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愛し子

 私の愛し子は、ひととのやり取りが苦手だ。
 だけれど、びっくりするくらい賢い。

 子どもの頃会いに行った時には、自分の持っている物全てを覚えていた。
 おもちゃのパーツでも、何色で幾つあるか知っていた。
 私が誕生日にあげたブロックで遊んでいた時も、見当たらないと、おなじ形のブロックを見せて色を伝えて探してくれと頼んできた。
 初めて遊ぶ物は一度見本を見せると、見せた手順通りにやって見せる。
 私は単純に『すごい!うちの子天才』的におもっていた。(うちの子じゃないけど)
 しはらくすると、覚えている物事が細かく、細かすぎる事で、思い通りに動かない大人たちに怒るようになった。
 まだ小さいから知識が少なく、うまく伝わらないのだ。
 なのに話す言葉は敬語で話すのだ。
 もちろん敬意の気持ちではない。
 母親の言葉を聞いて真似をするからだ。
 偶に面白い言い回しをする時は、父親の言い方を真似ているのだとわかる。

 とにかく私はこの子が可愛いのだ。
 でもきっと、この世の中で生きづらい。
 母親は、病院へ行くと医者は病名をつけなくちゃいけないから、行きたくないと言う。
 それでも、色々と考えて行動をしている彼女を側で見ている。
 何もできない私は、側で見ているだけだけれど、愛情を与えたい。
……私の愛し子に

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