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ライブってお客さん次第なのさ

鴻上尚史さんを知ったのは、大学生の時に「第三舞台」のお芝居を見に行ったのが最初です。
今年の6月に出されたこの本。コロナ禍における演劇の立ち位置などにも触れていてなかなか興味深いです。

そして「生きることは演じること」のサブタイトルが気になって読み始めたのですが、

演じるように生きたら、人生楽しくなりそうな予感
をこの本からいただきました。
「いくつもの顔を演じ分ける自分」を意識することで、もっと身軽にステキに生きられそうと勝手に思っています。

なんか女優さんみたいでいいじゃない、って。。ね。


そして、この本の中で面白かったのが、ライブ空間で行われる演劇についての記述です。

演出家になって、毎回、作品を見るようになって初めて、「一回一回、どれほど作品の印象が違うか」ということに驚きました。
 一人、とてもよく笑うお客さんがいるだけで、芝居の雰囲気はガラリと変わります。他の観客も釣られて笑いやすくなり、緊張していた俳優は、リラックスして演じられるようになります。(中略)
 結果として、とても上質の舞台になるのです。
 よく笑うお客さんは、まさか自分が作品にかなりの影響を与えているとは思ってないでしょう。でも、演劇はインタラクティブ(双方向)なメディアなのです。

まさしくその通り‼️と拍手喝采したくなります。

実は、先日見に行った舞台で思うところがありました。
その舞台は、若いアイドルが主演でしたので、当然観客の年齢層はかなり若めでした。

その観客の9割以上を占める若い女性たちが、本当に礼儀正しくて。
つまり反応があまりになさすぎて悲しかったんです。そして多くの人たちが、オペラグラスでお気に入りの演者の表情を凝視している、という。。
(それもある場面で涙を流すとか流さないとか、そんなことが気になるようで)

後方の席から見ていた時には、客席全体にまるで何百という石仏が暗がりに座っているかのような、異様な雰囲気を感じて、ちょっとゾッとしました。それくらい反応が希薄だったんです。

きっと、声を出してはいけない、という決まりがあるので、きちんと守っていらしたと思うのです。でもなんだかなあ。。

舞台って全体芸術なのに。

演者の芝居だけでなく、照明、音楽、その場の雰囲気を、大勢のアーティストたちが苦心惨憺して作り上げているものなのに。。とすごく悲しくなったんです。

ワタシも若くて彼らのファンだったら、きっと同じことをしていたと思います。

でもお客さんがもっと楽しんで、その楽しさを表現したら、もっと違う舞台になっていたのかもしれない、と思うととても残念でした。

コロナ禍でマスクは外せない、声が出せないという制約がある中、とても難しいとは思います。ですが、そう言った制約の中でも、できることってあるんじゃないかと。。

観客の誘導の仕方というか、主催者側からコレはやっていい、これはだめって、いう情報を細かめに事前にお知らせしたりすると、いいんじゃないのかなあって勝手に思ったりしてます。
団扇とか旗とか振っていいとか(後ろの人の邪魔にならないように)、ペンライト持つとか。。

なあんて、この本の趣旨とは違うところのツボにハマってます。とにかく演劇というか、ライブパフォーマンスは自らが楽しんでナンボです。。

コロナ禍でも、観客が楽しめるような工夫がどんどんなされるといいなあ、って思います。

できるだけ上質なライブを楽しみたい‼️と、ワタシは欲張りなのです。


【補足】
鴻上氏によれば、一般的に観客のリアクションがいいのは、土曜の昼公演。
逆によくないのは、月曜や火曜の夜公演。
土曜日には、観客が積極的に楽しもうとしている雰囲気が劇場に満ちていて、逆に月曜や火曜には、観客が全体が疲れていると感じることがある、とあります。

その二つの芝居は、全く別物に感じる時があるそうです。






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