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海に行ったら、種明かしをしちゃダメな理由がよくわかった話

この記事は、途中でちょっとした種明かしがあります。夢を壊されたくないとか、そういうのが嫌な方は、ここで読むのをストップすることをお勧めします。

よろしいでしょうか?(と言っていますが、ぜひこの先も読んでもらいたいです笑)


この間、用事がございまして、海沿いの街に行ってきました。ホラーゲームの「サイレントヒル」なのかってぐらいの濃霧で、あまり天気は良くなかったのですが、ちゃんと海の気分を味わってきましたよ。

このナシゴレンは、途中寄ったお店で買ったお弁当なのですが、今まで食べてこなかったのを後悔するぐらいの美味しさでした。日高屋の割引券がお財布の中に入っているにもかかわらず、普通に会計してしまった時並みの後悔です。あの時のショックは意外と引きずっちゃいますよね。

まあ、そんな後悔を吹き飛ばすほどのナシゴレンの美味さと、海沿いの独特の心地よさに身を委ねていたわけなんですが、ここであることに気づきました。


「あれ、磯の香りがしないなあ…」


海といえば、磯の香りと呼ばれるあの独特な香りがするじゃないですか。でも、この海は、その香りがほとんどしないんです。

その地域の海は、海風が強くない、ということで知られているらしく、その日もほぼ無風に近いぐらい風がありませんでした。それのせいで、磯の香りが漂ってこないのかな?とかも思いましたよ。

そういうのを色々と考えているうちに、「そもそも磯の香りって、なんの香りなの?」という疑問が湧いていきました。


ということで、今の時代は令和。「昔、あるある探検隊で有名になった芸人さんの名前なんだっけ?」と思っても、スマホでちょちょいのちょいと調べれば出てくる時代です。僕は「磯の香り なんの香り」と検索しました。すると…











「磯の香りは、息絶えて打ち上げられた魚の腐敗臭や海洋プランクトンが原因」


えーーーーー!磯の香りって、魚の腐敗臭だったのーーーー!?
「海だなー!」って感じてたあの匂いは、魚の○んだ匂いだったのー!

不運なことに、これから海に行って磯の香りを嗅ぐたび「わー、魚の腐った匂いだー」ってなるようになってしまいました。大変遺憾に感じております。世の中には知らない方がいいこともあるってことを痛感した次第です。


というわけで、磯の香りの正体が、先ほど冒頭で話した種明かしでした。マジックの種明かしだと思っていた方はごめんなさい。むしろ、安心している人もいるかもしれませんが。

ただ、これってマジックの種明かしをしてはいけない、と言われている理由と一緒なんですよね。先ほども言いましたが、磯の香りが魚の腐敗臭だと知ってしまった今、海に行って磯の香りを嗅ぐと「魚がいっぱい○んで腐ってるのか…」と複雑な気持ちになってしまう方もいるかもしれません。

そして厄介なのは、どう頑張ってもこの事実を知らなかった頃には戻れないんですよね。それこそ、名探偵コナンの映画「瞳の中の暗殺者」の蘭みたいに記憶喪失にでもならない限り、ずっと付きまといます。らーーーーーん!

マジックも一緒で、迂闊に種を知ってしまうと、そのマジックを見るたびに「ああ、あそこでああやってるんだよなあ…」となってしまい、本来のマジックの楽しみを二度と味わうことができなくなってしまいます。これは由々しき事態。

なので「マジックは種明かしをしてはいけない」という鉄の掟が存在するのです。


こんな言葉があります。

「マジックの楽しみを最初に奪われるのはマジシャンである」

僕たちマジシャンは、長年マジックをやると、大体のマジックの種はわかるようになっています。わかるというよりかは、知っているの方が正しいかもしれません。そういう意味では「種がわからない!不思議!」となることはあまりありません。

なので、何回記憶をなくしてもう一回みたいと思ったか…。漫画やアニメにも似たような感覚ってありますよね。それを的確に表現した言葉だと思います。

それでも「マジックが楽しい」と感じるのは、マジックに対する楽しみ方が一般の人と違うからです。

例えば、サインしたトランプが指を鳴らすと一番上に上がってくるというマジックがあります。普通は、上に上がってきたら「すげー」ってなりますが、マジシャンは「なるほど、そのアプローチで上に持ってくるのか」とか「手つきが滑らかだな」とか「そのセリフいいな」とか「レアなトランプ使ってるなー」とか、全然違うところで楽しんでいます。

多分どの分野でもそうだとおもいます。例えば、映画。普通の人は「この映画おもしろかったなー」って感じですが、めちゃくちゃ好きな人になると、「この場面の主人公の演技が良かった」とか「ここのBGMの入り方良かった」とか「この描写はこの監督がリスペクトしてるあの作品のオマージュだよね」みたいな感じになりますよね。

ただ、マジックと大きく違うのが、それを知ってしまっても、本来のコンテンツの面白さを損なうことはないということです。むしろ、より深みが増して、何度でも楽しめますよね。ですが、マジックはそうもいきません。不思議に感じるのは種を知らないからで、知ってしまった後に不思議を感じることは珍しいです。マジックの面白さの大部分は、この不思議という感覚で成り立っていますので、種明かしという行為は、観客の楽しさを奪う行為としてタブー視されているんです。


マジックってそう考えると、綱渡りのような微妙なバランスで成り立っているコンテンツだなって思います。「不思議!」「種を知りたい!」という気持ちがマジックの求心力にもなっていますが、それを知ってしまうとマジックの魅力が大きく損なわれてしまう。そういう儚げなところも僕は大好きポイントの一つであり、マジックの魅力でもあると思ってるんですけどね。まあこの考え自体がマニアならではの思考ですが。


先ほど引用した言葉には、実は続きがあります。「マジックの楽しみを最初に奪われるのはマジシャンである」これの続きは…

「だからマジシャンは、その楽しみを与える側に回らなければいけない」


僕がマジックの楽しさを広めたいと言っている一つの原動力がこの言葉です。マジックの種を知ってしまった人は、マジックを見ても種を知らなかった時のようにはもう楽しむことができません。ですが、マジックを見せる側に回ることで、自分のマジックを楽しんでくれる人たちを見るという楽しみが増えます。この楽しさは、永遠に消えることはありません。無限に楽しむことができます。

僕はTwitterでマジック動画を毎日投稿しています。毎日投稿は何気にしんどいことが多いです。何回、今日はいいかな、という弱い気持ちに流されそうになったことか。でも、いいねやRT、コメントをしてくれる方々のおかげでここまで続けてこれています。本当に感謝です、ありがとうございます。皆さんの想像している以上に励みになっています。これからもどうぞ応援よろしくお願いします。

最後までご覧いただきありがとうございました。なんか面白そうなやつだなと思ってくれた方は、フォローやいいねを頂けるとめちゃくちゃ喜びます。「千と千尋の神隠し」の最後のシーンで千が湯婆婆からのクイズに見事正解した時の周りのギャラリー並みに喜びます。Twitterの方もよろしくね。

というわけで、またお会いしましょう。グッバイ!


月乃輪ウルフ

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