君のことばに救われた。

もうそろそろ1年経つから、言っていいんじゃないかと思っている。

今回は本の話でも大河ドラマの話でもなく

私の知ってる誰かの話。

1年前

彼女はまあちょっと世間知らずだけど普通の大学1年生だった。
新生活に対して過度な期待も希望もなかったけど、でも変わっていいんじゃないかっていう気持ちはちょっとだけあった。

バイトも始めた。彼女の高校はバイト禁止で、そもそも勉強とか塾とかが忙しくて時間もなかったから初めてのバイトだった。(彼女曰く高校3年間は勉強に捧げたらしい、知らんけど)

彼女が始めたバイトは塾講師だった。
ブラックなところが多いとよく聞く塾講師だけど、すごく良い職場だった。
それは今でもそう思っている。
生徒もすごく慕ってくれていた。
「本屋で働きたい」という思いはあったけど、それでも時給の高さとシフトの融通が利くことが結構大きく、「このままここで働いていてもいいかなあ」なんて思っていた。

どういう経緯かは今でも覚えている。
それに辞めるとき全部話さないと辞めれないと思ってたから、確認もしたし。

端的に言う。
先輩講師からセクハラを受けた。

怖かった。
気持ち悪かった。
何度も「自分が悪い」と思ったし、正直言って何でこんなことになったのか全く分からなかった。

怒っていた。
だって好きな服を着れなくなるかもしれなかったから。
今まで友人の多くが男子だった私の今までを否定することは出来なかったから。
何でそんなに知らないくせにそんな勝手な評価をされなきゃいけないの、って。
すごく怒っていた。

言えなかった。
嘘、言ったけど、Twitterで。
でも詳しいことは言えなかった。
「その程度でそんな風に思うの?」って言われるのが怖くて。
「それは自己責任じゃない?」って言われるのが怖かった
話せたのはたった1人。
それまでの経緯も全部知っている友人だけだった。
彼にしか「助けて」って言えなかった。

電話しながら泣いてしまった時もあった。
正直迷惑しかかけてなかった。
でも彼は優しかった。
何度も自分を責める彼女に「悪くないよ」って言い続けてくれた。一緒に怒ってくれた。
慰めだけかもしれないけど、でもそんなことに嘘をつくような人じゃないと思っているから。
彼がいなかったら彼女は多分誰かに助けを求められなかったと思う。

そして今

「彼女」なんて書いていたけど、これは私の話だ。

今でも月に1回カウンセリングに通っている。
知らない男性より、知ってる男子と2人になることの方が怖い。
それは大好きな先輩、同期、後輩でも。
2人でご飯に行くのは楽しい、でも少しだけ怖い。

当たり前なのかもしれない。
でも大好きで信用してるのに信じ切れない、そんな自分が嫌になる。

先輩講師はそんな意図なんてきっとなかっただろう。
彼は私がこんなことになっているのもおそらく知らない。
私も普段は忘れている。
でも時々、ふっと思い出す。
私の心のどこかにきっとずっと残り続ける。

誰かの言葉に傷ついた。
でもその後、誰かの言葉に救われた。
言葉は、使う人に応じてたくさんの姿を見せる。

だから、私は今も言葉を捨てられないのだ。

最後に

読んでるか分からないし、よく顔を合わせるからそのとき言えばいいのかもしれないけど。
でも直接言うことでもないから。

あのとき、助けてくれてありがとう。

あのとき、話を聞いてくれてありがとう。


君のことばに救われた。

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