見出し画像

おうちの香り

あ、懐かしい。

あの時かいだかおりだ。

落ち着くな。

といった瞬間が偶に訪れる。

 小学校のとき団地の友達の家に遊びに行った時の階段に漂う、いろいろなおうちのにおいが混ざって独特な柔らかみのある香り。


 子供の時「ちょっとまっててね~」と言って毎度チョコレートを貰うために回覧板回しをしに行っていた隣のおばあちゃんのおうちの懐かしい香り。


 年に数回帰る祖父母の住むまちの夜の外のにおい。昼間に温められたコンクリートが夜風にあたり冷え、蒸散した少々焦げ臭い香り。おうちのかおりではないか。


 今の我が家の隣のお宅からは少々華やかな香りが窓の隙間から漏れている。使っている柔軟剤・芳香剤のにおいかな。


 今日はこのお宅、絶対にカレーを作るために玉ねぎ炒めているな。ふふっとなる香り。

無意識に、香りに翻弄されて生きている。
そういう自然と鼻に訪れる香りの音符のようなものがすごく好き。

逆に、人工の香りが少々苦手。柔軟剤がねっとりとへばりついた衣服とか、通りすがりにツンッとする香水の香り、バナナ風味のガムとかコーラ風味の飴とか。まあ、だから何?という話だが。香りに柔らかみ厚みがなく端的に”香り”を表現している感じが寂しいだけなのかもしれない。


自分の実家は無臭な時がほとんどだった。久しぶりに帰ったら木の香りがちょびっとするくらい。
柔軟剤はちょっとしか使わなかったから、匂いだとかを気にするようになった年頃の女の子にとってごわごわのタオルや無臭の体育着はあまり好きでなかった。その反動のようなもので大学に入って柔軟剤とやらを買って使ってみているが、結局いらないのではないかと最近思ってきている。(少量使ってはいるが)洗剤だけでもほわほわになる質の良いタオルを使えばよい。太陽に当てて洗濯物を乾かせば陽だまりのようなにおいになる。自生している植物やお花を使ってスプレーなんて作ってみたいな。なんて妄想を...。

何が言いたかったという訳ではないけれども

なんだか

なつかしい香りをかぎたくなるときがある。

香りをかいで懐かしさに浸るときもある。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?