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【ショートストーリー】うさぎ組の恋愛事情

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小説とエッセイのはざまのような文章を書いています。恋愛事情をあれやこれやと。
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#40代

相手に求めても無駄なのです 自分の機嫌は自分で取ろう

 もう2時間にもなる。私の目の前でジョッキのビールを握り締めている友達は、多分3回目であろう同じ話に入りかけている。 「やっぱり、おかしいよね。仕事が不規則だからって、次会う日がわからないとか。この間だってさ、2週間も前から温泉行くって約束してたのに、3日前になって、やっぱり無理だって。私のことなめているとしか思えないよね」彼女は、残りのビールを飲み干し、お代わりを注文した。 「家にだって入れてくれないし」「この前だって、たったの2時間だよ。会ったの。」「いつも私の家にくる

食事をすることとセックスは似てる

(上のショートストーリーもよかったら・・・) 恋愛対象に何を求めるかと言われれば、迷わず「食の好み」と答える。肥満なのか、鍛えているか、薄毛なのか、フサフサなのか、この年になるとそんなことはどうでもいい。ルックスなんて、眼と鼻と口がついていれば、大差ないとさえ思ってしまう。そんなことで条件をつけるぐらいなら、私が見たいのは、生きてきた人生と価値観だ。  20代そこそこは、価値観だってジェットコースターのように変化する年頃で、影響されることも影響を与えることもできる。でも、

40歳だって恋をする

 寒い夜だから、赤身の肉と相性の良い美味しい赤ワインが飲めたらいいな。そんなことを思いながら、待ち合わせ場所に向かった。  シンプルな薄い黒のニットに、織りが気に入っているロングのスカート。細身のショートブーツ。ノンブランドの小ぶりの茶色いレザーバッグ。アクセサリーはごくシンプルに。リングは、グレーに光る天然石がついた細いゴールドを。コートは極シンプルなオフホワイトを選んだ。持っているアイテムから、なるべく当たり障りのないチョイスをしたのは、知り合ってから初めてのデートだか