無念の引退…立ち直るきっかけをくれたのは「新しい推し」

2015年10月に右股関節形成手術を受けた杉内俊哉さん。
そこから3年ほどリハビリを頑張っていたのですが…その努力も虚しく、2018年9月、現役引退を表明されました。

涙が止まりませんでした。

大好きな杉内さんの勇姿をもう見られなくなってしまったことは勿論のことなのですが、それ以上に、杉内さんが「努力は報われない」ことを証明したかのように思えてしまったので、それが何より辛い現実でした。

同じ頃の私は、仕事でなかなかうまくいかず、上司に「お前は努力が足りない」「もっと努力しろ！」などと言われ続けていて、そんな私に追い討ちをかけるかのように発表された杉内さんの引退…。

杉内さんの努力が報われなかったのに、私の努力が報われるわけがない！
どいつもこいつも、努力努力うるさい！！

…という感じで、杉内さんの努力が報われなかった姿を目の当たりにしたばかりの私は、かなり歪んでしまっていました。

マガジン「杉内俊哉さんの沼」最終回となる今回は、そんな私がどうやって立ち直ったか、というお話です。

杉内さんが現役引退を表明されてから、4年ほどプロ野球からは距離を取っていました。
その間、俳優さん、芸人さん、ジャニーズなど色々な界隈をかじりましたが、どれも長続きしませんでした。

そんなある日、なんとなく見ていたテレビ番組で「新しい推し」と出会うことになるのです。

彼の名前は、演歌歌手の徳永ゆうきくん。

以前から徳永くんのお名前だけは存じ上げていたのですが、意識するようになったきっかけは2020年からフジテレビ系列で日曜日の夜に放送されている「千鳥の鬼レンチャン」という番組です。
名曲のサビを、音を1つも外さずに10曲連続で歌うこと(=鬼レンチャン達成)ができれば賞金100万円を獲得できる「サビだけカラオケ」という企画で、鬼レンチャン達成者が続々と出てくる中、徳永くんはずっと不甲斐ない結果が続いていて、この状況を重く見た番組から謹慎処分が下されていました(2022年の5月か6月頃だったと記憶しております)。
その謹慎処分の期間に、徳永くんはサビだけカラオケに復帰する為に色々なチャレンジをされていて、2022年9月、漸くサビだけカラオケ復帰を掴みました。

それを見て、私はなぜか拍手していました。
そしてその後、徳永くんのサビだけカラオケの復帰戦が年明けにあると知って、なぜかワクワクが止まらなくなってしまいました。

徳永くんは私より2歳年上で大阪生まれ。
鉄道ヲタクで阪神ファン。
鬼レンチャンは大好きだけど、徳永くんにはそんなに興味なかったはずなのに、なぜか色々調べてる。
過去に色々あってから演歌どころか音楽自体嫌いになっていて、演歌に至っては食わず嫌いだったのに…。
そもそもなんで鬼レンチャン好きなんだっけ？

そう自問自答を繰り返し、私はもしかして徳永ゆうきくんのことが好きなのでは？という結論に至りました。

そして、2023年1月8日に迎えた、サビだけカラオケの復帰戦。
万年レベル4止まりだった(=うまくいっていた時でもレベル5で失敗していた)徳永くんが、150時間を超える練習を重ねた末、見事、鬼レンチャン達成したのです…！

感動のあまり、涙が止まりませんでした。

杉内さんの努力は報われなかったけど、徳永くんの努力は報われたのです。
杉内さんが引退されてからずっと努力を信用していなかった私が、漸く努力を信じることができるようになりました。
「新しい推し」徳永ゆうきくんのおかげです。

こうして私は、杉内さんの引退という悲しみから立ち直ることができました。
また、それと同時に、ちゃんと報われる努力もあるんだと、漸く分かった気がしました。

もし私が野球に興味を持っていなかったら。
もしあの時、選手名鑑に載っていた杉内さんに出会っていなかったら。
もし杉内さんが読売ジャイアンツに移籍されていなかったら。
もし杉内さんの股関節が何ともなかったら。
もし杉内さんがまだ現役だったら。

色々思うことはありますが、それでも、杉内さんのことは、引退された今も大好きです。

プロ野球選手は、いずれ引退する。
その時にどうやって立ち直るかによって、精神衛生はだいぶ変わってくると思います。