジションの清算などのタイミングでも収益が発生します。最近ではレンディングやステーキングなど顧客資産運用の収益の一部を手数料として収益化している例などが見られます。
NFTサイドではNFTマーケットプレイスやINOローンチパッドなどがビジネスモデルの典型として挙げられ、一次流通や二次流通の手数料によって成立している。

2. ツールの提供に伴うサブスクリプションモデル

一般顧客や事業者向けにウォレットなどのツールやサービスを提供し、その対価としてサブスクリプション形式で売り上げをあげる収益モデルもあります。
近年では暗号資産を保有したり、暗号資産取引所でなくとも暗号資産を管理する事業者が増えており事業者向けのセキュリティや権限設定などを細かく設定できるウォレットが人気を博しています。
また、独自ブロックチェーンの開発ツールや運用ツールが整備されてきたことにより、独自ブロックチェーンやレイヤー2ブロックチェーンの立ち上げと運用をSaaSのようなモデルで提供する事業者も現れました。(現在Turingumでも独自レイヤー2ブロックチェーンを立ち上げ・運用するサービスTuringum Business Chainを提供しています。) それ以外にもステーキングによる運用が増えてきたことから、ステーキングを行うためのブロックチェーンのノードの保守運用を代行する事業者も増えています。

3. NFT・トークンの発行

DappsやGameFiなどのアプリケーションを開発・運用し、NFTやトークンの発行・売買にともなって収益を上げるモデルです。
取引所を除くWeb3における大きなプロジェクトはNFTやトークンの発行を行っている場合が多いです。
上場やその後のコミュニティ形成に成功すると収益としては他のモデルよりも立ちやすいですが、規制や各国の税制への対応、上場コストやその後のコミュニティ維持コストなど発行までのハードルや発行後にかかるコストも高いハイリスクハイリターンなモデルです。 NFTの発行売却のみの場合は比較的容易に実行することができます。

4. 他の収益モデルからNFT・トークン発行モデルに移行する場合も

Binanceが発行したBNBトークンなど暗号資産取引所がトークンを発行したり、NFTマーケットプレイスがトークンを発行するなど、他の収益モデルの事業がその事業で培ったビジネス上の強みや顧客基盤を武器にトークンを新規に立ち上げるケースもよく見られます。

Web3ビジネスを立ち上げるフロー

ではこのような収益性のあるWeb3ビジネスを立ち上げるには実際にどのようなフローでWeb3ビジネスを立ち上げれば良いのでしょうか。
ここでは「1. 企画」 ⇒ 「2. 開発」 ⇒ 「3. 資金調達 / マーケティング」 ⇒ 「4. 上場・販売・ローンチ」という4つのフェーズに分けて解説していきます。

1. 企画(約3ヶ月)

企画フェーズにおいてはプロジェクトのコンセプトをきちんと定め、その後のフェーズで必要になる開発項目や資金調達・マーケティングを含めた戦略を策定します。
この際、コンセプトしっかり決め切ることが重要になります。コンセプトを決めることでコンセプトを達成するためのNFT・トークンの利用施策の設計や開発するプロダクトの詳細が明らかになります。
このフェーズではプロダクトの設計を策定したのち、スケジュールを策定して次のフェーズでの見通しを立てることを目標とします。

2. 開発(約6ヶ月~1年)

実際にユーザーが触ることのできるプロダクトを開発していきます。
この際最初にPoCとして最低限の機能を持たせたプロダクトを開発して、効果測定をしてから実際に運用するプロダクトを開発する場合もあります。
開発フェーズでは開発の規模やプロダクトの種類によって必要となる資金や期間は大きく異なります。

3. 資金調達 / マーケティング(約6ヶ月~1年)

このフェーズでは開発で必要な資金を調達しつつ、マーケティングでSNSのフォロワーや既に運用を開始しているのであればユーザー数を増やしていきます。
資金調達では主に二つの手法があり、ベンチャーキャピタルなどの投資家からの出資による調達とNFTやトークンの売り出しによる調達の二種類があります。より開発が進んだフェーズになるとNFTやトークンの売り出しによる調達を選べるようになります。
マーケティングについてはすでにユーザーベースを持っているプロダクトとの提携などによって今後のプロダクトやトークンに対する期待を高めることが重要になります。ここで得たユーザーやSNSのフォロワーは次のステージである上場・ローンチにおけるデューデリジェンスで非常に重要になっていきます。

4. 上場・販売・ローンチ(おおよそ6ヶ月ほど)

プロダクトをローンチし、NFTやトークンの販売を開始することで本格的に事業運営・収益化を目指すフェーズです。
上場においては海外の暗号資産取引所に上場する方法と国内の暗号資産取引所に上場する二種類の手段があります。海外の方が審査のスピードが早く上場のハードルは比較的低いですが、日本国内のユーザーを想定している場合は国内上場がキーになります。
また、以前は海外の取引所は上場手数料を支払えば上場できる場合もありましたが、大手取引所を中心にデューデリジェンスが徐々に厳しくなってきています。そのためマーケティングによるSNSフォロワーの獲得やユーザーの獲得、コミュニティの盛り上がりの重要性は以前よりも大きく高まっています。

市況と規制状況から見るWeb3事業の立ち上げタイミング

これまでWeb3ビジネスの形態と収益化までの流れを見てきました。
ここからは市況や規制状況を俯瞰することで、どのタイミングでどのような事業の立ち上げを行うのが良いか説明していきたいと思います。

市況から見るWeb3事業

暗号資産の業界では「半減期サイクル」と呼ばれる市場周期があります。
これはBitcoinの半減期の年を中心としてその次の年がバブル期、その翌年に崩壊、さらに次の年にかけて底値から回復するというシナリオです。特に理論的に裏付けされているわけではない、いわゆるアノマリーと呼ばれるものなのですが、過去2回のバブル期が正確に予測できることや、半減期を迎える今年のBitcoin現物ETF承認による期待などここまで非常に近い市場推移をしていることから市場変動を想定する上で非常に有用性の高いものとなっています。
このアノマリーに照らし合わせると、Bitcoinの半減期を控えた今年は相場がだいぶ回復する年であり、次の年にきちんと収益化するための準備が必要になることがわかります。
前章のWeb3ビジネス立ち上げフローでいうところの「企画〜開発」までが今年実行しなければならないポイントであり、できればマーケティングや資金の確保も済ませておきたいところです。これにより来年のバブル期における収益化を完璧な準備のもと迎えられると考えられます。

日本の規制状況から見るWeb3事業立ち上げタイミング

続いてどのようなビジネスを立ち上げるか、現状の日本の規制を振り返りながら考えていきたいと思います。規制面においては大きく「税務」「会計」「法務」の三論点があります。
税務の論点においては2024年の税制大綱が制定され、技術的もしくは信託会社を通じた形式で容易に販売できないようにロックされた暗号資産については時価評価課税の対象外となることが明らかになりました。これによって自社での暗号資産の発行や他社発行の暗号資産を保有するハードルが下がることが期待されます。ただし、運用基準については未だ不明瞭なところも多く、期待はできるものの引き続き自社における暗号資産の発行については慎重にならざるを得ない点も多いです。
会計の部分については暗号資産・NFTにおける会計基準が整備されてきており、暗号資産の保有を原因に会計監査を断られるケースは非常に減っております。一方で暗号資産の発行に関する会計基準は暗号資産における法的整理をもとに個別に判断する必要があり、未だハードルとしては高いのが実情です。
法務論点についてもNFTについては暗号資産に当たらない整理をされるケースが増えてきており、比較的法的整理が容易になりつつあります。一方で自社の暗号資産発行は個別事例で賭博・証券の論点をクリアする必要があり、一筋縄でいかない点があります。
これらのことから、NFTについてはかなり整備されてはいるものの、依然として自社による暗号資産発行はハードルが比較的高い状況です。
ただこれらの現状整理ができていない論点も税制大綱をはじめ、急速に整備が進んでおり、事業者としては「敬遠する」姿勢から「最新の規制状況に対応できる」姿勢にシフトすることが求められています。
また弊社は海外の提携法人を通じた暗号資産の発行により、これらの煩雑な法務・会計・税務論点の解決をサポートさせていただいております。これらのサービスを利用することにより現在の状況であっても暗号資産の発行を目指すことが可能になっています。

今年は「スモールスタート」の年!

最初に述べた通り、今年はWeb3プロジェクトの企画・開発が重要な年です。今年にどれだけ準備ができるかが来年以降の収益性を分ける重要なポイントです。
一方で規制環境は自社暗号資産発行には困難な点も多いです。しかし、規制が急速に整備されていることから、まずはできることから企画してビジネスにしていく姿勢が重要になってきます。
したがって今年はスモールスタートでビジネス企画・開発をキックオフすることが何よりも重要です。

まとめ
~Web3ビジネスキックオフならTuringum!~

いかがでしたでしょうか。
今回のNoteではWeb3ビジネスを俯瞰しつつ、実際のWeb3ビジネス立ち上げのフローや直近の状況について解説していきました。
今年は来年以降に向けた企画・開発をできるところから進めていくことが重要です。
弊社チューリンガムはWeb3ビジネスの企画〜開発からトークンの発行・売り出しについても多様な経験があり、昨年はコインチェック様でのWizardry INOやSNPITのINOなど複数のGameFiプロジェクトにおいて1億円を大きく超える売り上げを記録するなど実績を収めています。

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