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【ショートストーリー】うさぎ組の恋愛事情

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小説とエッセイのはざまのような文章を書いています。恋愛事情をあれやこれやと。
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#恋愛

世の中はこんなにも色で溢れているのに

「いいお天気だな」 彼女の家について、車を停めた。昨日の雨が嘘のように今日は、心地よい青空だ。この天気だったら、少し遠くまでドライブもいいかもしれない。いや、久しぶりに目黒のあのイタリアンで、昼間からワインを飲む方がいい休日になるだろうか。  今日1日の行動について、ぼんやりと考え始めた。せっかくの休みに、せかせかするのは好きではない。休日とは、心を休めるためにあると言いつつも、常に仕事の連絡が舞い込む携帯を操作しながら、僕は、心地よい時間を過ごすための方法を頭の中で想像し

相手に求めても無駄なのです 自分の機嫌は自分で取ろう

 もう2時間にもなる。私の目の前でジョッキのビールを握り締めている友達は、多分3回目であろう同じ話に入りかけている。 「やっぱり、おかしいよね。仕事が不規則だからって、次会う日がわからないとか。この間だってさ、2週間も前から温泉行くって約束してたのに、3日前になって、やっぱり無理だって。私のことなめているとしか思えないよね」彼女は、残りのビールを飲み干し、お代わりを注文した。 「家にだって入れてくれないし」「この前だって、たったの2時間だよ。会ったの。」「いつも私の家にくる

スパイスな夜

 「小説家は、毎日波乱万丈な人生じゃないとやってられないね」唐突にエビアンを飲みながら、彼が呟くので、「そうなのかなぁ」と考えてみる。 考えてみれば、平和で幸せぼけしているときなんて、頭がお花畑のような美味しそうな料理の投稿ばっかりしていて、言葉なんて何も紡げない。  ただただ、「幸せだー」しかなくて、半年くらい前の私の投稿は確かにそうだった。 女子なんて、案外単純なものだと思う。目の前の人が大好きで、目の前の人が大好きでいてくれることを確信できれば、仕事がうまくいってな