見出し画像

二本の傘

電車で二本の傘を持つ女性がいた。
一つは女物の長い傘、もう一つはビニール傘である。
時間は7時10分。通勤時間であったがその女性はジャージという楽な格好。
その日は3月15日。冷たい雨が降っていた。

気がついたのは空港に向かうローカル線に入った当たり。
普通の通勤とは逆方向である。
連れの方が傘を忘れたので届けにいくのであろうか?
それにしては、奇妙な時間だ。
その女性が置き傘をしていたのを持っていく?
もしくは置き傘のために予備を持っていくのだろうか?

他愛の無いことを考えていると自分の目的の駅が来たので、降りた。
降りた後、自分が傘を手に持っていないことに気づいた。
しまった。忘れた。
幸い、いつか鞄に入れてそのままだった折り畳み傘が入っている。

ある意味自分も二本の傘を持っていたな、とそんな話


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?