40:2023/1/31 大人語講座メルマガ 第22号:外大、コスパ悪い大学ワースト1位 / セブン&アイへの株主提案 / 賃上げと厳しい世界、他

新年明けて、もう一ヶ月が経とうとしています。皆様、年末年始は充実していましたでしょうか。遅ればせながら今年もどうぞよろしくお願い致します。
 
なんだか今日の筆者は、今年は珍しいほどに新年早々忙しく、あまり大した徒然がなく過ごしております。まぁ、仮に忙しくなくても、悲しいかな、大した徒然はありませんが苦笑
 
そんな中で、最近目にした「現代ビジネス」なるメディアが発表した「今入ると損する大学ランキング」というのが面白く、一部の現役学生がざわついていたようなので、新年一発目はこのゆる~いお話からいければと思います。それと、年末年始でずっと言われていたのは「賃上げ」というお話。要は会社員の給料を上げる、という話ですね。皆様が仮に将来的に会社に雇われるとして、新卒ですぐに貰える最初の給料、いわゆる初任給というのを数万円引き上げる大企業も沢山あるようです。その一方で、欧米で吹き荒れる、テック系企業を中心としたリストラの嵐。日本オフィスでも結構な衝撃のようでして、知人・友人から働き口は無いか、という問い合わせが一気に増えました。この、国内での賃上げと欧米のリストラ。なんだか見る角度によっては薄めに関係がありそうです。特にリストラについては、仮に日系企業で働いていたとしても、普通に明日は我が身かもなぁ…という気がしてなりません。現役外大生はこの現象をどう捉えておけば良いでしょう。最後は、恐らく全員お世話になっているセブン&アイに対する株主提案の話。米ファンドが株主にコンビニ分離に同意せよ、という書簡を送ったらしいですね。セブン&アイに対する物言う株主からの提案はここ数年続いており、どうなるのかなぁ、という感じなので触れておきましょう。
 
ということで、今月は以下の内容です。
 
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// 外大、コスパ悪い大学ワースト1位
// セブン&アイへの株主提案
// 賃上げと厳しい世界
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では、今月も浅く深堀していきましょう。
 
 
// 外大、コスパ悪い大学ワースト1位
 
「現代ビジネス」なるメディアが作成した「今入ると損する大学ランキング」で、外大がワースト1位になりました。この手の誰かが作るランキングモノで、外大というのは知名度が無さ過ぎることも相まって、上位に入ることはほとんどありません。が、なんと、この度、外大が1位を獲得したのです。いいのか、それでw
 
現役外大生も一部でざわついている様子が確認されました。とりあえず、落ち着いてこのランキングを見てみましょう。ランキングが掲載されている記事はこちらですね。
 

 
そもそもなんですが、この手のランキングモノ、世の中には沢山あります。大学に限った話じゃなくて、働きやすい企業ランキング、とか、年収ランキング、就職人気企業ランキング、企業の世界ブランドランキング、とか。で、それぞれ、算出方法が全く異なります。算出方法が開示されていたとしても、結局、誰がどのようにその評価をつけたのか、というのはブラックボックスであることがほとんどです。ですから、例えば就職人気企業ランキングにしても、ランキングを作った会社によって、順位が大きく違ったりするんですよね。あと、酷い場合には、そもそも参照しているデータ自体が操作されていたり、という場合もあります。そもそも参照しているデータ自体が操作されている、という例については過去の以下のメルマガで紹介済ですね。
 

 
では、こういった、作り手によってランキングが変わる、データ自体が微妙、そもそもブラックボックス、といったことが何を意味しているのか?要は、ランキングというものが、その作り手によるPRの手段である、ということです。こういったランキングモノというのは、注目されやすかったりするので、作り手に送客しやすいわけですね。一番分かりやすい例は、調査会社が「自主調査」と称して、消費者のトレンドなんかについて発表したりします。そうすると、そのトレンドについての問い合わせがその調査会社にやってきて、調査会社からすれば次のビジネスに繋がったりするわけです。それと同じような感じで、今回のように、我々のようなものがこうやってランキングを取り上げることで、まんまと「現代ビジネス」なるメディアの存在が知られていく、ということになるわけですね。ですから、まず前提として理解するべきは、この手の世の中に流布しているランキングモノというのは、基本的には「エンタメ」として見るべき、ということでしょうね。ということで、ざわついている現役外大生、先ずは落ち着きましょう。
 
という前提でこのランキングを見てみると、色んな示唆があって面白くて、やっぱりちゃんとエンタメしてるな~、って感じで味わい深いです笑
 
ちょっと見てみましょうか。
 
先ずはこのランキングで言うところの「コスパ」ですが、「一生懸命勉強し、多額の学費を払ったのに、就活で評価されなかったり、その後の人生で幸福感を得られなかったりすることもある。その逆もまたしかり」ということで、その辺の感覚を「コスパ」と表現しているそうです。
 
評価方法は「最新のデータとOBの証言をもとに採点」とのことですが、最新のデータについて、どのデータを参照したのかについての言及はほぼありません。また、OBの証言とは書いてありますが、OGの証言については触れられていません。このへんの採点方法が、実にブラックボックスで、結局のところ、ランキングを作った人にしか作成方法がわからない仕組みになっています。採点項目は(1)入りやすさ(30点満点)、(2)学費の安さ(20点満点)、(3)就職の強さ(20点満点)、(4)将来の年収(20点満点)(5)人生充実度(10点満点)、という合計100点満点での計算になっているようです。それぞれの項目で満点が違うんですね。このランキングでは「入りやすさ」がかなりの重みを持っていることが分かります。また、「人生充実度」なる項目については、結構大事だと思うのですが、10点満点でしかなく、重要度が低いことがわかります。というか、そもそも「人生充実度」なるものは人それぞれなのに、なぜそれを他人に採点されなきゃいけないのか、というかそもそも採点できるのか?w というのは置いておくしかなく、まぁ、要するにこの辺りが、この手のランキングモノがエンタメである所以となります。
 
「学費の安さ」は分かりやすいですね。比較的、比べやすそうです。「入りやすさ」も、まぁ、百歩譲って、偏差値的なものとか入試難易度的なもので比べることはできるかもしれませんね。問題は「就職の強さ」。何をもって強さとしているんでしょうね。ここへの言及は、編集部で採点した、以外には無いです。「将来の年収」については、OpenWorkのデータを参照したそうです。とは言え、あれも結局最後は謎のアルゴリズムで処理されるからブラックボックスですね。
 
とまぁ、結構悩ましい算出方法なんですが、先にいきましょう。
 
外大の合計得点は「57点」で最下位。記事には「将来の年収が足を引っ張った」とあります。731万円だそうです。確かに、同じ指標で算出していると思われるランクインした他大学のデータからすると、700万円台は筑波大学の787万円ぐらいで、その他の大学は軒並み800万円台。東大、京大、一橋、東工大が1,000万円超えとなっています。将来の年収スコアでは8点(20点満点)でして、ランクインした大学で圧倒的最下位です。他大は17~20点です。ただ、この辺のアルゴリズムが正直よくわからないのです。年収でワースト2位の筑波が787万円で18点もついています。ちなみに次に低かったのは東京都立大で814万円で18点。ちなみに近いところだと820万円で年収額が筑波や都立大より上のはずの九州大学が年収評価で17点と低くつけられています。「将来の年収額」と、「将来の年収評価項目」の関係性がかなり謎、というか、ほぼ無い感じすらしてきます。一応、「大学なんでもランキング」なるデータから数値を拾ってきて云々…という記述はあったんですが、元データがどこにあるのかまで突き止められませんでした。いずれにせよ、「年収額」と「評価点」の関係性はちょっと説明がつきません。ここが仮に16点とかになるだけでも、合計65点で10位ぐらいまで落ちるんですけどね。
 
他の得点で見ると「人生充実度」は5点(10点満点)で、ここでも最下位クラスです。までも、これは流石に他人が決めるものではないから無視して良いでしょう。「入りやすさ」は9点(30点満点)とかなり低いですね。これについてはややわかるw 他大の国立大学も軒並み低く、ランクインした国立大学は全て10点未満です。やっぱり国立って何だかんだ、入るの大変ですよね。外大って、外国語学部しかなかった時代は、英語学科なんて、大手予備校のランキングで東大の文科三類よりも偏差値上でしたからね。今はどうなんでしょう。外大は必要以上に難しい大学、というのは肌感ではちょっとあるかもしれません。その昔、某学長もこの辺は認めていたところです。「学費の安さ」は18点(20点満点)で相当良い評価です。尤も、これはランクインした他大も国立ですから似たような評価でした。まぁ、そうでしょうね、っていう。「就職の強さ」は17点(20点満点)で悪くないようです。これは他大との比較でも相当良い評価に見えます。個人的にはここも逆にややダウトですねw まぁ、そもそも何をもって就職に強いと言うのか分かりませんが、正直そんなに強くないというか苦笑 この辺は、現役外大生の方が感じるところでしょう。就職で大学選ぶのであれば他大の方が…という言説を認める外大生、まぁまぁいるのではないでしょうか。
 
そんな感じの評価で、外大は最下位でした。年収の項目の点数が足を引っ張ったとのことで、記事にはこんなコメントもありました。
 
「外語大では『東南アジア第2地域、ビルマ語』のように、13地域27言語から専攻地域と言語を選ぶことになります。就職やビジネスでの実用性がない言語を選択してしまい、後悔する学生も珍しくありません。また『大企業の内定を蹴って専攻地域の人形劇団に入る』など、収入より自分の趣味を追求する人も一定数います」(『大学図鑑! 』監修のオバタカズユキ氏)
 
まぁ、そういう層が一定数いるのは皆様もご認識の通りでしょう。前者は大人語があれば解決する話、後者はなんだか外大らしくて良いじゃないですか。ただですね、この年収、仮に731万円だとすると、これ、メチャクチャ高い方だと思いますよ、ということだけ付け加えておきたいと思います。国税庁の民間給与実態統計調査(令和2年分)によれば、年収の平均値は412万円程度のようです。そしてこれは大きな社会課題にも繋がってきますが、女性の年収の平均値は292万円。外大は公式データによると女性学生比率が65%なわけですね。というのを踏まえた上で外大卒業生の平均年収が仮に731万円だとすると、これは驚異的な高さに見えてきます。
 
とまぁそんな感じで、この手のランキングモノはエンタメ的に見ると色々と面白い、というお話でした。ただ一方でですね、確かにこう、将来との接続の悪さ、みたいなのは卒業生としては感じるわけです。外大に限った話ではないのかもしれないのですけれど。外大は特に、就活や就職直後で苦戦する傾向があるというのは間違いないという証言が卒業生からあまりに多く寄せられ、だからこそ大人語講座があるわけなんですが、ちょっと改めて色々と考えさせられたというのも事実ではありました。大人語さえあれば、近視眼的ではありますけども、例えば年収額は多分この倍は普通に狙えるんじゃないかなぁ、とも思ったりしますし。もしかしたら、そろそろまた本気のリアル講座として企画を走らせた方が良いのかもしれない、そんなことを思った次第です。
 
どうする外大シリーズ。
 
 
// セブン&アイへの株主提案
 
本件については、「株主」とか「コングロマリット・ディスカウント」の話が出てきます。大人語講座のファイナンスど真ん中の話、かつ、以前のメルマガでも触れていましたので、先にそちらを改めて共有しておきます。
 

 

 
さてさて、セブン&アイの場合は物言う株主はバリューアクト・キャピタルというところです。どんな提案をしているかというと、以下に公開されています。大人語を学んでいない外大生にはちょっと内容が難しいかもしれませんが、大人語講座受講済の皆様でしたら何とか読むことができるでしょう。
 

https://valueact.com/wp-content/uploads/2022/02/Seven-i-Holdings-Public-Presentation-vF.3.pdf

 
英語でゲゲッと思った方、日本語も以下にあるのでご安心ください笑
 

https://valueact.com/wp-content/uploads/2022/02/Seven-i-Holdings-Public-Presentation-vF-002_Japanese_vf.pdf

 
大人語話者にとっては結構分かりやすく書かれているので理解しやすいと思います。逆にこれぐらいが読めないと、就活で他大の経営学部・商学部・経済学部系の学生達に瞬殺されてしまいます。
 
日本語版のP.12-23に渡って、バリューアクトが考える課題が書かれていますね。一言で言えば、

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2,281字
多磨という僻地で主専に忙殺され、都会の他大生との交流で自分から社会性が失われていることに気付く外大生は、何を意識して学生生活を送れば良いのか。似た気持ちを味わってきた卒業生達から、現役学生に余すことなくお伝えします。分量は20万字超で、一般的な200ページの書籍2冊分以上のボリュームとなっています。

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