視聴率で殴るより内容で殴れよという話

大河ドラマが好きだ。

一番古い記憶(記録?)は「天璋院篤姫」。宮崎あおいがただただ美人だった。あと幾島の印象が強い。ちなみに何でそれが分かるかというと当時の日記に書かれているから。多分小学3年生。

それから大体毎年見ている。
Twitterを始めてからは終わってからも楽しく見ている。

そして、Twitterでは毎年めちゃくちゃ盛り上がっている。
視聴後、トレンドに入るのは当たり前だった。

なのに、だ。

毎年視聴率の低さで叩かれる。

でも、声を大にして言いたい。

そんなこと関係なくめちゃくちゃ面白い。

視聴率で叩いてる方ちゃんと見てます???っていう感じになるのだ。

「直虎」と「いだてん」

私史上最高の大河ドラマは「おんな城主直虎」なんだけど、まー視聴率は悪いと叩かれた。

簡単に話を説明しておくと
主人公は井伊直虎。徳川四天王と呼ばれるようになる井伊直政の義理の親である。
ここからは初回ナレーションからちょっと引用。

時は戦国、所は井伊谷。
群雄が割拠するこの時代に女の身でありながら果敢にも飛び込んだ1人のおなごがおった。
名は井伊直虎。

今思うとめっちゃかっこいいナレーションだと思う。

でもその前の年が「真田丸」だったから期待度は上がるし、史実が少ない、というかほとんどないし、放送前に「本当は男性だったのでは」説出るし、「女性主人公の大河ドラマはコケる」っていう噂は流れるし放送前から逆風しか吹いてなかった。
正直私もそんなに期待してなかった。放送前のPR動画もなーんかイケメンに囲まれたお姫様って感じだったし。イケメンはいいんだけど。

ところがである。

めちゃくちゃ面白かった。
1年かけて張った伏線全部回収して「見てよかった…!」と全視聴者が思った、多分。

「史実を基にしたフィクション」という言葉はこのためにあるんじゃないかって思うくらい史実に合わせた上で「でももしかしたらこんなことあったかも知れないよね」って鬼脚本を差し出してくる。誰だスイーツ大河って言った奴。全然甘くねえわ、見てから言え。

戦国時代なんて私たちには何の関係もない。
私は井伊谷も関係ない。
でも私は初めてドラマを見て泣いた。
尼の身であり、女でもあるけれど戦国の世の1番悲しいことも辛いことも全部見て、体験して、自分も大事な幼なじみを殺され、殺して、血を浴びて。
そんな彼女が言う「戦のない世を」は誰よりも説得力があった。

彼女だけじゃない。
登場人物全員が大事な人を失った、戦国の世の理不尽さで。だから誰もが戦のない世界を願っていて、そのために戦っていた。

誰も悪い人がいなかった。
そうせざるを得ない理由をちゃんと描いてくれた。
人それぞれに物語があるっていう言葉を初めて理解した。
「真田丸」からのパスをちゃんと受け止めて視聴者に投げ返してくれた。

彼女は妻にも母にもならなかった。
そう、たくさんの女性像が描かれていた。でもその全員が幸せそうだった。
どんな生き方をしても、自分らしいならそれでいいじゃない、って言ってもらえた気がした。

今年の「いだてん」もまた面白い。

この大河ドラマのすごいところはその当時をリアルタイムで見ていた人が今も生きていることだと思う。
だって1964年の東京オリンピックなんてつい55年前の話だし、戦後は74年「しか」ない。幕末や戦国時代とは違う。その当時を見ていた人が確実に存在する、もちろん映像や写真も。NHKにしかできない映像提供に遊び方。この制作費に使われるなら受信料払います!と声を大にして言いたい。

名もない人たちが夢を追いかけて、面白いことがしたくて、時代に抗いたくて、抗えなくて必死で生きている。
主人公は彼らでなければならない。オリンピックは「平和」のためのもの。アジアで日本はたくさんのひどいことをしてきた。だけど、いやだからこそ面白いことをしなきゃいけない。
そこまで言い切る脚本が最高だった。

「最高じゃんねえ」大河ドラマ

歴史っていうのは分かんないものだ。
記録しか残ってないしそこに本当のことが書いてあるかも分からない。

だからこそ大河ドラマは面白い。
史実を基にその当時の人々が何を考え何を思い何をしていたかを見せてくれるのだ。

視聴率で殴られたら内容で殴り返すのが大河ドラマである。

というわけで「いだてん」最終章です。
とりあえず土曜の再放送から見ていただければついて来れます。ほんとに面白いので見てください(回し者ではない)。
あとTwitterで#いだてんとか検索すると面白いです、いろんな視点があって。

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