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地図の読めるオンナ

昔「話を聞かない男、地図が読めない女」というタイトルの本があった。

読んだことはない。だって私は地図が読めたから。
「この本何言ってんの⁉️」って思ってた。

だけど、何人かの女友達を助手席に乗せてびっくりした。
ほとんどが「地図が読めない女」だった。

でも、その当時はスマホはもちろん、ナビもないから、初めての場所に行く時には地図が必須だった。
そして大抵、私が運転するから、できれば助手席の人に地図を読んでもらいたかった。

助手席の人がナビゲーターとして機能しない時は、仕方がないので運転の合間に私が地図を読んだ。

大きな街道を行くだけなら、地図は不要かもしれない。

でも私は、車はなるべく迅速に移動してこそ、と思っているので、渋滞している時や、近道があれば果敢に脇道を攻めたかった。

だからいつでも地図が必須だった。

仲良しのTちゃんとは、よくドライブした。
当時の彼女は免許も持っていなかったし、地図も読めなかった。

でもたびたび助手席に乗るので、できれば地図を読んでほしかった。
だから地図が読めるように、鍛えることにした。

例えば、晴れ間なら、太陽の位置で自分が今どっちに向かって走っているのかを、常に意識する。
曲がる場所を伝える時は、大きな目印を周囲で探す。
例えば川を渡ってすぐ、とか踏切超えてしばらく行って左とか。

昔の地図はそんなに詳しく載ってないから、目印が地図上に必ず載っている川とか鉄道になる。

そうやって何度か鍛えるうちに、Tちゃんはすっかり「地図の読める女」になっていた。
ナビとしては、かなりのレベルに達してくれて、彼女がいる時は助手席に彼女を指名した。

先日彼女と久しぶりに会うことになって、都内の店で待ち合わせをした。

ところが約束の時間を過ぎても来ない。
どうしたかしら、と思っていたら駅からその店までの道で迷ってしまったとのこと。

「私は鍛えられて地図の読める女になったのに、Googleマップで迷う女なんだわ。30分前に駅に着いていたのに‼️」と30分遅刻した自分に腹を立てていた。

Googleマップで方角を失ってしまい、1時間も同じところをぐるぐるしていたのだ。

私もGoogleマップには散々泣かされている。
目的地まで徒歩1分と出ているのに、辿り着けないことが何度かあった。
それからは、事前にできるだけ俯瞰図を頭に叩き込み、歩く方角を常に意識することにした。
どこに向かっているのか、わからなくなるから迷うのだ。

その店は駅から歩いて15分だった。
私は駅に20分前に着いて、時間通りに到着した。
駅で待ち合わせすればよかった、と思った。

そして久しぶりの再会を祝って、昼酒を呑みながら、
「地図の読めるオンナ Googleマップで迷う」
と二人で笑った。

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