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短編小説✳︎青い朝顔 ❼ 花言葉

「あっつ!」
今夜も夜中に目を覚ます。
夏の夜になると、初めてのあの日を思い出す。
青い朝顔の花言葉
『短い愛・儚い恋』よろしく
雄介とは彼が社会人になって、いつの間にか連絡が少なくなり、小夜も就活で忙しくなり始めて会えなくなった。

さよならを言うこともなく終わった恋は、親からもいい加減結婚しないのかと、言われる歳になっても、何かの拍子に思い出す。
「雄介、どうしてるかな?」

東京での暮らしにも慣れ、東北訛りはもう取れた。
いわゆる「バリキャリ」になった小夜。
と言っても、彼氏はほぼ途切れずいるが、あの夏の夜を忘れられずにいた。
甘酸っぱい思い出。

「まだあの日を思うと、はかはかすんだ、おら」


     完


※はかはか=ドキドキ

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