読みやすい漫画の描き方とは?2

読みやすい漫画の描き方について、前回描ききれなかった点を書いていこうと思います。
主に4コマ漫画についての話ですが、ストーリー漫画など、他ジャンルでも基本は一緒かと思います。

キャラの向きについて

個人的にめちゃくちゃ大事だと思っているのが、キャラの向きについて。

まずはこちらをご覧ください。4コマ漫画の1・2コマ目だと思って下さい!

1コマ、2コマ目それぞれ別のキャラが映っているのですが、構図が同じ、向きも同じため、一瞬「えっ、同じキャラ?」という混乱を招きます。
4コマ漫画の場合、コマの大きさが同じで上下に並んでいるため、特にそういう混乱が起きやすい。
漫画を描き慣れてない方だと、こういった同じ構図を並べてしまう事はすごく多いです。

ちょっと変えてみましょう。

2コマ目のキャラを左右反転させてみました。ぶっちゃけ、これだけでものすごく読みやすくなります。
これ、デジタルだとほんと楽です、左右反転すればいいので。
アナログだとね…。人によって得意なキャラの向きってあるので、どうしても同じ向きばかり描いてしまう気持ちは分かります。せめて、カメラを多少引いて印象を変える、キャラの向きを斜めじゃなくて正面にするなど、ちょっとした工夫をすると、だいぶ印象は変わります。

向きを変える事の効果

文字が縦書きで、右から左に読む漫画の場合、基本的には画面右から画面左への目線が動きます。

ですので、キャラが左を向く事で、未来に向かう、積極性や能動性を表現できます。基本的にはデフォが左向きです。
右向きの場合は、先に進まず留まる姿勢、受動性を表現したりもできますが、それよりも多くの場合、上記の漫画のように、【相手と向かい合う】という意図を表現できます。まずは左向きのキャラを描き、そのキャラに向かい合うもう一人は右向き。

そこまで考えなくても、4コマ漫画でキャラを二人描くなら、それぞれ向きを別にするだけで相当読みやすくなると思ってます。

ちなみに、4コマの途中でキャラの向きを急に変えるのも、なんらかの演出意図があるならば別ですが、基本的には混乱しやすくなりますので避けた方が無難。
今回はこのキャラは左向きで固定、このキャラは右向きで固定、と決めちゃって良いと思います。
ただし、オチで意外性を出す場合など、演出意図があればもちろん向きは変える。

そしてキャラの立ち位置も同様で、右側、左側は基本固定。漫才のボケとツッコミの立ち位置をイメージするとわかりやすいかもです。どちらがボケでどちらがツッコミかはともかく、基本は立ち位置は固定。
立ち位置に関しては私は、4コマの中ではほとんど変えないです。そもそもカメラワークもほとんど変えません。読みやすさ重視。

ストーリー漫画でも、一つのシーンでキャラの位置が急に入れ替わったり、カメラワークが何度もコロコロ切り替わってしまうと、かなり読みづらくなってしまう。
まずは読みやすさを重視し、その上でここぞと言う場面でカメラアングルを変えるなど、工夫が必要になってきます。

バストアップの多用について

ここまで色々書いてきましたが、私が描いた漫画を見て、一つ疑問に思った方もいるかもしれません。
バストアップ多すぎじゃね?と。
(バストアップ…要するに胸から上のアップ)

そう思った方は漫画が上手い、または漫画のセンスがある方だと思います。
実際、1コマ目2コマ目が両方バストアップというのは、基本的には避けられるべき手法。
ちゃんと背景を描き場面を見せる、そもそも、キャラをもっと小さく描いて、1つのコマに二人描いた方がいい、というのが、おそらく一般的な漫画の描き方としては正しいです。

これに関しては、時代やジャンルの問題があります。
アイデアやネタを見せる4コマ漫画、古き良き4コマ漫画ですと、実際その通りなのですが、キャラを見せる4コマ漫画ですと、話が変わってくるのですよね。
これは2000年代以降急激に増えてきた作りだと思っていますが、特に萌え系など、「キャラの魅力を見せる漫画」の場合、バストアップの多用はもはや普通になっています。
ネタの面白さよりキャラの魅力を見せる、という作りですと、キャラのかわいさ、かっこよさをまず強調しなくてはなりません。そういった意味で、バストアップを多用する事になります。
私も普段はその方向論で描いてます。あと、バストアップ多いと描いてて楽なのよ!!
その上で読みやすさに工夫を、というお話。

私もまだまだ試行錯誤中ですが、備忘録も兼ねて思った事を書いてみました!今回はそんな感じです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?