制作日誌5/6 生活に音楽を

控えめに言って今日は何もしなかった、というのも曲を作っていたのだけどどうしても歌詞が一行もかけなくて、とことん何もしなかった。
インプットが足りていない部分を補わなければと思って今日は好きな音楽をのんびり聞いていた。

僕がharuka nakamuraと出逢ったのはとあるラジオを聴いていた時だった。深夜FM福岡で放送されてたラジオで友達がパーソナリティを務める期間限定の番組だった。
ラジオのパーソナリティーがオススメのアーティストを紹介するコーナーでharuka nakamuraのこの曲がかかった。体から重力を奪われたかのように脱力してしまうそのピアノの音に出逢ってしまったのだ。僕は車のカーラジオからそれを聴いていたのだけれどその曲が流れた瞬間この狭い車内の景色が違う場所に誘ってくれた、序盤は丁寧に丁寧に紡ぎ出されていくその音粒一つ一つがとても美しくてそして気がつくと中盤から終盤にかけていつの間にか沢山の音に囲まれていく。鮮明な景色ではないけど、自分の一番大切な場所や人、記憶の柔らかく美しい場所を朧げに映し出しいくその音に触れて僕は生まれて初めて音楽を美しいと思えた。

あとから知ったことだがこの曲が収録されている『音楽のある風景』というアルバムはharuka nakamuraの概要にはこう記されている。

2010年にシンガポールのKITCHEN. LABELからリリースされ、大きな賞賛を浴びたharuka nakamuraの2ndアルバム『twilight』。そのアルバムに参加したARAKI Shin(サックス、フルート)、内田輝 (サックス)、根本理恵(ヴァイオリン)、齋藤功(ドラム)らで編成されたは、過去4年に渡り『twilight』の楽曲や新曲を即興演奏を中心に昇華させながら各地で公演を続けた。ほぼ楽譜の無い、その瞬間に輝き消えていく音たち。ARAKI Shinの素晴らしい管弦アレンジなども加わり、やがてこのPIANO ENSEMBLEはharuka nakamuraの最も主軸な演奏形態となっていった。そして2014年、その軌跡を集約した公開録音が東京のコンサートホールsonoriumで全3回に渡り行われ、haruka nakamuraの通算4枚目となるアルバム『音楽のある風景』が誕生した。
賛美歌や宗教音楽への指向とチェンバー・ミュージックをリンクさせたharuka nakamuraの音楽性を完璧に捉えるためには、チャペルや礼拝を彷彿させるその会場での公開録音は絶好のロケーションだったと言えるだろう。haruka nakamuraのピアノが率いるぴたりと息のあったアンサンブルと空間自体の輝くようなソノリティーが融合したパフォーマンスは、クラシックの厳格さにコンテンポラリーな即興演奏をミックスしながら、細部まで美しくエレガントに、心揺さぶるエモーショナルな共鳴を生み出している。

僕は今まで大声を上げて、腹の底から一生懸命ステージで命を燃やすように演奏して歌っていた。しかしこの音楽にであってから何がエモーショナルで、音楽はどうして音で紡いでいくものなのかと深く考えさせられた。その場の人が醸し出すそれっぽい雰囲気で自分自身がごまかしごまかし演じた世界観ってやつで作り上げた自分の音楽が虚構に感じた。そして次へと進むための光ともなった。

ジャンルで言えば全く違うジャンルではあるけれど、haruka nakamuraに出会っていなければ僕の音楽はきっと衰退していたと思う。
その後作った3rd mini album『ato』はそういった音楽との出会いにインスパイアされて創造できた作品だと言える。

改めて今日はこのアルバムを生活している空間で何度もリピートして聴いた。これがアルバムの楽しみかただと思うけど僕は小説を読み解くみたいに何度も何度も一つのアルバムを繰り返し聴くようにしている。そうすることでもっと深くその作品について知ることができると思っている。

最後にこのアルバムの中で一番気に入っている曲を紹介して終わりたいと思う、各種配信もおこなっているみたいだから是非チェックしてほしい。



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