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【ショートストーリー】うさぎ組の恋愛事情

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小説とエッセイのはざまのような文章を書いています。恋愛事情をあれやこれやと。
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#創作大賞2022

世の中はこんなにも色で溢れているのに

「いいお天気だな」 彼女の家について、車を停めた。昨日の雨が嘘のように今日は、心地よい青空だ。この天気だったら、少し遠くまでドライブもいいかもしれない。いや、久しぶりに目黒のあのイタリアンで、昼間からワインを飲む方がいい休日になるだろうか。  今日1日の行動について、ぼんやりと考え始めた。せっかくの休みに、せかせかするのは好きではない。休日とは、心を休めるためにあると言いつつも、常に仕事の連絡が舞い込む携帯を操作しながら、僕は、心地よい時間を過ごすための方法を頭の中で想像し

終わらない距離感を壊したくないから、今日も私たちは日常を過ごす

 朝起きて、まだ寝てるらしい彼の顔を見つめながら、平和な朝を幸せに思った。起こさないように、そっとベッドを抜け出し、シャワーを浴び、昨夜の余韻を洗い流す。  部屋に戻ると彼はまだ目をつぶっていて、もう一度ベッドに戻ろうかちょっと悩んだけど、結局、仕事にいくためのシャツとスカートに着替えた。  「ご飯でも食べようよ」彼からの提案で、私の家に集まったのは、昨夜の21時。私たちの集合時間はたいてい遅い。 「何作る?」  もう夜も更けていくという時間だけれど、テーブルにはまだ、