アルスラーン戦記を読み切った

最初にリリースされたのが1986年か。昭和やん、昭和。兄貴が最初に買ってて、読み始めたのはいつだっけ。小学生高学年やったか、中学に入ってからやったか。兄貴が最初に買っていて、それを読ませてもらっていた。

当時の記憶はほぼないけど、面白かった記憶だけはある。映画も一作目だけ観に行ったな。当時はテレホンカードを集めてたから、前売りでついてきたテレカと劇場で売ってたテレカ、両方買ったな。あれ、どこやったっけかな。。。売ったんだっけかな。。。

作品を途中で放り出すことで有名な田中芳樹なので、僕も途中で読まなくなった。そもそも9巻から10巻で7年間が空いた時点で、脱落するよね。

刊行を再開したときも買おうかどうしようか悩んでて、でも買うなら1巻から全部買わなあかんよなー、と思って踏ん切りがつかなかった。Kindleでも出てたから買おうかな、と思ってたんだけど、結局買ってない。

そしたら古本屋で全巻セットが2,000円で売ってるじゃあないか。全16巻だが、新装版は10巻までがニコイチになっているので、10巻までで5冊、残り6冊で全部で10冊。これは安い。ということでその場で即購入。

結構時間かかったんだけど、トータル半年くらい?で全部読了した。今日読みきった。

いやー、面白かった。

面白かった、のだけど、これだけ長いこと刊行が続いていると、著者である田中芳樹の全盛期と衰えた頃の両方が味わえる、という意味でも稀有だな。

9巻10巻くらいまではホンマに面白いのよ。読みやすいし。どうなるんだろう、って次に手を伸ばしたくなる。

それが、13巻、14巻あたりで徐々に怪しくなってくる。だんだんね、描写が怪しくなるんだよな。先日16年ぶりに新刊が刊行された創竜伝の14巻(天野喜孝のイラストが相変わらずクソカッコイイ)でも感じたのだけど、直前に書かれていたはずの場面が、気づいたら無視されてるのよね。あれ?コイツさっき別の所で戦ってなかった?って。

田中芳樹はそういう細かい描写の手を抜かない作者だったのだけど、だんだんまとまりがつかなくなってきた感がある。こうやって好きだった作者の衰えを顕著に感じるのは、寂しい限りだよね。

まあ僕も十分衰えているのだけどさ。

最後の方は【皆殺しの田中芳樹】らしく、主要メンバーがガンガン死んでいく。ここまで付き合ってきた仲なので、どんどんあっけなく死んでいくのは悲しさも覚える。

てかさ、タハミーネもそうだし、レイラも孔雀姫もジャスワントも他の多くのメンバーも、あっけなく殺されすぎじゃね?パリザードなんか、めっさ重要なキャラみたいに描かれてたのに、チョイ役になっていい場面が与えられなかったし。多分著者がしんどくなってきたんやろなぁ。

オチも嫌いじゃないんだけど、でも多分これは最初に考えていた内容じゃないんだろうなぁ。個人的にはもっと別の終わり方を期待してたんだけどね。いや、悪い終わり方じゃないのだけどね。僕の期待を裏切られた、ってだけなので。期待してた方向とは違っていた、という意味では、良いラストだったのだと思う。

これだけ壮大な物語を描けるのだから、やっぱり田中芳樹は稀有な作家なんだよな。面白かった。

敢えて望むなら、解放王アルスラーンと解放王の十六翼将とで、蛇王ザッハークではなく、周辺の国、そして内部の反乱との戦いを平定していく、といった物語を読んでみたい、と思った。妖魔など出てこない物語を、ね。

そうなると、アルスラーンは銀河英雄伝説のラインハルトのように大きな野望を持った人物にならなあかんのかな。そうなると解放王じゃなくなるしなぁ。難しいところだ。

とても面白かった。なんだろうな、ファンタジー系の小説、とは少し違うのだけど、でもそっち系が好きな人だったら楽しめると思う。途中までは異世界歴史譚としても十分楽しめる。

個人的にはかなりオススメです。

田中芳樹の岳飛伝も面白いからなー。やっぱり歴史物、伝記物が得意なんだろうな。

ちなみに、銀河英雄伝説は著者が全盛期のうちに全て描き終えた最高傑作の一つです。超オススメです。


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