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個人的慰安旅行(鴨川)

仕事も何かいやな流れの最中、プライベートでも嫌なトラブルが発生し、なんだか心がすさんでしまったので、手軽に逃避行がてら10年前によくやっていた南房総への鈍行旅を敢行することにした。

安房鴨川と私

何が良いってこの海岸よ

10年ほど前、公私ともにうまくいかない時期があり、当時住んでた千葉の市川市からなるべく僻地にゆっくりしたい。あまりお金かけずにということで浮かんだのが、内房線で安房鴨川まで行って、海でも見て外房線で帰ってくるという、週末旅行だった(確か大昔読んだ「天使の卵」の作者である村山由佳さんが在住していたからという、何ともぼんやりした理由だった気がする※)
当時の私は、とにかくいろいろな方向性がこんがらがっていて、何一つ成果もやりがいも見いだせず途方に暮れていた。そんな抱えきれないほどのモヤモヤを、海のはるか彼方を眺めることで発散していた。鴨川の海岸は私の心の癒しスポットだった。

2024年版安房鴨川旅行

さて、その頃の自分から心機一転し、悩む暇があったら手を動かせ。自分がやるべきと感じたことなら、周りが何言おうが無視してやれ。という暴走機関車のような思想で10年ほど突っ走った訳だが、かけ違いのボタンのように人間関係がこじれることは起きるときは起きてしまうものである。久々こんがらがってウンザリがレッドゾーンを超えてしまったのである。
久々週末に逃避行するか。場所?そうだな。久々あの海岸見てくるか。そんな感じで金曜には宿の予約を取り、そそくさと電車に乗り込んだのである。

久々の内房線は、車両も変わり安房鴨川終点のダイヤも無くなったのね

鈍行旅の好きなところ

鈍行は目的地に早く着くことが目的ではない。変わりゆく景色の移ろいを楽しむものだと思っている。都市近郊の街並みが徐々に自然に侵食されてゆく様を見るのが良いところなのだ。特に、今の季節は緑が燃えるようなので、そのコントラストが色濃く、鮮やかで非常によろしかった。
こんな時は、くるりの少しパンチの効いたライブ盤を聴くとよく合う。さらに日も長いから夕方の時刻でも、昼過ぎのような明るさなのも良い。いいことづくめだった。

眼前に広がる、燃えるような緑たち

海岸に佇む

1日目は、一泊して2日目の朝からずっと海浜にさすらい、やや曇天の空模様と濃灰紺の海を眺めながらゆるゆる歩く。頭がこんがらがっているときは運動がよいと言われているが、それに加えて美しい海岸と豊かな緑の車窓。癒されないはずがない。とはいえ体力が落ちているようで、ダラダラ海浜を5キロくらい踏破した結果足が死んでしまい。カフェで暫く伸びていた。

まっさらな青空もいいけど、このとてつもない濃淡のある曇天もきれいだった。
お客さん。まだ10時なのに何で伸びてるんですか?

海浜にさらに佇む

そしてやや移動して、10年前海を眺めていた公園にたどり着いたので、そこで大量のサーファーでにぎわう海をひたすら眺めていた。
懐かしい公園は10年前と変わらず、松の木の絶妙な木陰のベンチから海を眺める。サーファーは昼にかけて増えて来て、やや波がある日だったので、サーフィン日和だったようだ。賑やかさが増した浜を遠景にベンチでゆるゆる。なんだか桃源郷のようなぼんやりフワフワしてくるのである。いやぁー唯一無二の海岸。

やばい。油断すると海の景色に意識が吸い込まれてしまい、戻れなくなりそう。
サーフィン楽しそうだな。天気が良すぎる。波も良さそう。

そして現実へ

夢のような時間を堪能して、だいぶ心のモヤモヤも晴れたようだった。本当にこれで晴れるの?と思う人もいるだろう。私の場合はこれが効くのである。たぶん、ひとそれぞれモヤモヤの晴らし方は異なるだろうし、決まった方法なんてないと思う。私の場合は、独りの時間をじっくり過ごして、モヤモヤを解きほぐすのが一番だと思っている。特に安房鴨川は駅から浜まで近いし、雰囲気もとても明るく、周りの飲食店の魚はプリっぷりである。近隣都市の方で興味があれば、ぜひ内房線に乗り込んで週末の鴨川の海岸を堪能してみてはいかがだろうか。

ふざけているのかと思ったらガチアートだった。
帰り道に突然現れた名店。衣がケンタッキーよりうまい。

※村山由佳さんは2007年に鴨川を離れられたようです。

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