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小説✴︎梅はその日の難逃れ 第14話

平日の朝。

「あら?千鳥ちゃん今頃起きたの?学校は?」
小春が、リビングに降りてきた千鳥を見て聞いた。
「開校記念日で休みだから」
「そうなのね。だったら遊園地とか行かないの?」
「ああ、クラスの大半の子は行ってるかも」
「予定入れてないの?」
「うん、特には」
「じゃあ、一緒に出かけよ」
「え?今から?」
「そう、ちょっと遅い朝ご飯食べに行こ」
「どこ?」
「近くの、私がよく行くカフェなんだけどね。多分千鳥ちゃん好きな感じだと思うの」

千鳥が、パジャマから着替え、顔を洗って身支度をしている間に、小春さんは
夕飯用のぬか漬けを仕込み、洗濯物を干し終えて、身支度も整え、庭の枯れた花を除いてる。
千鳥は髪をなでつけながら言う。
「小春さんは、マジ、そつないよね。どうして私似なかったのかなぁ?お母さんもテキパキ出来て、働き者なのに」
「いいのよ。千鳥ちゃんは千鳥ちゃんで。個性だから良いの」

こんな感じでぼやぼやと一生を過ごして、将来の夢も無い私でいいのかと、本気で悩み始めた。
進路カードを渡されて、現実なんだと思い知らされていたから、尚更だった。


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