かんぴょうまき1-2
もう一つある奥の6畳部屋は昼間有希子の学びスペースになっていた。小学校に通いだす頃、愛娘の為を思って母美智子はたくさんの本や動物図鑑、天体図鑑等の教材を買い揃えてあった。図鑑は有希子にとっては1冊がブロック塀くらいに大きく重く感じ、ランドセルに収まらないほどの大きさで棚から取り出すのも嫌なので内容もあまり興味は無かったが、お気に入りの本は何冊かあった。「幸福の王子:オスカーワイルド作」もそのひとつだった。物語は、かつて裕福な王子が不幸にも若くして亡くなっしまい、後に建てられた