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Fazerdaze インタビュー

まずは、あなたの音楽的なルーツから教えてください。あなたに歌う/ギターを弾く/作曲することへと向かわせたきっかけは?


私は、音楽やアートを学ぶ学生を積極的に支援する高校に通っていたの。10代の頃はファミリー向けのショウにもたくさん行ったわ。曲を演奏したり、書いたりして、ずっとこういう暮らしが続けばなって。何よりもそう願っていたわ!

あなたのご両親も音楽好きだったのでしょうか?

ええ、大好きよ!私はエルトン・ジョンやアバ(ABBA)、ビージーズを見て育ったのよ。どれくらい影響を受けたか正確には分からないけれど、こういったアーティストたちは今でも大好きよ。

FAZERDAZEというミュージシャンを作り上げたアルバムを5枚挙げるとすれば?

『Zentropy』―フランキー・コスモス
『Ⅱ』―アンノウン・モータル・オーケストラ
『フォーエヴァー・ドルフィン・ラヴ』―コナン・モカシン
「ノー・アロハ」(『ラスト・スプラッシュ』のシングル曲)―ブリーダーズ
『サイアミーズ・ドリーム』―スマッシング・パンプキンズ

個人的に、あなたの音楽はパステルズやドゥルッティ・コラムといった80年代のUKインディー・ポップを思い出させます。というのも、ひりひりとした焦燥感とパーソナルな親密さを併せ持っているサウンドだと感じたからです。実際、そういったバンドからの影響はあるのでしょうか?

ありがとう!でも、どちらのバンドも聴いたことないのよね!

2014年の10月にリリースされた『Fazerdaze EP』は、あなたの音楽を多くの人が知るきっかけとなったと思います。あのEPがあなたにもたらした変化は?

少しずつライヴ活動で忙しくなったわ。例えばアンノウン・モータル・オーケストラとのツアーみたいに絶対断れないサポートアクトの機会をいくつかもらったの。それで管理面が今まで以上に忙しくなって。だから、今ではマネージャーがいて、そういった業務をしてもらっているからすごく感謝しているわ。

昨年には『New Moons, Vol.V Pt.1』というコンピレーションに“Little Uneasy”を提供していますね。同作に参加した経緯を教えてください。

レーベル(Killing Moon)側からの参加要請のアプローチがあって、イエスって返事したこと以外特別何もないのよね!当時はどこのレーベルにも所属していなかったわ。

参加アーティストには親交のあるバンドも多いのでしょうか?

あいにく交友関係はないの!参加アーティストとは会ったことがないわ。

では、今作『Morningside』について訊かせてください。『Fazerdaze EP』と比較して、制作の方法や環境面での変化はあったのでしょうか?

アルバム全体を通して『Fazerdaze EP』とほとんど同じ機材や技術を使ったわ。違うのは、はしごして制作していた点ね。どこででもできるだけ落ち着いた気持ちでいられるように、自分のレコーディング機材は立ち寄った場所と住んでいたアパートにセッティングしていたわ。

初のフル・アルバムということで、特に意識した点や力を注いだ点はどんなところでした?制作にあたっての青写真みたいなものはあったのでしょうか?

青写真は描いていなかったのよ!アルバムを制作するにあたっては全くのゼロから取り掛かったわ。進めていきながら方針を固めて形にしていったの。次回は是非ちょっとした計画やヴィジョンを掲げてから手をつけていくようにしてみるわ。

“Jennifer”の『Fazerdaze EP』に収録されものと、今回のアルバムに収録されたヴァージョンとを聴くと、今回のヴァージョンのほうが凝ったアレンジがされていて、より深い場所まで聞き手を連れて行ってくれるような印象です。

ありがとう!でもこのアルバム収録の「Jennifer」に関しては『Fazerdaze EP』のヴァージョンをリマスターしただけなの。

アルバム全体を通じて、編曲の面で数年間の成長が刻まれているように感じたのですが、あなた自身は『Fazerdaze EP』以降、ミュージシャンとしてもっとも変化/成長した面はどこだと思いますか?

アーティストとしての自信はだんだん芽生えてきているわ。以前よりずっと自分の直感に耳を傾けることを学んでいて、それが実際うまくいっているのよ。

Morningsideという言葉は、日本であまり馴染みがない英単語なのですが、どんな意味ですか?また、このアルバムをそう名付けた理由は?
 
Morningsideは、私がこのアルバムを完成させたオークランド郊外の地名よ。ここに移った時、長い間感じていなかった幸せな気持ちでいっぱいになって、アルバムを仕上げるためのエネルギーをもらったの。Morningsideを2つの単語に分けると、MorningとSideになるわよね。互いに楽観的で希望がみなぎっている響きを覚えるの。まるで闇を切り抜け、ついにまばゆい朝の光に包まれたかのように。Morningsideは当時の私の暮らしぶりを象徴しているようにも思えるわ。

あなたの活動拠点であるニュージーランド/オークランドの街について教えてください。ニュージーランド最大の都市だそうですが、やはりインディー・ミュージックのシーンも栄えているのでしょうか?どんな特徴がありますか?

私はウエリントン(ニュージーランドの首都)出身だけれど、オークランドに引っ越して来たのは、もっと大きな音楽シーンがあるからよ。ここでは、クールで新しいアーティストが次々と現れているの。素敵な学生ラジオ局や、とっても協力的で仲間意識が強い音楽シーンが栄えているわ。

今作のレコーディングに参加されたというGareth ThomasやMurray Fisherもオークランドのミュージシャンですか?

ええ、そうよ。2人とも以前はGoodshirtというニュージーランドのバンドのメンバーだったの。私はこのバンドを聴いて育ったから、今回のアルバムで彼らと一緒に仕事をすることができるなんて夢にも思わなかったわ。私がレコーディングとプロデュースを担当したんだけれど、彼らはミックスを手伝うためにいてくれたわ。

オークランドはモダンな都会という側面のみならず美しい海岸や緑豊かな山脈など自然にも恵まれているそうですね。そうした環境はあなたの音楽に影響を与えていると思いますか?

ええ、そう思うわ。取り巻く環境は確実に私のムードに影響を与えているし、私の心の状態は生みだされる音楽と密接に関係しているわ。

個人的には“Take It Slow”のリラックスしたムードにオークランドという街の暮らしやすさを想像しました。一方で“Lucky Girl”のMVには故郷の街への愛を抱きつつも、それでも沸き上がるフラストレーションや〈すべてを台無しにしてしまいたい!〉といった衝動が映し出されているように感じました。この曲ないしMVで、あなたが描こうとした感情はどんなものだったのでしょうか?

Lucky GirlのMVで、私は、自己破壊のアイディアと何か大切なものを失う不安を描こうとしているの。こういった感情をコントロールする手段として、私は何かを壊している自分に時々気がついて驚いているわ。台無しにしたその感覚をしっかり映像に収めておきたかったの。


今作の歌詞において、意識的あるいは無意識であれ、メインテーマとなっているような主題はありますか?

歌詞の多くは、初めは無意識的に浮かんだわ。それから表現に磨きをかけ、まとめの段階へ進んだわ。アルバム全体が心の奥に存在する省みで満ちていて、私自身の内面に目を向けているの。アルバムに収めたラヴソングでさえ内に向かっているのよ。「Shoulders」や「Last To Sleep」なんかがそうね。


今回はありがとうございました!日本でのライヴも期待しています。ちなみに日本の音楽シーンについてはどんなイメージを持たれていますか?

日本の音楽シーンは華やかでたくさんのエネルギーで満ち溢れた印象があるわ。いつかライヴで訪れて、自分の目でどういったものか確かめたいと思っているわ!


text by 田中 亮太(Mikiki)

translated by Tugboat Records

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