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勤務先の「直会」で今年最後の大きな幸せ【音声と文章】

山田ゆり
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※note毎日連続投稿1357日コミット中。1337日目
※音声・文章、どちらでも楽しめます。



おはようございます。
山田ゆりです。



今回は
勤務先の「直会」で今年最後の大きな幸せ
ということをお伝えいたします。



このご時世で、マスクをするのは当たり前になった。

数年前までは笑顔を絶やさないとか
相手の目を見て話をするとか
口角を上げるとか気を使っていたが
最近はマスクで顔が見えない事を良いことにそれらを怠っている。


隠しているともっと隠したくなる心境に
のり子はなる。


それは、鏡に映る顔は長年見慣れているからよく見えるだけで
本当は思っている以下の顔だということを知っているから。
そして、年齢を重ね、ほうれい線やシミ・皺が気になる。

これらの理由でのり子は
自宅以外ではマスクを常用している。



今年最後の勤務の日、身の回りの片づけをし、
11時から「納会」が行われた。

従業員全員が社用車に乗り合い、事前に予約していた神社に集まり
そこで神事を執り行なった。


15分くらいで全てが終わり本社の会議室に集合し、
引き続き「直会(なおらい)」が行われた。



テーブルには6~7人が座るようになっている。
色々な人と交流できるようにと
座る場所はくじ引きで決められていて
のり子は33番だった。

ラッキーなことに隣は気の合う同僚のA子さんだった。

のり子のテーブルにはあとは作業着を着た製造部門の男性達だった。

話しやすい方々でのり子は安心した。
始まりそうな頃に目の前に座られた人を見て
のり子はたちまち緊張した。


Bさんが座られたのだ。
彼は入社3年目の21歳。
のり子には眩しい年齢だ。

彼は男性なのにしかも仕事中なのに両耳にピアスをしている。
そしてそのピアスはショートヘアにとても合っている。



執行役員が司会を務め
おちょこくらいの大きさの紙コップにほんの少しだけお神酒が配られた。
社長からひと言お話があり、そして常務の乾杯の音頭で乾杯をした。
お酒だったので実際は口を付けずにした。


例年通り、お寿司やおつまみが
既に配置されていて思い思いに雑談が始まった。


まもなくピザが届き、それらは中央のテーブルに置かれ
数の指定がないということで
それぞれ食べたい分だけ自分でとっていただいた。
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70年以上の歴史がある
昭和のムードたっぷりの、のり子の会社は
毎年、このように一年の終わりには「納会」が行われている。


全従業員が一堂に集まるのは年に数回しかない。
だから会社はそういう時をとても大事にしている。

そんな昭和チックな会社に
男性のピアスは似つかわしくないかもしれない。

しかし、今日の司会を修めている執行役員は
以前からピアスをしている。
十数年前にこの会社にのり子が転職して来た時、
彼のピアスを見て「へー」と思ったのだ。

だからピアスに関してBさんは二人目の存在にあたる。


化粧をしている?
と思うくらい彼は綺麗だった。
ジャニーズ系の顔にのり子は弱い。

彼を前にして食事をするのか~。
できれば遠目から眺めていたい存在だった。


今日はひと様と一緒に飲食をしなければいけないから
のり子はいつもより顔のお手入れをがんばった。

でも、いくら保湿クリームを塗ってもファンデーションを塗っても
年齢は隠せない。

ま、いっか。
いつものお馴染みの人たちだから。

そう思っていた。

だから、まさか、
Bさんが目の前に座るとは計算違いである。


のり子は困った。
恥ずかしくてマスクを外すことができない。
目の前のモノを食べずに持ち帰ろうかと思った。

しかし、持ち帰りは可能でも、終わるまでの2時間近く、
何も食べないで過ごすほどのり子は話術には長けていない。

数秒間迷いに迷って、意を決してマスクを外した。

そして、うつむき加減で食事を始めた。
恥ずかしくて顔を上げられない。

他の方に見られるのも恥ずかしいが
それよりもBさんに見られるのが嫌だった。

時々、お隣のA子さんが話しかけてきて
それに応えるのが精いっぱいだ。

マスクを外したA子さんの顔がある。

いつも見ているマスク顔とはやはり違う。
やっぱりマスク顔は見えていない部分を
勝手に良いイメージで想像してしまうものなのだなと思った。


あぁ、マスクを外した私の顔は
Bさんにどう映っているのかと
のり子は気になってしようがなかった。


いつもは楽しいはずの直会だが
向かいに座ったBさんにどう見られているのか
そればかり気になり
下ばかり見て食べていた。


ピザとお寿司を一通り食べ終えてマスクをかけてほっとしていたら
「○○さん、何、食べますか?」
Bさんが声をかけてきた。

食べないでぼんやりしていたから気を使ってくださったのだろう。


もともとのり子は耳が遠く、そして周りの音ががやがやして
最初、Bさんが何を言っているのかのり子には聞こえなかった。
Bさんの近くにお菓子のテーブルがあり
その中から取ってくれるようだと分かった。


「アルフォートを一つください」
何も食べたくなかったが
彼の気持ちを考慮してのり子は答えた。


アルフォートを含め数個のお菓子を彼は取って下さり、
のり子はお礼を言った。


本当はもうマスクを外したくなかったが
彼のお気持ちを無にしてはいけないと思い
無理して1個を食べた。


それを食べ終わりのり子は再びマスクの世界に非難した。

これでやっと安心できた。


隣の先輩と静かに話をされているBさんの左側の顔をちら見しながら

「幸せはあまり近くにあると窮屈なものだ」
とのり子は感じた。


少し離れたところで眺めているくらいがちょうどよい。


会社の一年の終わりに
大きな大きなしあわせのひと時だった。

来年もいいことありそうだ。





今回は
勤務先の「直会」で今年最後の大きな幸せ
ということをお伝えいたしました。

本日も、最後までお聴きくださり
ありがとうございました。 

ちょっとした勇気が世界を変えます。
今日も素敵な一日をお過ごし下さい。

山田ゆりでした。



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