子供が一人しかいない父の最期とその後~No.1父、潰瘍性大腸炎と診断される

 父は2017年8月、82歳の時に潰瘍性大腸炎と診断されました。若者に多い原因不明の病で国の指定難病になっている病気です。


 母はすでに他界し、父とは同居していましたが、夕飯以外の食事や、洗濯などは別々でした。病院に行くのに全く抵抗がない人でしたから、具合が少しでも悪いと病院に行ったり、薬局で市販薬を買ったり、自分で対処していたのですが、後から聞けば、病気が判明する少し前から、下着を汚すことがあったようでした。


 潰瘍性大腸炎のことを調べてみると、炎症がひどい時には若い人でもトイレが間に合わずおむつをしている方も多いとありました。父は「年だから」と思っていたみたいですが。

 当初は近所の病院で診ていただいてましたが、日増しに炎症が強くなり、専門の大学病院に転院しました。東邦大学医療センター佐倉病院です。
 うちからは電車で1時間半かかる遠い病院でしたし、1日2万円の個室しか空きがない、ということで、即答は出来ませんでしたが、「1日も早い方がいい」ともはや説得にかかられ、仕方なく転院しました。

 転院すると、主治医となる先生に「潰瘍性大腸炎の治療にはお金がかかります。ただ特定疾患なので、その手続きをすると医療費が一定額免除されるので、1日も早く保健所に行って書類を貰って来て出してください」と言われました。どうやらその医療費が免除されるのは、診断確定した日からではなく、完成書類を保健所に提出した日で、そのためには一日も早く、ということでした。

 父の子供は私一人です。母もおらず、父方の親戚とは疎遠になっていました。手続きは全て私が行わなければいけません。転院の日も仕事を休んでいたので、保健所に行くために仕事を休むわけにはいかないなと思い、書類はネットでDLし、翌日すぐに持っていきました。これが2017年8月27日頃だったと思います。

 ちなみに2万円の個室ですが、病室に入って1時間もしないうちに「差額ベッド代が3千円の部屋が空いたので移動しますか?」と聞かれ、2万円よりはマシだと、移動しました。結局、1ヶ月と少し、差額ベッド代のかからない部屋へは移してもらえなかったので、差額ベッド代はかなりかかりました。

 書類をすぐに病院の方に提出したにもかかわらず、なかなか書類が出来たとの連絡はなく、1回目の診療費を払いに行った時に事務の方から「書類が出来てるという連絡行きましたか?」と言われました。きてない、というと、調べてくれて、すでに書類が出来てることが判明。そして、また「保健所に提出した日から適用になるので、すぐに行って欲しいんですけど」と言われました。

 だったら、もっと早く連絡しておくれ、と思いながら、請求書の金額を見れば、差額ベッド代を抜いても1日1万円くらいはかかっていたので、これはまずい、と、翌日、仕事を半日で切り上げ、保健所に行きました。これが9月14日のことでした。

 肝心の父は入院したことで安心したのか、そんなに具合悪そうには見えませんでした。ただ、年齢のせいなのか、病院の方で足元にセンサーを設置され、監視されていました。転倒防止のためだとは思いますが、トイレに行こうとすると、すぐに看護師さんが飛んできました。そのために、父はどんどん歩かなくなり、入院してからどんどん筋力が落ちていきました。

 ベッドの上でほぼ景色が変わらないところにいたので、認知機能もどんどん衰えていったと思います。入院するとボケるというのは、こういうことからか、と納得しました。父は字を読むことも好きではなく本も読みませんし、テレビくらい見てもいいよ、と言っても「テレビカードの使い方が覚えられない」と言って、家にいれば1日中見てるテレビも見てませんでした。差し入れたラジオ(もちろんイヤホン付)もなぜか「迷惑だから」と言って使ってませんでした。(どうやら隣りのベッドの人のイヤホンからもれる音で、迷惑だから、と思ったみたいです)

 それでも、1ヶ月半くらいで炎症も治まってきて、退院することが出来ました。入院する時は夏だったので、ダウンジャケットを持って行くと「えー、そんなに寒いの? 嘘だ」と驚いてました。

 退院して金銭的にはホッとしたものの、その後の通院のことを考えるとまた憂鬱でした。うちには車がないので。果たして、父は電車で移動できるのか? と。退院する時にタクシーで帰りましたが、金額は7000円。出来れば電車で行けたらいいのだけど。

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