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第152回 時空を超えたコラボ

1、連携と展開

近隣の三つの町で共同で巡回展をやっています。

今日、七ヶ浜町歴史資料館さんで展示作業をして来ました。

うちの町からは名込遺跡というところから出土した遺物を一通り出品。

この遺跡は松島湾に突き出た半島の少し高いところに位置しておりまして、大変見晴らしがいいところです。

東日本大震災の後、沿岸部に次々と避難施設が建てられ、この遺跡のど真ん中にも計画されました。

確認のためにトレンチという細い調査溝を掘ってみると平安時代の土器が次々と出てきました。

実は我が町は縄文時代を除くと、お寺や山城の遺跡はありますが、普通の人たちが暮らした集落の遺跡はほとんど確認されていないんです。

そんな中で平安時代の建物跡が見つかったので、

これは保存だ!

と思いましたが、結局力及ばず、記録保存ということになりました。

2、火山灰が大好きな考古学者

調査の結果、竪穴建物跡が1棟が奇跡的に残っており、他の部分はすでに削平されていることがわかりました。

建物跡が埋まった土の中には通称「灰白色火山灰」が含まれていました。

これは青森県の十和田湖ができた火山の噴火に伴って降下したもので、東北の広い範囲で見られます。

なぜこれが重要かというと、文献や科学的分析で915年のことだと推定されていること。

つまり915年に噴火した火山灰が含まれた土で埋もれているということは、建物が機能していたのはそれより前、ということになります。

出土した土器の形などの情報を加えるとより年代が絞られます。

3、平安人と縄文人

出土した遺物には製塩土器と呼ばれる塩づくりをした土器が含まれていました。おそらく近隣の浜で海水を煮詰めていたのでしょう。

ふいごの羽口が出土しているので、鉄でできた簡単な道具ならその場で修理していたこともわかります。

あみを使った漁に使われた、土製のおもりもありました。

平安時代の人々の暮らしがすごくイメージできる貴重な資料です。

七ヶ浜町歴史資料館では、大木囲貝塚史跡指定50周年記念として、「大木式土器の世界」という力の入れた企画展を10月6日から実施するそうです。

準備中の裏方をのぞかせてもらいましたが、マニアには垂涎の展示があってワクワクします。

ぜひお近くにお越しの際はご覧になってください。

なんと入館無料ですよ!

#展示替え #名込遺跡 #製塩土器 #大木式土器 #大木囲貝塚 #灰白色火山灰 #十和田A


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