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【小噺】着床【初心者ガイド】

たなかゆうすけです。

今日は着床のお話をします。


受精卵は卵管を通り、子宮内へ

無事卵子さんと精子くんが出会い、一つとなって、受精卵ちゃんが誕生しました。ここからまだまだ道のりは長いです。たった一つの小さな細胞は、どんどん数を増やして赤ちゃんになろうとして行きます。

1個の細胞が2個になり、4個になり、8個になり、どんどん増えていきます。生まれたばかりの受精卵ちゃんは、自分では動けません。放っておくと、ゆらゆらとどこかへ行ってしまいます。そんな受精卵ちゃんを、卵管はそっと優しく子宮へと運んでいきます。

卵管はただの出会いの場ではなかったのです。場所だけ貸して後はお好きにどうぞ、そんなところではありませんでした。アフターサービスもばっちり。やはり選ばれるだけのことはあります。評価は★4.5くらいでしょう。


主にホルモンの作用で子宮内膜が整います

卵管のエスコートで受精卵ちゃんが、子宮の中に運ばれてきました。受精卵ちゃんは運ばれているだけでしたが、長い旅路で正直ちょっと疲れてしまいました。宿についたので、さっそく一休みするとしましょう。

どれどれ、今日のベッドはどんな様子でしょうか?受精卵ちゃんはこう見えて結構ハイソな生まれですので、薄っすいせんべい布団なんかもってのほかです。最高級マットレスに、ふかふかのお布団、まっさらのシーツでなくちゃいけません。

そんな受精卵ちゃんのために、最高級ホテル『子宮』はきちんと準備していました。さすがの5つ星です。エストロゲンとプロゲステロンで仕上げた最高のベッドに受精卵ちゃんも大満足。するりとベッドにもぐりこみました。


子宮内膜に受精卵がもぐりこみます

少し時間を戻します。受精卵ちゃんの細胞が増えていく途中で、細胞は2つのグループに分かれていきます。胎盤派と胎児派(赤ちゃん)です。藤田まことははぐれ刑事純情派です。

胎盤派は、自分は赤ちゃんにならずに、赤ちゃんのサポートをしたくなっちゃった細胞たちです。この細胞たちは、赤ちゃんが大好きで、自分のすべてを赤ちゃんに捧げます。

いわゆる『推し活』ってやつです。

胎盤派は赤ちゃんがベッドにもぐりこめるように、なんと自分が下敷きになって赤ちゃんを支えます。

ベッドにインした赤ちゃんは、自分では一切働きません。だって赤ちゃんですから。胎盤派は赤ちゃんの下敷きになりながら、必死で働いて赤ちゃんへ栄養を送り込みます。

『この子を育てるのが私のすべて!』

そうして、必死で働いて送り込んだ栄養で、赤ちゃんがすくすく育つのを見て微笑んでいます。涙ぐましい努力をしていますが、推しのためなら関係ありません。こころはいつも穏やかです。胎盤派はそういう存在です。

雨にも負けず
風にも負けず
雪にも夏の暑さにも負けぬ
丈夫な体を持ち
欲はなく
決していからず
いつも静かに笑っている

そんな感じです。私もそんな存在になりたい。


以下、解説です。
・受精卵は卵管内のヒダで運搬される。
・受精卵は細胞分裂を繰り替えし、着床直前には胚盤胞へ発育する。
・胚盤胞は、TE(栄養膜外胚葉)とICM(内部細胞塊)で構成され、TEは胎盤に、ICMは胎児になる。
・子宮内膜は、排卵に向けて増加したエストロゲンの作用で肥厚する
・排卵後に分泌されるプロゲステロンの作用で、脱落膜化が起こり、受精卵が着床できるようになる。
・受精卵は排卵の約7日後に着床する。
・受精卵の栄養膜外胚葉から発生した栄養膜細胞(トロホブラスト)が子宮内膜に接着・侵入し、絨毛を形成する。
・絨毛は後に胎盤を形成する。

妊娠を希望される皆様が、幸せな結末へたどり着けますように…
また次のお話でお会いしましょう!


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