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一気 歌手・とんねるず伝説が始まる(前編)

一気
リリース:1984年12月5日

オリコン最高順位:19位
ザ・ベストテン最高順位:16位※スポットライト出演

正確に言うととんねるずにとって3枚目のシングルではあるが、
前の2作が「企画物」であり、実質これがデビューシングルとカウントされることが多い。
フジテレビの深夜番組「オールナイトフジ」にレギュラー出演していたとんねるず。
深夜の深い時間にも関わらず人気が高く、ブレイクの兆しが見え始めた1984年の年末。「一気」が発売された。
一気
当時飲み会やコンパなどで流行っていた行為。
「一気、一気・・・」の掛け声に合わせジョッキの中のビールを一気に飲み干す。
1984年から始まり今も続く新語・流行語大賞。
その1985年の流行語部門に選ばれたのが
「イッキ!イッキ!」だった。
もっとも受賞したのは、とんねるずではなくて慶應義塾大学体育会ではあったが。
20代前後の若者の間に流行している「一気」。
そこに同世代のタレントとして人気上昇中のとんねるずを絡めてしまおう。
そうして生まれたのが、とんねるずの「一気」だった。

1984年12月。ひっそりとリリースされ、
関東ローカルの「オールナイトフジ」で初披露。
当時はインターネットも無ければYouTubeもSNSも見逃し配信も存在しない。ビデオだって一家に一台ではなかった時代だ。
関東ローカルの深夜放送でひっそり歌われた「一気」は、
発売翌週のオリコン121位に初登場する。
121位。
当時のオリコンは100位以内が売り上げ枚数が表示され、101位から200位までは、曲名と歌手名が表示されるだけ。
121位。一般発売されているオリコンには、全国チャートのみが掲載されているが、業界向けに配布されているオリコンには地域別のランキングも掲載されている。その関東地区のチャートで、とんねるずの「一気」は、なんと8位にランクインされていたのだ。
8位。全国では121位だが、関東に限れば8位。チェッカーズ、中森明菜、松田聖子など並み居る人気歌手達と並び8位なのだ。
この時点ではまだ一気はオールナイトフジでしか歌っていない。
にもかかわらず121位→103位→90位→・・・とどんどんチャートを駆け上がり、最終的に全国19位までランクインされたのだ。

この「一気」だが、リリースの過程は、流行のイッキを若者に人気のとんねるずに歌わせる。いわゆる企画物のようなレコードだが、ただの企画物に終わらなかった。
そしてこの曲の中でウケた戦略が、後にオリコン1位やミリオンセラー、日本歌謡大賞受賞や紅白歌合戦出場へと駆け上る歌手・とんねるずが誕生するきっかけとなったのだ。

なぜ「一気」がただの企画物じゃなかったのか。
そしてなぜお笑い芸人や企画物レコードにありがちな一発屋にとんねるずは終わらなかったのか。

一気がヒットしたロジックは、次回にて。

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