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桐ヶ谷

この辺りは西五反田ではあるが、古い地名は桐ヶ谷である。今も桐ヶ谷斎場があるし、第二次世界大戦前までは、五反田から出発する東急池上線に桐ヶ谷駅というのがあったそうだ。

落語の「黄金餅」の話の中で亡くなった人を運ぶくだりがあるのだが、下谷山崎町(現在のJR上野駅東側)から上野広小路に出て神田、日本橋、京橋、新橋を経て愛宕下、神谷町、飯倉、麻布十番を通り、今の南麻布あたりのお寺での読経を経て桐ケ谷まで行くのを情景描写とともに語る(この落語の見せ場である)。現在で言うと、上野から中央通り、秋葉原、神田を抜けて銀座通りを新橋の手前で右折し虎ノ門で左折、虎ノ門ヒルズを見ながら麻布台ヒルズの先の飯倉交差点を右折、飯倉片町を折れて永坂を下って麻布十番に入り一本松のある大黒坂を上って南麻布のお寺で経を上げ、そのまま南進すれば清正公から高輪台に登り、坂を下ってJR五反田駅を経て桐ヶ谷に着くという具合である。

つい先日、TOCビルが閉館した(2024年3月末)。名前も昭和感あるなとは思うのだが、NHKと同じようにTOCも東京卸売りセンターの頭文字を取ったものである。専門店が多く、小売をしていない店なども多かったのだが、数ヶ月に一度行われる「徳の市」では一般客にも開放される店が多く、その時だけは人で溢れていた。もっとも女性服の販売が多く、メンズや雑貨などは多くなかった。

TOCの屋上は都内では数少ない自由に出入りできるオープンエアのロケーションで昼休みなどは休憩をしている人が多かったのだが、近年では撮影などでも賑わっていた。地上13階ではあるが周りに高いビルが無いため全周の見晴らしは良かった。天気の良い夕方などは西に富士山が見えるものの、しかしながら桐ヶ「谷」という谷地形(そもそも北側には目黒川が流れている)、荏原の台地や目黒川を挟んだ白金台高輪台という台地に挟まれているため、都心部や東京湾方向の景色はあまり見えず、思ったほどの絶景ではない。

(近々のニュースだと、TOC建て替えは延期になり、再度開館するとの事だ。)

(撮影 2020/1)

model;ひゅあり (Instagram)


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