シロクマの清掃員 第四話

日が沈み、夜。ホームの電車からは、会社帰りのサラリーマンと疲れた学生達が淡々と帰路へ着いていく。勤務時間はとうに終わりを迎えていた私は、駅前で買ってきたコーヒーを片手に悶々とした面持ちでその景色を眺めた。頭の中は終始、あの少年と母親の姿が何度もフラッシュバックしている。”もっとやれることがあったのではないか””自分はいつも無力だ”そんなどうしようもない悩みが、心の中に段々と暗い影を落とした。
「あの・・・。さっきはありがとうございました。」
暗くなった心に突如として小さな光が灯った。私はその感謝を伝える温かな言葉にゆっくりと顔を上げた。
「あっ・・・。」
そこには昼間に出会った少年が、座る私を覗き込む様な姿勢で心配に染まった顔を向けていた。
「すいません・・・。目に入ったんでお礼をって思って。大丈夫ですか?僕でよければ話ぐらいは聞けますよ・・・?」


制作 東京制作部 田中和真
この度は『シロクマの清掃員』をご拝読頂きまして誠にありがとうございます。こちらのページは毎週土曜日の更新となります。何卒これからもよろしくお願い致します。

※今回短くて申し訳ありません。あと何週間もサボりました・・・。死にます。

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