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ウツクシイ手の物語

人の手を見るのが好き。

ウツクシイ手を見つけると、我を忘れてじっと見てしまう。

そしてコレは最近図書館で借りてきた本。小川洋子さんの本は何だか久しぶり。文章が流麗で好きなのだ。
何気なく借りたのに、読み始めてみたら、ウツクシイ手の話だとわかって嬉しかった。

手というのは本当に様々な表現をする。

同じ動作でも手によって見え方が全然ちがってくる。だから手のきれいな人を見ると、どんなふうな使い方をするのかとても気になってしまう。

これは私個人の見解だけれど、心の優しい人は手の使い方も優しい気がする。

何かモノひとつ置く動作を取っても、ぞんざいに置くのと、そっと置くのとでは、手の使い方が全く違う。

なので、ついついスーパーのレジの人の手の動きもじっと見てしまう。きれいに音もなく商品を扱ってくれる人に当たると、何だか安心して癒されるから。

だからそんな人に出会うと、同じ人にやってもらいたくて、できるだけその人の列に並ぶことにしている。自分が買う商品は優しく扱って欲しいから。

手がスキ、と思っていたのは、単に手にその人の内面が出てくる、と思っているからなのかも知れない。
小さい手は子どもの手みたいで、大きい人よりなんだか優しそうに見えるから好きなのかな。大きな手でも優しい人はいると思うけれど。

この本に出てくるステキな手のシーン。

ワインの栓はYが開けてくれた。人間がほとんどの仕草を指でやってしまうことに、わたしは感謝した。人間がワインの栓を鼻で開けるのでなくてよかった、と思った。おかげで、いろいろな仕事をする彼の指に出会うことができるのだった。らせん状になった栓抜きの先やコルクや瓶の口が、彼の指とどんな様子で調和しているか、わたしはしばらく見つめていた。ポンというきれいな音と一緒に、コルクが抜けた。

Yというのは、ウツクシイ手を持つ速記者。
そんな人の手の動きを眺めていられたら、どんなにかシアワセだろう。

ワタシの手、決して大きい方ではないし、自分の手の動きがどんな風なのかわからないけれど、見ている人を癒せる、そんな優しい使い方に憧れてる。

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